産経新聞2024・4・24
麻生氏トランプ氏と会談、大統領返り咲きに備え

岸田政権で失われたものとは何か?を考える。


産経新聞2024年4月1日、櫻井よしこ氏「美しき勁き国へ」より

河野太郎デジタル相が内閣府で主導した再生可能エネルギーに関するタスクフォース(FT)の会議で事件が起きた。河野氏の推薦でFTに加わった「自然エネルギー財団」事業局長の大林ミカ氏が中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴ入り資料を正式に提出していた。我が国のエネルギー政策を議論する政府中枢で中国の資料が使われていた。ここまで浸透されていたかと驚愕したのは私だけではないだろう。
河野氏肝いりのFTは構成員4人のうち、大林氏と高橋洋氏の2人が自然エネルギー財団関係者で大林氏はすぐに辞任した。が、トカゲの尻尾切りのような終わり方で済む問題なのか。
2011年に孫正義氏が創設した同財団は中国を中心に広くアジア諸国にまたがるエネルギー供給網「アジアスーパーグリッド(ASG)」の実現を目指す。
ASGに組み込まれる国は民生、産業、国防、全分野でエネルギー供給の安定を必然的に中国に頼ることになる。国家の首根っこを中国に押さえられるに等しいASGを孫氏らが目指すのは自由だ。しかしなぜ、河野氏はそうした人々を重用するのだろうか。
気になることを国民民主党幹事長の榛葉賀津也参議院議員が指摘した。
「河野氏が外相当時、気候変動の有識者会合を設置しました。その異常な人選と内容をわが党議員が国会でただした。有識者各氏は意見書で化石燃料由来の発電は中止、石炭火力発電の段階的廃止計画を明示せよなどと再生可能エネルギーを強く押していました」
平成30年3月23日、参院経済産業委員会で同党の浜野喜史議員がただした。
「今年2月、外務省は気候変動に関する有識者会合で、エネルギーに関する提言をまとめています。これは外務省の見解を示したものですか」
外務省側は「あくまでも有識者の現状に対する危機感の表明」で、それが「外相(河野氏)に対して提出された」(だけ)と答えた。外務省見解ではないということだ。浜野氏はさらに、有識者9人のうち3人が孫氏の財団の執行メンバーだと指摘した。前述のように今回のFTでは4人中2人が財団関係者だった。
この人選の偏りは何を示すのか。著名な政治家が主催する会議の結論はおのずと大きな影響力を発揮する。河野氏が再エネ推進で影響を及ぼそうとしているのは明らかだ。動機は何か。氏の自然再生エネルギーへの肩入れ、化石燃料の否定は我が国の国益にどう合致するのか。この疑念に関して河野氏はきちんと説明すべきだ。
政府は、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づく温室効果ガスの削減目標の達成に向け、脱炭素化に10年で官民合わせ150兆円超の投資が必要だと想定し、うち20兆円を支援する方針だ。専門家らは我が国のエネルギーを再エネで賄おうとすると、この額はやがて何倍にも膨らんでいき、日本経済を押しつぶすと危惧する。
いま莫大な資金を風力発電などに注入することが正しいとは思えないのだ。それが我が国の産業を下支えし、国民生活を豊かにするとも思えないのである。加えて風力発電に関しては設備のほとんどが中国からの輸入だ。利益は中国に吸い取られる。さらなる再エネ賦課金で、ただでさえ国際的に高額な我が国の電気料金はより高騰する。国民負担も国内産業への負担も尋常ではない。
河野太郎氏や自民党の小泉進次郎衆議院議員は再エネに莫大な資金を投入し電気自動車(EV)を増やすという。しかし、日米欧のどこでも政府が補助金を出してもEVは消費者から敬遠され始めた。・・・・・
・・・・・
繰り返す。パリ協定は破綻した。再エネへの巨額の支援、投資はやめるのが国益だ。広く世界を見つめて、日本だけが世界の潮流に取り残され、国力を衰退させる事態は防がなければならない。
エネルギー分野で我が国が中国の影響下に置かれることも回避しなければならない。一般常識から見れば奇々怪々の動きを見せてきた河野氏だからこそ、その行動の意味と意図を国民に説明する責任がある。


再エネに中国の影、河野太郎氏の責任追及「なぜ財団を重用するのか」国民民主党・榛葉幹事長「国家安全保障に直結」ー夕刊フジ2024・3・30ー

再生可能エネルギーに関する内閣府のタクスフォースに提出された資料に中国企業のロゴが表示されていた問題で、国民民主党の榛葉(しんば)幹事長は29日の記者会見で、河野太郎規制改革担当相の責任を追及した。
一連の問題について榛葉氏は「経済安全保障やエネルギー安全保障に関わるアドバイスや身元の確認をする必要がある。説明責任は内閣府や大臣にあると思う」と述べた。
資料を提出した自然エネルギー財団の大林ミカ氏が構成員(現在は辞任)となった経緯について「なぜ河野さんが財団をたびたび重用するのか、大林ミカさんを使われるのか、ご自身の発想なのか、政府のアイデアで使っているのか明らかにする必要がある」と言及。河野氏が外相時代に立ち上げた気候変動に関する有識者会合で9人のうち、同財団から3人が入っていたと指摘した。
河野氏が防衛相時代に防衛施設の設備を再エネにする方針を示したことについて、防衛副大臣の経験もある榛葉氏は「再エネ率100%の基地や駐屯地が結構ある。その中(再エネ事業者)の一部は外国の会社が入り、華僑の方が大株主との実態も判明している。まさに国家安全保障、エネルギー安全保障に直結する問題だ。しっかりとこれこそ真相究明しなければならない」と発言した。


LGBT法成立、喜ぶのは誰?(産経新聞2023・6・23「モンテニューとの対話」より前半)
絶望的な気分だ。

【日本は米国の属国なのか】
16日、LGBTなど性的少数者への理解増進法が成立した。拙速という言葉以外に浮かばない。我が国に混乱をもたらすだけではないだろうか。推進した岸田文雄首相と立法府は何を考えているのだろう。絶望的な気分だ。
長らく法官をつとめたモンテーニューが第3巻第13章「経験について」に記した言葉がすぐに浮かぶ。
≪法律はしばしば愚者によってつくられ、(中略) 空にして心定まらぬ人間によってつくられているのである≫
それでも法律は法律だ。モンテーニューはこうも書く。
≪法律が信奉されているのは、それが正しいからではなくて、それらが法律であるからだ。これが法律の権威の不可思議な根拠で、ほかに根拠はないのである≫
私たちはこれから、「空にして心定まらぬ人間によって作られた」この法律に縛られて暮らすことになるのである。嗚呼。
明治維新後、欧化政策の一環として鹿鳴館を建設し、そこで舞踏会を開き、似合いもしない洋装で国賓や外交官を接遇していた屈辱的で滑稽な光景を思い出さないか。今回のLGBT理解増進法の制定は、鹿鳴館時代を繰り返しているように、私には思われた。すなわち、西欧に追随することで、「ごらんください、よくやっているでしょう」と、日本以外の先進6か国に、我が国が文明国であることを認めてもらおうと、必死になっているように見えたのである。なんともいじましい。
そしてもうひとつ。敗戦後、連合国最高司令官のマッカーサーによって統治されていた時代をも思い起こすのである。
ラーム・エマニュエル米駐日大使は、ツイッターを通じてLGBT理解促進法の制定を執拗に促すと同時に、米国務省でLGBTIの人たちの権利擁護を担当しているジェンカ・スターン特使の来日をアレンジし、我が国のLGBT議連の役員、公明党の山口那津男代表らに引き合わせ、同法制定の地ならしを行った。日本は実質的に米国の属国であり、米国民主党の意向を押し付けることは内政干渉には当たらないとでも考えているようだ。腹立たしい。
元参議院議員の松浦大悟さんによれば、米オバマ政権は2013年8月、4人の日本人を米国に招待し、LGBT研修を受けさせたという。費用はすべて米国国務省が負担した。招待された4人はすべてLGBTの当事者だった。松浦さんはそのひとりだ。こうして帰国した松浦さんを除く3人は、関連法の制定のために精力的に活動した。
米国には世界各国から有能な青年を招き、両国間の相互理解に貢献できる人材育成などを目的とした教育プログラムもあるが、松浦さんらの研修は、そのLGBT版とみえてくる。
ところで、G6には、LGBTに特化した法律はないという。つまり、今回それに特化した法律を制定させることで、我が国を壮大な社会実験の場とするつもりなのか、と勘繰りたくもなる。

