原発輸出方針変えず

 原子力発電所の事故があったにもかかわらず、民主党政権は原発輸出方針を変えていません。
枝野幸男経済産業相は10月18日、
「わが国が原子力利用を続けるかという議論と、技術を他国に利用していただく議論は別次元だ」と述べています。

 資源エネルギー庁の担当者は、
「粛々と交渉は進んでいます」と話します。

 現在、輸出計画は、ベトナム、ヨルダン、リトアニア、トルコ向けの4件。
ベトナムは、企業連合による受注が決まっています。
ヨルダンは、三菱重工とフランスのアレバによる新会社が交渉しています。
リトアニアは、日立が優先交渉権を獲得しました。
トルコは、東芝を中心に準備が進んでいます。

原子力開発会社設立

 昨年10月、電力各社と、原子炉メーカーなどの出資で、国際原子力開発株式会社が設立されました。

 同社の担当者は、
「原発導入の関心を持つ国に、技術や人材養成などを提案するのが業務。
ベトナムへの輸出に向けて要望を聞き、具体的な提案をしています」といいます。

 
政府の協定への執念

 日本が輸出する際には、
「原子力協定」が必要です。
核物質や原子力技術を移転した際、軍事目的に利用されないための法的枠組みです。
核施設の国際原子力機関(IAEA)による査察の受入れや第三国への移転規制などが盛り込まれます。

 現在、アメリカや欧州原子力共同体など八つの原子力協定が発効しています。
輸出交渉が進んでいる4カ国のうち協定が発効しているのは、リトアニアだけです。
12月2日、ヨルダンやベトナムなど4カ国との協定の国会承認を民主、自民両党の賛成多数で衆院外務委員会を通過させました。
政府は、今国会での成立に執念を燃やしています。


11年12月5日
赤旗日刊誌要約

◆蠢く利権集団
◆原発の深層
◆核廃絶と原発