寄倉岩陰遺跡(国指定 史跡)
帝釈峡の石灰岩地帯では,昭和36年(1961)の調査以降石器時代の岩陰・洞窟遺跡が多数分布することが明らかとなった。なかでも寄倉岩陰遺跡は,帝釈始終地区の東端,帝釈川左岸に位置し,西面した石灰岩の岩陰にそって,長さ30m,幅15m以上の規模をなしている。縄文時代から鎌倉時代(1192〜1332)にわたる遺物を出土しているが,とくに縄文時代(紀元前約1万年前〜紀元前300年頃)の文化層が厚く,縄文時代早期から晩期にいたる各種の遺物が,きちんとした層序をなして出土しており,中四国地方の縄文土器編年の基準となる重要な遺跡である。縄文時代後期末から晩期にかけての文化層では,約50体にのぼる人骨が集積された状態で検出されている。