【理解増進は教育につきる】


LGBT法成立、喜ぶのは誰?(産経新聞2023・6・23「モンテニューとの対話」より、後半)

【理解増進は教育につきる】


2024・2・28産経新聞「正論」
高井康行氏「台湾有事は日本有事」は正しい、元東京地検特捜部検事が講演

沖縄「正論」友の会第63回セミナーが26日、那覇市内で開かれた、元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行氏が「今、そこに迫る危機台湾有事℃ゥ民党派閥パーティー収入不記載事件の影響は・・・」と題して講演した。
高井氏は台湾有事について「中国の習近平国家主席が武力による統一にこだわり続けるかぎり、台湾有事は起きるとみなければならない」と指摘。
台湾の次は沖縄が対象になると考える必要があるとの認識を示し、「安倍晋三元首相が残した『台湾有事は日本有事』tぴう言葉は正しい」と語った。
また、台湾有事で行動する米軍に日本が後方支援をした場合、中国による核の脅威も想定されるとし、「核の恫喝に負けないためにも核に関する議論を進め、国民が基本的な核抑止構造を理解する必要がある」と強調。
「自衛隊の存在を憲法で明確に位置づけなければならない」とも訴えた。
一方、日本周辺の安全保障環境が厳しさを増す中、自民党派閥のパーティー収入不記載事件がまだ政界を揺るがしていることを憂慮。「一日も早く政治を正常な状態に戻し、国民が信頼できる政府をつくる必要がある」と警鐘を鳴らした。

台湾の次は沖縄⁉️





2024年1月27日(土)のテレビ朝日「正義のミカタ」、自衛隊員の待遇改善の必要性について議論されていました。自衛隊員が災害救助・復興現場に行くために自腹(自費)で必要な装備品を調達しているという現状が初めて報道されました。


549人が選んだ「次の首相になってほしい女性政治家」ランキング1位は高市氏、2位に浮上した“ダークホース”とは?=AERAdot. 2024・1・26=

最新のANNの世論調査(1月20日、21日実施)では、岸田内閣の支持率は20・4%と政権発足以降最低となった。政府・与党は26日にも通常国会を招集する見込みだが、自民党の裏金問題などへの岸田文雄首相の対応には党内からも公然と不満の声が上がっており、首相の求心力は急降下している。

【高市氏はダブルスコアでトップ】
2位にダブルスコア(121票)をつけてトップとなったのは、経済安保担当大臣の高市早苗氏だった。票を入れた人のコメントを見ると、「強い日本に導いてくれそう」「既得権益軍団と戦ってくれそう。世襲議員にはない厳しさを持っている」「国を思う強さが伝わるからこそ、領土問題について他国と戦える政治家は高市さんしかいない」などと、国力・国益を重視する一貫した姿勢や、パワフルな政治手腕を評価する声がずらりと並んだ。安積氏も、「目先の問題意識だけでなく、50年後、100年後の日本のビジョンを示せる数少ない政治家の一人」と話す。
【2位に入った政治家は「鉄の女」の異名】
2位に名前があがったのは、63票を集めた現外務大臣の上川陽子氏。・・・
前出の安積氏は、川上氏について「ハーバードの大学院に留学していただけあって、義理人情を重んじるというよりは、アメリカ的なドライさで職務を淡々とまっとうする政治家」としたうえで、こう語る。「川上さんは、カトリック系女子中高一貫校の出身。カトリックは死刑反対の立場をとっており、過去には死刑執行命令を拒否した法務大臣もいるなか、(オウム真理教元幹部の死刑執行は)思いきったなと感じました。ただ、自分の職務を果たす胆力がある一方で、自分の国家観を積極的に発信する姿は、あまり見受けられません。言われたことを忠実にこなすという意味で、どこか官僚的な印象も受けます」。


高市早苗氏がトップに「わが国初の女性首相」ふさわしい人物調査 、上川外相や蓮舫議員が続く。保守層の危機感、派閥批判の表れ。ー2023・12・19 夕刊フジー


「台湾の軍事統一許されず」麻生氏、米で講演 中国牽制
ー産経新聞2024.1.11よりー

自民党の麻生太郎副総裁は10日、米ワシントンで講演し、中国の習近平政権が武力行使による台湾統一を選択肢としていることを指摘して「軍事的統一は許されない」と牽制した。「中国との対話継続を諦めてはいけない」とも述べた。米国には環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への復帰を求めた。
麻生氏は講演で、「現実主義」に基づき中国の台湾侵攻を抑止する国際的な取り組みを米国などと進めるべきだと主張した。「中国と台湾のハイレベルな政治対話」を通して地域の安定の維持を図るよう訴えた。
「中国が大国として国際秩序の安定に責任を持つよう説得しなければならない」とし、日中韓やASEANプラス3(日中韓)の枠組み活用も提案した。
TPPについては、英国が新たに参加したことに触れ、米国が復帰すれば「その規模は世界経済の約4割に達する」と指摘。韓国も参加すれば、「安全保障と経済が表裏一体となる」と述べた。米英豪の安全保障枠組み「AUKUS」への日本の参加を提案した。
講演は米シンクタンク「米国大統領制兼議会制研究所」が主催し、米議会内の施設で行われた。米国は、トランプ前政権がTPP離脱を決めた。

産経新聞2024年1月4日に掲載された、西岡力氏と江崎道朗氏の対談記事より一部引用しました。詳しくは産経新聞で全文をお読みください。

ーインテリジェンスが重要、続いている「第2次冷戦」ー

【江崎】全体主義の政権においては、KGB(ソ連国家保安委員会)に代表されるようにインテリジェンス機関は人権弾圧機関になりがちなのです。だから、国家がインテリジェンス機関をきちんと運用するためには自由主義でなければなりません。『インテリジェンスと保守主義(青林堂)』では、旧ソ連の影響下にあった東欧諸国で、インテリジェンス機関がいかに人権弾圧機関になっていかざるを得なかったのかを現地取材をしてまとめました。日本が今後、インテリジェンス機関を強化するにあたっても、自由主義体制を死守した上でなければなりません。
【西岡】現在はインターネットが発達し、それが慰安婦問題の誤報について朝日新聞が謝罪することにもつながりましたが、一方で世の中の人たちは長い文章を読まなくなる傾向にあって、落ち着いた議論がしにくくなっているという状況があります。そうした中でもわれわれ知識人の責任として、きちんと調べて書いたものを残しておかなければなりません。残しておけば、次の世代の人たちに読んでもらえる。
【江崎】おっしゃる通りです。
【西岡】私が慰安婦問題に取り組み始めたころは、自分が生きている間に朝日新聞が謝罪するなんて考えられませんでした。そして韓国で慰安婦問題についてのシンポジウムが開催できる日が来るなどあり得ないと思っていましたけれども、少しずつでも真実を解明し蓄積して広めていくことでついに実現した。同じように何事も、一歩一歩進めていくしかありません。そういう意味で、江崎さんも師匠筋の方々も、左右の全体主義と戦うという正論人生で生きてこられた。だからこそ江崎さんは、今回の正論大賞受賞にふさわしいと思います。

