<民営化に関する懸念への対応>
(1)安全に対する取り組み
@巨大津波から地下鉄を守る(津波対策)
(これまでの取り組み)
・津波到達までの2時間以内に、すべてのお客様に確実に避難していただくために「避難確保計画」を作成するとともに、避難誘導訓練に取り組んでいます。
(今後の取り組み)
・津波浸水の恐れのある場合、1時間以内にすべてのお客様の避難を完了します。
・停電した場合、駅と駅の間に列車が立ち往生することなく、確実に走行できるよう大容量蓄電池を導入します。
・避難完了後、施設を津波浸水から護るために必要な設備を整備します(止水扉・パネルの改良、新設)。
Aトンネルや橋を使い続けるために、延命対策を行います。
(これまでの取り組み)
・建設以来80年経過しても、地下鉄のコンクリートは建設当時の健全度を保っています。平成2年からコンクリートなどのデータを取って、監視しています。
・適切な点検により、傷みを早期に発見しただちに補修を行っています。
・トンネルや橋のメンテナンスに必要な予算は十分に確保されています。
(今後の取り組み)
・今後とも、メンテナンスに必要な予算は確実に確保していきます。
・さらに長持ちさせるため、「転ばぬ先の杖」の精神で、先手先手の取り組みを行っていきます。
B地震に強い地下鉄をつくる(耐震対策)
(これまでの取り組み)
・平成7年に発生した阪神・淡路大震災以降、高架橋脚約1,000本、トンネル中柱約1,500本、特殊構造物を補強。
(今後の取り組み)
・阪神・淡路大震災を受けて、補強の対象外と判断していた橋脚の一部が、東日本大震災で被災しました。すでに新たな国のルールに従った取り組みを始めています。(橋脚や中柱の補強、脱線防止対策)
Cその他のこれまでの取り組み
・様々な教育訓練の取り組みにより輸送の安全を確保している。
・運転保安設備等の整備
地下鉄全線には、既に列車の衝突や速度超過を防ぐための完成した仕組みATC(自動列車制御装置)が整備されている(昭和47年11月に完了)。
ATC装置の信頼性向上を図ることを目的に、平成2年からデジタル処理方式のATC装置の導入を進め、平成23年2月に全路線で導入を完了した。
・転落防止対策
軌道転落防止のために可動式ホーム柵の設置のほか、点字ブロックの更新など様々な対策を実施している。
D今後の安全投資計画
地下鉄の安全運行のために必要な、様々な設備や施設を保有しているが、これまでも各種設備・施設がその機能を常に維持するために、計画的に投資を行ってきた。
今後、安全関連の投資は民営化後5年間で約1,000億円の計画を立てており、運転保安設備の維持管理や更新に努めるとともに、地下構造物の予防保全による延命化、高架橋やトンネルの更なる耐震性の向上などに取り組んでいく。さらに、車両や施設等の修繕に年平均約80億円を充てることとあわせ、輸送の安全確保を達成していく。
≪安全関連投資計画≫
・南海トラフ地震に伴う津波・浸水対策:5年で97億
・耐震対策、トンネルや高架の延命化対策:5年で194億
・保安・防災対策:5年で158億
・老朽設備の更新:5年で297億
・安定輸送対策・車両更新・その他工事:5年で382億
(2)バリアフリーに対する取り組み
・これまで市営交通バリアフリー計画のもと、全国の鉄道事業者の中でも先駆けてエレベーターによるワンルート整備に取り組んできた。今後はバリアフリー経路の改善や更なる利便性向上をめざし、お客様に喜んでいただける、新たなエレベーター整備やエスカレーター整備を実施していく。
(3)未着手の地下鉄条例路線の整備の在り方について
(検討の方向性)
・必要性の検討ではなく、「財源の確保」、「コストの削減」に加え、「需要の喚起・創出」の取り組みの3つの視点から、判断基準や行政と事業者の役割分担の明確化など、その事業化の方策について検討。
(今後の方針)
・未着手の地下鉄条例路線(4路線)について、審議会からの答申を踏まえ、本市としての考え方を明確にし、新会社はその考え方を最大限尊重していく。
・民営化後も、未着手の条例路線が国の次期答申に盛り込まれるよう、行政の交通政策部門と連携しながら、これまでと同様に事業者として要望を行っていく。
(4)地下鉄という貴重な財産が分割されて売却されるという懸念について
・民営化により、地下鉄は、市民・お客様のために、これまで以上のサービスを目指して運行を続けていく。
・また、地下鉄は、一体的な料金体系のもとで、各号線が交わり結合することによって形成される、ネットワーク網をご利用いただけるサービスを提供しており、この利便性を確保するとともに、更なる向上を目指していく。
・このようなことから、地下鉄が路線ごとに分割されて売却されるということはない。
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