琉球の空手は、中国拳法の大きな基盤の上に立っている。
中国拳法は、南派・北派の二派に大別するこどが考察される。
南派は、南方の福建省・広東省で行われた拳法である。
北派は、北の主な河北省・河南省・山東省の拳法である。

 あの広大な中国であるから、南北の違いは、すべてにおいて不思議ではないことは、拳法にも言える。
また戦乱の絶え間ない中国において、各種の拳法が研究発展したのは自然である。

 「南船北馬」の語も南方の交通はおもに船が使われ、北方は馬が使われた事から生まれた。

空手の猫足立ちの姿勢は船の上で櫓を漕いでいる姿勢であるとされている。それは革命家に武術家が多く、官憲の眼を逃れるためにその多くは船に隠れて生活していた。

また、ナイファンチンの騎馬立ちの姿勢も、走る馬に跨って武器を左右に振り回している姿勢であると言われている。

 「南拳北腿」の語は、南方で行われている拳法は接近しての手技が多く、逆に北方では、離れて脚を多く使い、動作も大きく行う特徴がある事から出来たと伝えられている。

北方の人々は、永い酷寒期に両手を両袖口に入れて、幼い頃から脚で毬を蹴りあって遊び、脚を巧みに使う事に馴れている。

 また、南方ではマラリヤが蔓延し、したがって マラリヤの罹病者が多く、腹部(脾臓)を突かれると致命傷であり、その地では、腹部への打撃を狙った。
その生活環境が武術に及ぼす一面を表している。

 中国においては、生物の闘争やその運動法からヒントを得て考案された拳法が多く、
鶴・蛇・虎・蛸・蟷螂・犬・猿などそのほか拳法が有る事は有名である。

剛柔流空手は、動物でも極めて獰猛な黒虎・俊敏身軽な白鶴の拳法である。
すべての型に気迫が満ちている事からも窺われる。