※2014年12月23日の朝日新聞に
「記事を訂正、お詫びしご説明します。朝日新聞社
慰安婦報道、第三者委員会報告書」と題する記事が載せられました。

産経新聞1月4日の西岡力氏と江崎道朗氏の対談より一部を引用しました。詳しくは産経新聞をお読みください。

東京裁判史観の源流

【西岡】それともう一つ、江崎さんの仕事で特筆すべきなのは『日本占領と「敗戦革命」の危機』(PHP新書)の刊行です。私はこの本の書評を産経新聞で書いたのですが、この本は「江崎史観」ともいうべき、歴史に残る作品だと思っています。
その内容を端的に言えば終戦直後のわが国には右翼全体主義勢力と保守自由主義勢力、そして共産革命勢力が併存していた。マッカーサーは当初、その共産革命勢力が味方だと思い、前2者を同一視して、両方ともが軍国主義だと勘違いした。しかし、昭和天皇らの尽力と中国本土共産化・朝鮮戦争勃発などで、米国の占領政策も保守自由主義勢力を重視する方向に変わっていった。もしそうならなければ日本でも革命が起きていたかもしれない、ということが詳細に書かれているのです。
【江崎】先の教科書誤報事件があったころは自民党もメディアも、いわゆる東京裁判史観、ないしは日本悪玉史観を誰もが信じていた時代でした。日本は侵略戦争をやり、植民地支配をしたひどい国だという戦後の歴史観、これは米国が主宰した東京裁判で形作られたものです。そこで私は、東京裁判史観を見直すことと日米同盟との関係にどう整合性をつけるべきか、と悩むことになったのです。朝日新聞などは1990年代、東京裁判史観の見直しは米国に歯向うことであって、日米関係を悪化させることにつながる、という趣旨のことをさかんに言っていました。
そこで私は東京裁判史観がどのように形成されていったのかを調べることにしました。すると戦前から、米国で反日宣伝をやっているグループがいたことが分かってきたのです。
中国国民党系に加えて中国共産党系、さらにはソ連共産党や米国共産党などの構成員らが、戦前から反日プロパガンダを展開していたことが、日本の外交文書などから見えてきたのです。実は東京裁判史観は米国ではなくソ連と中国が源流ではなないのか、ということが浮かんできた。
米国がソ連や中国の影響力工作を受けていたのなら、もしかして日本も同じだったのではないか。そう考えて調べてみると、やはり戦前の日本でもソ連の影響を受けて左翼全体主義が出てきて、それへの反動で共産主義への反発から過激な右翼が出てきたわけです。
「『資本論』を持っていれば共産主義者だ、国賊だ」と決めつけて、自分たちが気に入らない言論を弾圧しようとする右翼全体主義が出てくる。そして左右の全体主義の間で、学問の自由を守ろうとする美濃部達吉先生や佐々木惣一先生のような保守自由主義者たちが両方からつぶされていきました。現在の言論空間にも、何か似たようなものを感じます。
【西岡】同感です。この近現代史の解明こそ、江崎さんがこれまで取り組まれた仕事の中でも一番重要なものだと思います。

産経新聞2023・1・4の「江崎道朗(情報史学研究家・麗澤大学客員教授)と西岡力(モラロジー教育財団道徳科学研究所教授)の正論対談」から。詳しくは産経新聞をお読みください。

ー左右の全体主義との戦いー
【西岡】50年前になぜ正論路線が始まったかといえば、そもそも日本の論壇や学界は共産主義信奉者、すなわち左の全体主義が主流だったわけです。日本でも冷戦は戦われており、その中で自由を守るためにと始まったのが産経新聞の正論路線でした。左右の全体主義と戦うというのが当初からのコンセプトだったのです。・・・・
【江崎】『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)の中で触れましたが、日本が憲法改正するときには当然、近現代史をいかに総括しているのかが世界から問われることになります。その際、5・15、2・26事件をどう捉えるかが重要です。そして皇室を尊崇するからこそ自由主義路線でいくというのが、我が国の五箇条の御誓文以来の伝統だったはずなのです。それがやがてソ連由来の左翼全体主義への反発から過剰に攻撃的な右翼全体主義が生まれてしまった。かくして治安維持法制定以降、日本では自由な議論が少しずつ排撃されていく。
幸いなことに戦後、先人たちは熟議を重ねて、自由主義に基づいて国を発展させていこうとしました。だからこそ昭和天皇は昭和21年元日の「新日本建設に関する詔書」で五箇条の御誓文のことをあえて掲げられたのです。
あれだけ死力を尽くして戦った米国と戦後、手を組めたのも、米国の中に我が国に自由主義の存在を見る勢力が存在したからでした。日本に降伏を迫ったポツダム宣言の中にも「日本国政府は日本国国民の間における民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障礙を除去すべき」と書かれていた点はもっと注目されていいと思います。つまり戦前の日本にも民主主義的傾向は、確かにあったのです。
要は米国も一枚岩ではなく、日本を敵視した政治勢力もいれば、日本との連携を模索した自由主義勢力も存在していました。にもかかわらず、日本を敵視した政治勢力だけが米国だと思い込んで反米感情を抱く人が左派系だけでなく、保守系にも多い。
【西岡】そこには反米思想も入ってくるわけですね。
【江崎】そうです。そうした混沌の中で、どうやって自由主義陣営の一員として日本の自由と平和を守っていくのか、というかじ取りで本当に苦労してきました。
【西岡】そこで改めて、三島由紀夫をどう評価しますか。保守系の人の中には、三島が好きな人が多いじゃないですか。
【江崎】多いんですよね。ただ私は五箇条の御誓文を重んじる立場から戦時中に言論統制や統制経済に反対した小田村寅次郎・元国民文化研究会理事長の系譜を継いでいるので、政治テロを容認する議論には違和感を抱いてきました。
憲法改正に向けて問題提起をされた三島由紀夫さんに敬意を表しておりますが、2・26事件を評価する議論には賛同できません。それで私は2・26、5・15事件を批判する本を書きましたけれども、ほとんど反応がありませんでしたね。
【西岡選手】そうでしたか。私は江崎さんのやった仕事で良かったことの一つは、米国の保守派とパイプをつくったことだと思います。国会議員をも連れて行って、保守ということを米国側と一緒に考えたのは大きな功績です。拉致問題の解決に向けた運動でも、米国のほしゅはと組んで来られた。拉致問題も結局、全体主義対自由主義の戦いですから、米国の自由民主主義を奉じる保守派は味方だというわけですね。
【江崎】西岡さんとは昨年3月、一緒に韓国にも行きましたね。
【西岡】ええ。先ほどは右翼全体主義勢力と自由民主主義勢力という分け方をしましたが、歴史問題についていえば、韓国にも日本にも「うそつき勢力」と「真実勢力」がいる。オールジャパン対オールコリアの戦いではなく、双方に敵と味方がいるのです。
【江崎】そして真実勢力の人たちは、事実はどうであったのかということを徹底して調べるんですよね。一方、うそつき勢力、全体主義の人たちは基本的にレッテル貼りを得意としているのです。しかし、レッテル貼りと非難では、真実は見えてきません。
戦前は右の全体主義者たちが「鬼畜米英」とか「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」などとレッテルを貼って反米、反中を煽っていましたが、その結末は悲惨でした。私は学徒出陣も経験された小柳陽太郎先生(元九州造形短期大教授)から「相手の国を非難する前に、相手の国の内情を徹底的に理解すべきだ」と、よく言われたものです。
だから東京裁判史観にしても、「けしからん」と文句をつけるひまがあるのなら、東京裁判史観はどういう経緯でつくられたのか、まずは徹底的に調べることが先決だと思ったのです。いくらスローガンを叫んでも政治は変わりません。本当に政治を動かそうとするならば、まずは敵と味方についての徹底した情報収集・分析が必要です。やはり相手の内情をきちんと理解せねば、対策の打ちようがありませんから。

