TPP協定完全自由化

 菅直人内閣は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)自由貿易協定への参加を検討すると言い出しています。
 この協定は、日本の主食の米をはじめすべての関税を撤廃して完全自由化するものです。
食料自給率向上はおろか、農山村荒廃促進の道です。(中沢睦夫)

8カ国交渉開始

 「環太平洋パートナーシップ協定」は、環太平洋戦略的経済パートナーシップとも呼ばれ、2006年に始まりました。

 当初の参加国はシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国。
 今年3月にはアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムが新たに参加を表明し、8カ国で交渉が始まっています。

際限なき関税撤廃

 菅内閣の「新成長戦略実現会議」の資料によると、TPP協定の最大の特徴は、2015年までにあらゆる分野の自由化・関税撤廃を実施することです。
 一般的なFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)は、貿易額で1割程度は協定の例外にできます。
 それに比べても、際限のないものです。

加盟したらどうなるか

 農業の専門日刊紙・日本農業新聞は、「論説」で、次のように警告します。

 「日本がTPPに参加すれば、関税による国境措置は効力を失い、米、麦、乳製品や牛肉など畜産物、砂糖など多くの農産物が壊滅的な打撃を受けることは必至だ」(5日付)

壊滅的な打撃

 農水省試算では、米は90%の減、小麦99%減、牛肉79%減、豚肉70%減など「壊滅的な打撃」となります。
 食料自給率は12%に激減します。

 日本農業は、1995年に外国産米の輸入をしたWTO(世界貿易機関)協定受け入れでは6兆円以上の対策費を使っていますが、農業の“生産基盤”は逆に弱くなっています。
 1990年に482万人もいた農業就業者は2010年には260万人に激減しました。年間15万人のペースで減っています。

 耕作放棄地は40万ヘクタールにもなりました。

「食料主権」守る
貿易共産党主張

 民主党は、衆院選挙の政権公約(09年マニフェスト)で、「主要穀物等では完全自給をめざす」と明言しています。
 「TPP参加検討」との整合性はどこにもありません。

 日本共産党は、各国が自国の食料農業政策を自主的に決める権利「食料主権」を保障する貿易ルールをめざしています。

 7月の参院選の政策でも、次のように指摘しています。

 「日米FTA、日豪EPA、アジア・太平洋FTAでは、農業を除外することはありえず、日本農業に壊滅的な打撃を与えるのは必至です。
 日豪EPA交渉はただちに中止し、日米FTA、アジア・太平洋FTAには断固反対します」

2010年10月18日(月)「しんぶん赤旗」要約

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