「容共左派分子を・・・ABCランクに区分けし、諸対策を講じてゆく」。 1960年代中頃の東京電力の労務対策の内部文書です。 文書には、 「悪影響を及ぼすと考えられた者については・・・配置転換をし」 「如何に仕事に熱心でも・・・ 昇給時の査定額をゼロとする」などが列挙されています。 東電はこうした方針を決め、党員や支持者らを監視・抑圧する専制支配を推進。
労組・青年部の集会などで積極的に発言していたため、賃金差別、「職場八分」などの差別を受けました。 「フロア全体で行う飲み会さえ誘われなかった。 ”見せしめ”だったのです」 「鶴見火力発電所などで働いていた有坂直幸さん(70)も、入社2年目でただ一人マイナス査定を受けました。 「社宅入居の申請書も受け付けない。 夜食時も仲間外れ。全部会社が仕向けたことです」
「童話や随想を書いていただけなのに、アカだとレッテルが貼られていました」 74年2月、山梨支店塩山営業所で働く渡辺令子さんも上司に呼ばれ、「あなたは共産党員か。 党員でなければ、書面を書いて提出せよ」と強要されました。 渡辺さんはクリスチャンで、平和問題の署名を集めていたことから、共産党員だと判断されたのです。 「心の中まで会社のいいなりにされる」と慄然とした渡辺さんは、甲府地裁に提訴。 76年には、東電に働く日本共産党員・支持者142人が1都5県の地裁に提訴し、差別撤廃の裁判に立ち上がりました。 原発推進路線の背景には、危険性を考える人々を差別し、批判を封じる”専制体制”がありました。 2011年10月30日 日刊紙要約 ◆原発の深層 ◆こんにちはトップ |