安倍首相がテロによって暗殺された翌日、2022年7月9日の産経新聞論説委員阿比留瑠比氏の記事

安倍晋三元首相がテロによって暗殺された翌日、2022年7月9日の産経新聞に論説委員の阿比留瑠比氏の記事が掲載されていました。紹介します。

「天職」を持った稀有な政治家ー論説委員兼政治部編集委員ー

日本の将来に、二重に暗雲が垂れ込めた。安倍晋三元首相が8日、銃撃され亡くなった事件は経済政策でも安全保障面でも歴史認識問題でも日本を引っ張ってきたリーダーを失うことを意味する。同時に、日本社会にとりテロが身近な存在になったという暗い予感すら覚える。
「すごく盛り上がっていた。あの候補は午後8時の時点で当確が出るだろう。自民党はかなりの確率で60議席いくんじゃないか」
前日の7日夜には、参院選について安倍氏に電話で取材し、応援に入った候補の情勢を聞いたばかりだった。連日の全国行脚の疲れも見せず、すこぶる元気な様子だったが、選挙区によっては対立候補の支援者らが「暴れることがある」とも話していた。
左派文化人や一部マスコミは、安倍氏に対しては何を書いても言ってもいいとばかりに、罵詈雑言を浴びせてきた。憎悪を煽る彼らには、これまでも行きすぎた場面が多々見られた。
犯人は、日本の針路を指し示す羅針盤であり、エンジンでもあった安倍氏を退場させることで、日本をどこに向かわせたかったのだろうか。選挙応援中の元首相を銃撃する行為は民主主義の否定そのものである。
安倍氏は第一次政権時には、占領下に作られた教育基本法を初めて改正し、防衛庁を省に昇格させ、憲法改正に必要だが未整備だった国民投票法を制定した。
第二次政権以降は経済政策「アベノミクス」で株価を上げて雇用を創出し、国家安全保障会議(NSC)を創設し、政府の戦略的意思決定を迅速化した。
集団的自衛権の限定的行使を容認する安全保障関連法を成立させ、緊張が高まる東アジア情勢に対応し、機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法をつくった。
慰安婦募集の強制性を根拠なく認めた河野洋平官房長官談話の作成過程を検証し、米国のトランプ前大統領に北朝鮮による拉致問題の重要性を説き、米国のこれまでにな関与を引き出した。自民党が憲法改正案に「9条への自衛隊明記」を打ち出したのも安倍氏の意向である。
憲政史上最長の通算3188日の在任期間を終えた後も、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保持や、防衛力の抜本的強化・防衛予算の増額などで自民党内の議論をリードしてきた。積極財政派を率いて、財政規律に傾きがちな岸田文雄政権を牽制する役割も果たした。
日本の政治と現在は、安倍氏を抜きには語れない。ともすれば軸がぶれがちな自民党が保守政党を名乗っていられたのも、安倍氏とその同士らの存在があるからにほかならない。
若い頃から難病指定の潰瘍性大腸炎に悩まされながら、2度も首相に上り詰めた安倍氏は時折、次のマックス・ウエーバーの言葉を引用してきた。
「断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への『天職』を持つ」
まさに安倍氏自身のことだろう。24年前に初めて取材したときから、安倍氏の政治信条は全く変わらず、人柄は優しく誠実なままだった。「天職」を持つ稀有な政治家の突然の死去が、残念でならない。

令和3年に行なわれた、故安倍晋三元首相の講演内容に、今一度耳を傾けよう。岸田政権で失われたものとは何か?

日本を取り戻す確かな道を、力強く前進させよう、経済、外交安保、憲法
ーー安倍晋三『日本の息吹』令和3年9月号ーー(令和3年7月14日に開催された日本会議東北地方議員連盟総会での講演内容)

【日本の経済力の向上がソフトパワーを向上させる】
第一の経済については、私たちはその後アベノミクスと言われる政策を進めることになります。政治の最大の責任は、働きたい人に仕事がある社会を築くことです。最大の特徴は、金融政策にありました。それは簡単に言えば、日本銀行に頑張ってもらうことです。何を頑張ってもらうかというと、単純化して言えば、輪転機を回していただくということです。
昨年のコロナ対策を例にとると、安倍政権での200兆円の事業費の内、80兆円近くのお金が動く予算です。そのほとんどは、日本銀行に国債を買ってもらいました。
アベノミクスの金融政策では、間違いなく雇用にも影響を与えたと思います。その結果、400万人の雇用が生まれました。15歳から65歳の生産年齢人口がぐっと減る中で、これを埋めて、さらに400万人の雇用を創出したんです。
政権を取る前、正社員になりたいと思う100人の人に対して53人しか正社員の職がなかったんです。それが、平成31年の段階では100人の正社員になりたい人に対して、157人分の正規雇用ができるようになりました。
雇用において高校大学を卒業した皆さんが就職できる最も高い水準の就職率を獲得することができたと思います。この経済力を元に戻すことによって世界から注目を浴び、私たちのソフトパワーを強めることができたと思います。

【平和安全法制で助け合う日米同盟に】
第二に、外交安全保障における日本の地位復活が挙げられます。外交安全保障における基盤は日米同盟です。鳩山さんは「トラストミー」と言って、結果は全然うまくいかなかった。日米の信頼関係はズタズタになったと言ってもいい。東日本大震災で米軍はトモダチ作戦を展開し、日米の絆を再確認しましたよね。しかしあの時期、その絆は、とても弱くなっていた。
現在の日米同盟とは何でしょう。極論すると、日本が海外から侵略された際に、米国の若者が日本のために命を懸けて戦うということです。信頼している相手にしか命は懸けられないのは、当たり前のことですよね。信頼できない相手のために命を懸ける人はいない。
我々は信頼を回復するだけでなく、より強固な同盟にするために、集団的自衛権の行使を可能とする「平和安全法制」を整備しました。同盟は友達同士が助けあってはじめて強い絆が生まれます。例えば、平和安全法制を作るまえ、日米共同訓練年24回(平成25年)くらいだったんです。令和2年には約50回ほどと倍増しています。
実はトランプ政権ができた際、大統領は私にこう言うんですね。「日本が北朝鮮に攻められたら、俺たちは助けるよね。で、俺たちが戦っている時、安倍さんはじめ日本人は皆SONYのテレビでじっと見ているんだろう。もっと米軍の駐留経費払ってよ」。
そこで私は、「だから平和安全法制を制定したんですよ、今では日本も米国を助けるようになったんですよ。今では、米国の空母を日本のイージス艦が守っているんですよ」と話しました。
空母はイージス艦がいなければ航行できません。イージス艦は地平線を越えてレーダーを飛ばし、周囲の情報を収集します。水上、航空、そしてそこからの様々な攻撃に対し、指示を出して空母を守るんです。空母に乗っている5000名の米国軍人の命が、日本のイージス艦に託されているんです。
このような国と国の関係はおそらく、他に例を見ないのではないでしょうか。
私はトランプ大統領に、「法案審議の中で、私は支持率を十数ポイント落としたんです」と話したら、「安部さん。グレイト。安部さんはやっぱりサムライだね」と話していました。そうしたこともあり、米軍駐留経費の要求は、そこで一時ストップしました。
でも、また別の機会で彼は何回も言ってきたんですね。ですから私は、「日本は74%駐留経費を負担していましよ。これ以上払うと給料を払うのと同じですよ。それは失礼にはなりませんか。光熱費も住宅費も食料費も演習費もみんな日本が負担して、米国のカリフォルニアに置いておくよりも安いんですよ」と言いました。大統領は「それはわかりやすい」と言って、その後は言わなくなりました。
しかし、強固となってきた日米同盟でも、残された宿題はいくつかあります。例えば日本は、自国の安全を守るために、日本に飛んでくるミサイルを撃ち落とすミサイル防衛網を持っています。世界でも最先端のものですが、イージスアショア導入が困難になりましたから、今後は別の形を検討していくことになります。
日本は専守防衛の枠組みの中で、ミサイル防衛システムを強化していますが、でもこれは大変なんですね。マッハで飛んでくるミサイルを二段階で、イージス艦から発射したSM3ミサイルで撃ち落とす。失敗すれば今度はPAC3で撃ち落とす。
では反撃はどうするかといった時に、今では、米国の打撃力に頼らざるを得ない現実があります。
米国が反撃をためらったり、あるいは日本にも反撃を求めてきたときにどうするのか、過去の国会論議で、敵基地を攻撃することは憲法には違反しないと政府は答弁してきましたが、具体的にどう対処するのかという課題が、まだ残っているのです。これからの政権で結論を出さなければならない課題だと言えるでしょう。

