党員等監視・抑圧

 「組合役員の選出時期を選び(共産)党員、民青同を退け良識派の育成選出を図る」
「容共左派分子を・・・ABCランクに区分けし、諸対策を講じてゆく」。
1960年代中頃の東京電力の労務対策の内部文書です。

 文書には、
「悪影響を及ぼすと考えられた者については・・・配置転換をし」
「如何に仕事に熱心でも・・・ 昇給時の査定額をゼロとする」などが列挙されています。

 東電はこうした方針を決め、党員や支持者らを監視・抑圧する専制支配を推進。

見せしめの差別

 神奈川県内の事業所で働いていた原信夫さん(65)も差別を受けた一人。
労組・青年部の集会などで積極的に発言していたため、賃金差別、「職場八分」などの差別を受けました。
 「フロア全体で行う飲み会さえ誘われなかった。
”見せしめ”だったのです」

 「鶴見火力発電所などで働いていた有坂直幸さん(70)も、入社2年目でただ一人マイナス査定を受けました。
「社宅入居の申請書も受け付けない。
夜食時も仲間外れ。全部会社が仕向けたことです」

レッテル貼り

 69年当時29歳で本店勤務だった谷口栄子さんは、主宰する同人誌を問題視され、支社への異動を強いられました。

 「童話や随想を書いていただけなのに、アカだとレッテルが貼られていました」

 74年2月、山梨支店塩山営業所で働く渡辺令子さんも上司に呼ばれ、「あなたは共産党員か。
党員でなければ、書面を書いて提出せよ」と強要されました。

 渡辺さんはクリスチャンで、平和問題の署名を集めていたことから、共産党員だと判断されたのです。

 「心の中まで会社のいいなりにされる」と慄然とした渡辺さんは、甲府地裁に提訴。

76年には、東電に働く日本共産党員・支持者142人が1都5県の地裁に提訴し、差別撤廃の裁判に立ち上がりました。

 原発推進路線の背景には、危険性を考える人々を差別し、批判を封じる”専制体制”がありました。


2011年10月30日
日刊紙要約

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