【日本も国際的なルール作りに積極的に参加を】
日本は、自由世界の中で、第2位の経済大国です。やっぱり日本の発言には、どの首脳も耳を貸すんです。
日本人は、戦後70年間、世界が作ったルール真面目に従う優等生でした。それによって日本の信頼が積み重ねられてきました。
私は総理になった時に、これからは日本もルール作りに積極的に参加すべきという信念のもと、TPP交渉や、日EU・EPA交渉において日本が発信してルール作りを進めてきました。
また、日本はこれまで世界はどうあるべきか、地域をどうまとめていくかということを、あまり話しませんでしたよね。私はそれはおかしいと考えている。
日本こそがインド太平洋地域において理想とビジョンを語るべきだと考え、「自由で開かれたインド太平洋構想」を平成28年に発表しました。
これは平成19年の第一次政権でインドで発表した「二つの海の交わり」という演説を基にした考え方です。多くの国々が海を通じて人々が行き交い、交流し、富を蓄積してきました。
それが可能になったのは、海洋が自由で、開かれていたことにあります。それが海洋法によって保証され、国際法が確立していったのです。「インド太平洋」という新しい地政学的概念を発表した結果、珍しいことに米国も「アジア太平洋軍」の名前を「インド太平洋軍」へと変え、安部政権で考えたことを認め「インド太平洋戦略」を発表しました。今では、ドイツをはじめとするヨーロッパもそういった考えを示しています。
つまり、日本が示した地域のビジョンを世界が共有する時代になってきた。
ではなぜ日本は、これまで世界に対してあるべき姿を提唱することに臆病だったのでしょう。私は憲法の前文にある、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した」という部分に現れている考え方だと思います。外国に全部お任せしますよ、日本は出すぎたことはいたしませんと、そうした発想できたのではないか。
今では、世界が日本のリーダーシップを求めていると私は感じています。
このコロナ禍の中にあって、みんな自国ファーストが強くなった。昨年来世界的な医療物資の枯渇、ワクチン不足を体験しました。こうした、どこの国も自国ファーストなっていきかねないという現実を認識しつつ、同時にこれを乗り越えて世界が協調していく道を探る努力を続けていく、二つの相反することのバランスを取っていくことがいかに大変であるのか、皆さんも認識されたのではないでしょうか。
この難しいかじ取りは、これからの政権に委ねられています。

【日本の伝統文化が持つ力を世界に発信しよう】
平成28年、伊勢志摩でG7サミットを行い、各国首脳を案内して、伊勢神宮に参拝しました。
最初お手水があったので、私はおて水受をおこない、他の首脳には、「これは宗教的行事という考え方もあり、みなさんはやらなくても結構ですよ、私は作法としてやりますね」と言ったら、みなさん手水を行なっていました。
オバマ大統領は「これはどんな意味があるんだ」と聞いてきたので、「これは心身を清める意味があるんですよ」というと、大統領は「じゃあ俺たちには1トンくらい必要だな」んて言っていましたね。
その後、内宮に参拝するのですが、全員が並んだ鳥居を前に、急に雲間から一条の光が差してきました。私の内心の気持ちは、「どうですか。これが日本の伝統ですよ」という誇らしい気持ちになりましたね。
拝礼の際も、「みなさん、これもお辞儀をしなくてもいいですよ」と言ったんですが、皆さん深々とお辞儀をされていました。
当時、イタリアのレンツイ首相が、「この雰囲気、聖なる雰囲気は、バチカンと似ている。でもバチカンとの違いは富の象徴が全然ない。大きな建物とか、金銀を使ったものとか全然なく、あるのは、木と自然だ。素晴らしい」と話していました。
これはみなさん、三番目の日本が持つ伝統や文化の力なんだと思うところです。

【安定的な皇位継承は伝統の重みを踏まえて】
上皇陛下の御退位、今上天皇の御即位を私たちは体験いたしました。日本の皇室は長い歴史と伝統をもって尊さを成しています。
ちなみに、トランプ大統領に「あなたを令和の時代の最初の国賓としてお招きします」というと、すごく喜んでいました。「天皇家は長いのか」と聞いてくるんですね。「長いですよ。日本は万世一系なんですよ」と説明すると、「おおそうか、英国とは違うんだな。よくそれがつながってきたな」と大変驚いていました。
126代にわたって男系で皇統をつないできた。その伝統を変えてしまっていいのかということを、常に頭におかなければなりません。
世界の中で、日本の皇室だけが「万世一系」であることの重みを受け止め、一度変えたら元に戻らないことをかみしめなければならない。
女性・女系天皇が認められないのは女性差別ではないかという方もいますが、別次元の話です。また例えば、一般の家庭に生まれた女性は結婚により皇族になる可能性はあります。でも一般の家庭に生まれた男性は100%、皇族となる可能性はないんです。
ここまで126代続いてきたのですから、守れる限り守り続けていくべきだと思います。

【「夫婦別姓」問題には「旧姓の通称使用」の周知・拡大で】
自民党は保守党として、家族の価値を大切にしてきました。「夫婦別姓」の問題は、これまでも裁判となり、既に平成27年の最高裁は民法の「夫婦同姓」の規定を「合憲」と判断していました。今年の6月23日、最高裁は、二度目の「合憲」判決を出しました。
自民党の中でも、昨年来この問題は活発に論議されてきました。同時にわが党は近年の国政選挙で旧姓の通称使用をもっと広げていくことを公約に掲げています。
この旧姓の通称使用は、今では相当に拡大してきています。あとは地方自治体や各種の団体の中で、対応にバラつきが残っている部分があり、高市早苗議員がその不備を解消するための法律を準備しています。これをまず成立させていくことが自民党の役割と思います。
別姓問題で見落とされているのは、「別姓法案」が成立すると、これから結婚する人ばかりか、すでに結婚されている夫婦も、1年か2年の経過期間にもう一度同姓のままでいいか、別姓にするのかを選び直すことができるようになるんです。別姓を選択した場合、子供がどちらの姓を名乗るかという問題も出てきます。
例えば、もし私の両親が生きていれば両親も含めて1〜2年のういに選び直す。女房からいきなり「やっぱり私は元に戻します」、ということが起こる。これは相当社会や家庭に遠心力を働かせていくのではないかと思います。

【9条への自衛隊明記は悲願】
通常国会でようやく国民投票法が改正されました。しかし、これは手続きの法律であり、中身の議論をこれから前進させていかなければなりません。
わが党はすでに4つのイメージ案、たたき台を示しています。これに則って、憲法審査会で議論をして、成案をまとめて国会で発議し、国民投票を実現したい、そう考えます。
中でも、特に9条を改正して自衛隊を明記する。2項を残すことについては、内外で様々に議論があります。
国会で3分の2の勢力を結集するには多くの議員の賛成が必要です。自民党以外の政党の賛成を得る可能性があるのは、2項を残した形で自衛隊を明記する。そのことによって、戦後長く続いた違憲論争に終止符を打つことができます。
今でも政府の立場は合憲という立場です。しかし、合憲だと言い切る憲法学者は3割しかいないのが現実です。その違憲の立場も教科書に記述されます。
あの大震災で頑張った自衛隊の子供達も勉強している。弁護士や裁判官になる学生たちも、そうした違憲の立場をとる学者のもとで学ぶわけです。
そうした解釈が分かれていく状況に終止符を打ち、一つずつ確定していくのが、私たち政治家の責任ではないでしょうか。

【日本人の手で憲法を作り直そう】
現行憲法は、ご承知の通り、最初の草案を日本人が作ったものではありません。敗戦・占領の中、一週間でGHQの外国人25人がまとめたものを骨格にしています。国家として日本がどうあるべきか、自主独立を保っていくかを日本人の視点では考えていないわけです。
前文と9条をセットでご覧になったらお分かりのように、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」、つまり立場を変えれば、「日本の安全は米国に任しておけよ」と言われているわけです。そうすると当然「緊急事態」も含めて、日本が主体的に事態を解決しようと考える必要はないという意図があったのではないかと考えられます。
自民党では緊急事態条項についてのたたき台も作りました。議員の任期は、地方議会は別として、国会議員は憲法に任期が規定されており、任期が来ると延長ができずに自動的に失職してしまいます。ですから緊急事態でも任期がきたら国会議員がいなくなる状況になるわけです。それを想定していなかったことは大きな問題です。
また、コロナ禍のなか、「私権の制限」が議論されるようになりましたが、憲法にある「公共の福祉」の解釈だけで、すべての国民に対して私権制限を適用していくというのは、なかなか大変なんです。
パンデミックは自民党のたたき台では想定していなかったので、これをどうするか、国民の生命や財産を守るために私権制限が必要な時の対応や、急を要する場合には政府が政令を定めることができることなど、すぐにでも憲法審査会で議論を開始し、一定の結論を出し、改正へと踏み出さなければなりません。
そして改正条文ができても、そこに魂が入らなければダメなんです。
憲法に規定するために国民みんなで議論することが大切だと思いますね。
そういう緊急事態が起こりうることを国民みんなが認識して、そしてその緊急事態には、憲法の規定に基づいて「私権制限」も必要ではないかと、国民皆が納得する結論を得ていくことが大事ではないでしょうか。
今年秋までには、衆議院選挙が実施されます。これまで積み上げてきた実績を更に高め、そしてコロナをはじめとして、ふりかかる難題に確実に対処していくため、国民の皆様からの後押しをお願いいたします。

岸田政権崩壊は秒読み段階?何が起こっているのか?

FNNプライムオンラインの記事で、フジテレビ上席解説委員の平井文夫氏は、最新の世論調査で内閣支持率が5ポイント減の21%、自民党支持率が19.1%に落ち込み、支持政党なしは60%になったことを指摘し、その理由として「・・・安倍氏の死後、岸田政権の政策の軸は左に触れ、保守層は敵になってしまった」からだという。

YouTube高橋洋一チャンネルより

どうなる岸田自民党?

現代ビジネス(11月13日配信)で、経済学者の高橋洋一氏は「・・自民党内部からの崩壊を招くきっかけになる可能性はゼロではない。その萌芽が、自民党参議院議員青山繁晴氏の総裁選出馬宣言である。実際問題として選挙人20名の確保は難しいが、何が起こるかわからない。さらに、自民党内実力者の水面下の動きもある。いずれにしても、財務省のハシゴ外しは自民党内のマグマを動かし、政局の誘発するかもしれない」と最後に述べています。

11月11日、日本保守党による大阪街宣(YouTubeより)

「もちろん議員の家業化の問題、あるいは税金の問題、いろいろありますが、とにかく今の自民党政権では日本が壊れます。今年の6月天下の悪法をLGBT法案の、あの可決の方法を見てですね、このままでは日本は壊れると、この日本 本来持っていた伝統と文化と この偉大な素晴らしい国、これが今 壊れてしまうと このままでは これは絶対に何とかせなあかんと思うて、LGBT法が通ったら もし通ったら 私は政党を立ち上げるとYouTubeで喋ってしまいました。・・・・」(百田尚樹党首の演説の一部です)。

時事通信社調べによる

時事通信の記事では「党ベテランは『このままでは解散しようとしてもできなくなる』と指摘。党関係者は総裁選について『首相退陣による前倒しもあり得る』との見通しを示した」という。その時期は来年早々になると指摘する人もいるようだ。「首相が何をしたいのか全く伝わらない」(自民党の世耕弘成参院幹事長)。

上記、産経新聞よりーー
昭和34年〜59年、在日韓国・朝鮮人やその日本人妻ら9万3千人以上を北朝鮮に移住させた「帰還事業」で過酷な生活を強いられたとして、脱北者ら4人が同国に各1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、東京高裁であった。谷口園恵裁判長は脱北者側が主張した北朝鮮による「継続的不法行為」を認め、訴えを退けた一審東京地裁判決を取り消し、審理を同地裁に差し戻した。・・・
谷口裁判長は勧誘から渡航、留置までを「一つの継続的不法行為ととらえるのが相当」として、その全体に「日本の裁判所に管轄権がある」と認定。脱北者らの訴えは「人生を奪われたことにより被った精神的苦痛について、包括的に損害賠償を求めるものだ」として、一審が除斥期間を理由に棄却した部分も「審理はんだんの対象とすべきだ」とした。判決後、代理人の福田健治弁護士は「北朝鮮による人権侵害を、日本の裁判所で追及する可能性を開いた意義ある判決だ」と評価した。

2023年10月31日の産経新聞。「北帰還事業 日本に管轄権 損害訴訟 東京高裁、審理差し戻し」

どうなる岸田政権?

「10月の内閣世論調査」日本テレビより

2023年10月17日、「日本保守党」結成される。党首百田尚樹氏、共同代表河村たかし名古屋市長

安倍晋三元総理「国葬の儀」令和4年9月27日追悼の辞ー岸田文雄ー

従1位、大勲位菊花章頸飾、安倍晋三・元内閣総理大臣の国葬の儀が執り行われるにあたり、ここに、政府を代表し、謹んで追悼の言葉を捧げます。
7月8日、選挙戦が最終盤を迎える中、安倍さん、あなたは、いつものとおり、この国の進むべき道を聴衆の前で熱く語りかけておられた。
そして突然、それは暴力によって遮られた。あってはならないことが起きてしまいました。
一体誰が、こんな日が来ることを寸毫なりとも予知することができたでしょうか。安倍さん、あなたはまだまだ、長く生きていてもらわなければならない人でした。
日本と世界の行く末を示す羅針盤として、この先も、10年、いや20年、力を尽くしてくださるものと私は確信しておりました。
私ばかりではありません。本日ここに、日本の各界各層から、世界中の国と地域から、あなたを惜しむ方々が参列してくださいました。皆、同じ思いを持って、あなたの姿に眼差しを注いでいるはずです。
しかしそれは、もはやかなうことはない。残念でなりません。痛恨の極みであります。
29年前、第40回衆議院議員総選挙にあなたと私は初めて当選し、共に政治の世界に飛び込みました。
私は同期の一人として、安全保障、外交について、さらには経済、社会保障に関しても、勉強と研鑽にたゆみなかったあなたの姿にをつぶさに見てまいりました。
何よりも、北朝鮮が日本国民を連れ去った拉致事件について、あなたはまだ議会に席を得るはるか前から強い憤りを持ち、並々ならぬ正義感をもって関心を深めておられた姿を私は知っています。
被害者の方々をついに連れ戻すことが出来なかったことは、さぞかし無念であったでしょう。私はあなたの遺志を継ぎ、一日千秋の思いで待つご家族のもとに拉致被害者が帰ってくることができるよう、全力を尽くす所存です。
平成18年、あなたは52歳で内閣総理大臣になりました。戦後に生を受けた人として、初めての例でした。私たち世代の旗手として、当時、あなたが、戦後置き去りにされた国家の根幹的な課題に、次々とチャレンジされるのを期待と興奮をもって眺めたことを今、思い起こしております。
私たちの国日本は、美しい自然に恵まれた長い歴史と独自の文化を持つ国だ。まだまだ大いなる可能性を秘めている。それを引き出すのは、私たちの勇気と英知tp努力である。日本人であることを誇りに思い、日本の明日のために何をなすべきかを語り合おうではないか。
戦後最も若い総理大臣が発した国民へのメッセージは、シンプルで明快でした。
戦後レジームからの脱却ーー。防衛庁を独自の予算編成ができる防衛省に昇格させ、国民投票法を制定して、憲法改正に向けた大きな橋を架けられました。
教育基本法を約60年ぶりに改めて、新しい日本のアイデンティティの種をまきました。
インドの国会に立ったあなたは、「二つの海の交わり」と説いて、「インド太平洋」という概念を初めて打ち出しました。
これらはすべて、今日に連なる礎です。
その頃あなたは国会で、「総理大臣とはどういうものか」との質問を受け、溶けた鉄を鋳型に流し込めばそれでできる鋳造品ではないと答えています。
たたかれて、たたかれて、やっと形を成す鍛造品。それが総理というものだと、そう言っています。鉄鋼マンとして世に出た人らしい例えです。
そんなあなたにとって、わずか1年で総理の職務に自ら終止符を打たねばならなかったことくらい、つらい事はなかったでありましょう。しかし私たちはもう、よく承知しています。
平成24年の暮れ、もう一度総理の座に就くまでに、あなたは、自らを一層強い鍛造品として鍛えていたのです。
二つの海の交わりを説いたあなたは、更に考えを深め、自由で開かれたインド太平洋という、たくさんの国、多くの人々を包摂する枠組みへと育てました。
米国との関係を格段に強化し、日米の抑止力を飛躍的に強くした上に、年来の主張に基づき、インド、オーストラリアとの連携を充実させて、「クワッド」の枠組みを作りました。
あなたの重層的な外交は、世界のどの地域とも良好な関係を築かれた。
欧州との経済連携協定と戦略的パートナーシップ協定の締結、そして、アジア地域、ユーラシア地域、中東、アフリカ、中南米地域と、これまでにない果断で率直な外交を展開され、次々と深い協力関係を築かれていった。
平和安全法制、特定秘密保護法など苦しい経過を乗り切って、あなたは成就させ、ために、我が国の安全はより一層保てるようになりました。
日本と地域、さらには世界の安全を支える頼もしい屋根をかけ、自由、民主主義、人権と法の支配を重んじる開かれた国際秩序の維持増進に世界の誰より力を尽くしたのは、安倍晋三その人でした。
私は、外務大臣として、その同じ時代を生きてきた盟友としてあなたの内閣に加わり、日本外交の地平を広げる仕事に、一意専心取り組むことができたことを一生の誇りとすることでしょう。
国内にあっては、あなたは若い人々を、とりわけ女性を励ましました。子育ての負担を少しでも和らげることで、希望出生率を叶えようと努力をされた。
消費税を上げる代わりに、増える歳入を保育費や学費を下げる途に用いる決断をしたのは、その途の先に、自信を取り戻した日本の若者が、新しい何かを生み出して、日本を前に進めてくれるに違いないと信じていたからです。
あなたは我が国憲政史上最も長く政権にありましたが、歴史は、その長さよりも、達成した事績によって、あなたを記憶することでしょう。
「勇とは義(ただ)しきことを成すことなり」という新渡戸稲造の言葉をあなたは一度、防衛大学校の卒業式で使っています。Courage is doing what is right 安倍さん。あなたこそ、勇気の人でありました。
一途な誠の人、熱い情けの人であって、友人をこよなく大切にし、昭恵夫人を深く愛した良き夫でもあったあなたのことを、私はいつまでも懐かしく思い出すだろうと思います。
そして日本の、世界中の多くの人たちが、「安倍総理の頃」「安倍総理の時代」などとあなたを懐かしむに違いありません。
あなたが敷いた土台の上に、持続的で、すべての人が輝く包摂的な日本を、地域を、世界をつくっていくことを誓いとしてここに述べ、追悼の辞といたします。。
安倍さん、安倍総理。
お疲れ様でした。そして、本当にありがとうございました。どうか、安らかにおやすみください。

前統合幕僚長 河野克俊氏「日本を取り巻く情勢の変化と安全保障」(『日本の息吹』日本会議)より

ー台湾への侵攻を防ぐためにー
ここで台湾問題を考える上で、我々が心得ておかなければならないことは、中国は、「台湾を統一できる状況になれば必ずやる」ということである。中国にとって「やるか」「やらないか」の選択の問題ではないということだ。
それでは、中国による台湾武力統一を起こさせないためにはどうすればよいのか。それは中国に対する抑止力を強化し、台湾侵攻のリスクを中国に認識させる以外にない。

産経新聞正論令和3年11月11日
『核家族を破壊する「夫婦別姓」』青山学院大教授・福井義高

リベラルと称する人たちが、総選挙の争点の一つと主張していた選択的夫婦別姓の是非。大方の予想を裏切って、夫婦別姓に慎重な岸田文雄首相率いる自民党が総選挙に勝利してしまい、藪蛇となった感がある。
とはいえ、夫婦同姓論者も単に伝統を持ち出して反対するだけでは、確信的な別姓論者はもとより、聞く耳を持つ中間層も説得することはできない。そこで、夫婦別姓に功利的視点から反駁してみたい。

リベラルは国家主義者

まず、夫婦同姓に限らず、長年続けてきた制度は、よほど不都合がなければ、劇的に変化させることは合理的でない。既存制度は、現実に経験してきたことなのでどうしても欠陥が目立つ。一方、抜本的改革案は、当然ながら、よいことばかり強調される。しかし、我々の将来を予測する能力は極めて限られ、想定外のマイナスの事態に遭遇しても、後の祭り。確かに姓を変えることのデメリットはあるものの、旧姓使用を広く認めることで、ほぼ解消できる。
それに対し、別姓は人権の問題だとか、人間の尊厳だとか、大げさな主張があるけれど、こうした議論は大事なことを忘れている。婚姻届を出さなければ、別姓のままでいられるのだ。実際にそうしている人は多い。法的すなわち国家公認の別姓を求めるところに、国家の介入をできるだけ抑えることを旨とする本来の自由主義とは正反対のものになってしまった今日のリベラルの国家主義(エタテイズム)的性格が表れている。
当事者がよければ、複数の異性と事実婚状態にあっても本人たちの自由である。別姓論者の理屈でいくと、重婚も法的に認めるべきということになろう。しかし、国家はそもそも個人間の情愛や友情に関与すべきでない。法的な結婚というのは、主に社会の基本単位としての家族、それも夫婦と子どもからなる核家族を支え守る制度なのだ。

女性尊重は日本の伝統

リベラルの雄と目されている枝野幸男・立憲民主党代表は保守を自認し、明治国家以前の長い日本の歴史と伝統を大事にすべきだと主張している。その言やよし、退任後、ぜひ実践していただきたい。
まさに、日本は他の東アジア諸国と違い、近代以前から伝統的に女性の立場を尊重してきた。それを如実に示すのが貞永式目である。鎌倉時代に北条泰時が制定した貞永式目は、当時の普通の日本人が持つ規範意識を反映したものであり、明治近代化で消え去るまで、数百年にわたり日本人の行動に大きな影響を及ぼしてきた。そこには長男相続の原則など存在せず、妻も娘も相続権者とされており、夫と死別した後、妻が養子をとることも認められていた。
妻の地位が高く、娘も息子と同様に扱われていた核家族志向の日本は、夫婦別姓であり家系を重視する中国や韓国とは大きく異なる。東アジアの夫婦別姓は、妻は子供それも男子を生み家系をつなげるための存在という儒教思想と分かちがたく結びついている。
中韓の家系重視思想は、科学技術の進歩で、日本人には思いもよらない、女児は生まれることさえ許されない事態を招いた。妊娠後の出生前診断で女児とわかった場合のみ堕胎するという選択的中絶の蔓延である。自然に任せた場合、女児100人に対して、男児105人程度のはずなのに、中国では今も110人を超えている。
韓国は政府の出生前診断規制で、現在では自然値に戻っているものの、1990年代には男児が120人近くに達し、第3・4子では200人を超えていた。一方、日本の男女出生比は一貫して自然値で推移している。

伝統的家族の優位性

ただし、中韓のような本物の儒教社会とは違うものの、日本社会の一部に儒教的家系重視思考が存在する。夫婦別姓は、子どもの姓をめぐって、家系を重視する祖父母らによる核家族への望ましくない干渉を招きかねない。
子供の健全な成長にとって、実の両親に育てられることが最も望ましいというのは、リベラルが日本のお手本とする欧米での家族に関する実証研究のコンセンサスといってよく、離婚は虐待などとならんで「子供時代の逆境」とみなされている。
母子家庭の多くは、夫による妻と子供の遺棄に起因している。夫婦別姓論者が主張する教条的個人主義は、こうした無責任な行動へのハードルを下げることになっていないだろうか。何かをする際、かたちから入ることの重要性は無視できない。夫婦同姓というかたちは、自戒も込めて、妻や子供に対して無責任になりがちな男への一定の抑止力になる。それがたとえわずかな効果であっても、大多数の男女が結婚することを考えれば、社会政策の観点から、その影響を考慮すべきであろう。
日本の伝統である女性尊重と整合的で、核家族を守り、子供の発達にも資する夫婦同姓を維持することは、国の政策として合理的というのが筆者の結論である。


【夫婦別姓が生む大混乱】八木秀次『正論』9月号より

改めて夫婦別姓の問題点を整理しておこう。夫婦の姓をめぐる話は小さな問題ではない。家族観や社会秩序の問題だからだ。同姓と別姓を選べるようにする選択的夫婦別姓の主張がある。別姓にしたい夫婦がするのだから、誰にも迷惑をかけないとされる。世論調査で夫婦別姓に賛成する人のほとんどは、自分は同姓にするが、希望者に認めて良いとする寛容な人たちだ。だが、選択的夫婦別姓の導入はそれほど簡単な事ではない。
夫婦の姓は戸籍制度と一体のものだ。結婚すると親の戸籍を除籍され、夫婦で新しい戸籍を編成する。子が生まれれば、その戸籍に記載される。この戸籍に記載された人たちが共通の姓を称する。「一戸籍一氏(姓)制」だ。
別姓にすると一つの戸籍に二つの姓が存在し、家族共通の姓はなくなる。親子で姓も異なる。ファミリーネームが存在しなくなり、氏名は単純な個人名となる。氏名の法的性格が変わるのだ。これは同姓家族にも及ぶ。制度上は国民全員からファミリーネームがうばわれる。
別姓夫婦の子の姓の決め方も問題だ。複数生まれた場合、共通かバラバラか。旧民主党案はバラバラでもよいとした。超少子化の中、夫婦で子の姓の取り合いや押し付け合いが起きる。そこに双方の祖父母や親戚の利害が絡む。子の姓が決まらない場合、かつての法務省案は家庭裁判所が決めるとした。家裁に決める基準はなく、ジャンケンかクジ引きとなる。家裁の判断に不服の場合は本裁判になる。子の姓は安定せず、家族がいがみ合うことになる。
選択的夫婦別姓が導入された場合、現在結婚している夫婦も対象になる。妻や夫が実家の姓を名乗りたいと言い出す。経過措置は一年か三年とされる。その間に連動して子の姓の選び直しも行われる。世代をさかのぼった姓の変更も行われる。夫婦の両親が姓の選び直しを行う場合、例えば、妻の母が旧姓を称することを希望した際には、連動して妻も母の旧姓を選択できることになる。その場合、夫婦の子も妻の母の旧姓を称することができる。子は四つの姓から一つを選ぶことになる。姓の安定も個人のアイデンティティもあったものではない。大混乱が予想される。

夫婦別姓の主張が一般に注目されたのは、昭和63年(1988)に当時の国立・図書館情報大学の女性助教授が職場での旧姓を使用したいと大学を訴えたことだった。要するに職場での旧姓の通称使用の問題だった。平成10年(1998)に東京高裁で和解し、通称使用が認められた。問題は解決したはずだった。本来は民法改正に関係のない話だったのが、原告の代理人弁護士の福島瑞穂氏や今回の大法廷決定の訴訟の代理人でもある弁護士の榊原富士子氏らが話を大きくして民法改正問題いしたてあげたのだ。しかし、そもそも論から言えば、問題はすでに解決している。今回の大法廷の決定はそれを確認した。
夫婦別姓は
ロシア革命直後に実践された家族共同体を個人に解体する共産主義思想と、共同体からの個人の解放を主張していた1990年代の極端な個人主義思想を両輪としていた。一人で生まれイェ一人で死ぬ人間が、人生の一時期の結婚ごときで姓を変更するのは個人のアイデンティティを喪失させると主張された。福島氏は「風通しの良い人間関係」と称して「『既婚』はもう恋の障害じゃない」とか「娘が18歳になったら『家族解散式』を行う」とか、内縁の夫の両親と自分の両親とは一度も会ったことがないなどと誇らしげに語っていた。
極端な個人主義思想は「性の自己決定権」の名で女子中高生の「援助交際」を肯定もしていた。子供は大人と同じ権利主体であり、市民的権利を持っているとして「子どもの権利」が喧伝されてもいた。
いま、振り返るといかにも「世紀末」の終末思想の趣があるが、いまなお夫婦別姓を主張する人たちは自覚は別としてこのような終末思想の尻尾を持ち、社会の混乱を企図しているとしか言いようがない。

日本共産党は「破防法対象団体」ー政府答弁書決定ー令和3年6月12日

政府は11日の閣議で、日本共産党について「破壊活動防止法に基づく調査対象団体」「暴力革命の方針に変更はない」とする答弁書を決定した。日本維新の会の鈴木宗男参議院議員の質問趣意書に答えた。鈴木氏は月刊「正論」7月号で作家の佐藤優氏と公安調査庁のの横尾洋一次長の「革命路線に変わりなし」と題した対談を踏まえ質問した。政府は3月にも同様の答弁書を閣議決定している。

参院「台湾WHO参加決議文」(令和3年6月11日採択)

パンデミックに発展した新型コロナウイルス感染症を終息させるためには、国際的な防疫網を構築する必要がある。そのためには、特定に地域が取り残されることによる地理的な空白を埋めるとともに、公衆衛生上の成果を上げた地域の有益な知見・経験を世界で共有することが欠かせない。
台湾は、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)で37人の死者を出した教訓から国際感染症の防疫を極めて重視しており、新型コロナウイルス発生直後から検疫体制の強化や感染症指揮センターの設置の他、マスクの生産増強や流通管理などを先駆的に実践してきた。こうした迅速な取り組みによる成果は、世界が注目するところとなっている。
しかし、新型コロナウイルス対策を重大な議題に位置づけ、昨年5月と11月および本年5月に開催されたWHOの年次総会では、中国の強硬な反対により、台湾のオブザーバーとしての参加が認められなかった。5月5日に閉幕した先進7カ国外務・開発大臣会合は、WHO会合への「台湾の意義ある参加」を支持することを明記した共同声明を採択した。このように国際的に重要な会議に台湾が参加できないことが、国際防疫上、世界的な損失であることはもはや各国の共通認識となっている。
そこで、このような現状に対して強い懸念を表明するとともに、国際的な公衆衛生上の緊急事態の収拾に資するべく、WHOの年次総会などへの台湾の参加が実現されるよう、以下決議する。
1、関係国に対し、今般の新型コロナウイルス感染症対策および今後の世界的な公衆衛生危機対応のために、WHOの次回総会より台湾がオブザーバーとして参加することを認めるよう求める。
2、日本政府には、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態の収拾に資するべく、台湾がWHOの年次総会にオブザーバーとして参加する機会が保障されるよう、関係各国に強く働きかけることを求める。

外国からの研究資金提供に申告要求ーEPOCH TIMES JAPAN

日経アジアレビューが(4月)27日の報道によると、政府は先進技術の研究成果の流出を防ぐために大学などの研究者に対して、外国からの資金提供を申告するよう求める方針を決めました。報道によると政府は量子技術や人工知能などの分野で米国との共同研究を強化しています。
政府は軍事転用可能なこれらの技術情報が外国に流出しないよう大学や研究機関の情報提示をより厳しく求めます。政府は27日「統合イノベーション戦略推進会議」を開き、大学の研究者が公的資金を申請する際、外国からの資金提供に関して申告を義務付ける指針を示しました。
研究者らが虚偽報告を行なった場合、公的助成金の受領に制限を設けます。外国資金の申告に関するガイドラインは年内にまとめられるといいます。
今月16日に行われた日米首脳会談の共同声明は、日米両国は生命科学やバイオテクノロジー AI 量子科学 民生宇宙分野の研究及び技術開発における協力を深化すると明記しました。
日経アジアレビューによると米政府は国家安全保障に関わる機密情報が日本から流出しないよう期しています。一方政府は、中国当局が10年前に始めた海外ハイレベル人材誘致プロジェクト「千人計画」に関する警戒を強めています。
井上信治科学技術担当相は27日、記者団に対して「日本の経済安全保障を確保するためには海外からの不法な要求と海外への技術流出の懸念を払拭しなければならない」と語りました。


『希望の同盟へ』米国連邦議会上下両院合同会議 安倍総理演説
ー平成27年4月29日ー

議長、副大統領 、上院議員、下院議員の皆さま 1957年6月 日本の総理大臣として、この演台にに立った私の祖父 岸信介は次のように述べて演説を始めました。「日本が世界の自由主義国提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります」。以来58年 この度は上下両院合同会議に日本国総理として初めてお話をする機会を与えられましたことを光栄に思います。お招きに感謝申し上げます。申し上げたいことはたくさんあります。でも「フリーバスター」をする意図、能力ともにありません。皆様を前にして胸中を去来しますのは、日本が大使としてお迎えした偉大な議会人のお名前です。マイク・マンスフィールド、ウオルター・モンデール、トム・フォーリーそしてハワード・ベイカー、民主主義の輝くチャンピオンを大使として送ってくださいましたことを日本国民を代表して感謝申し上げます。
キャロライン・ケネディ大使も米国民主主義の伝統を体現する方です。大使の活躍に感謝申し上げます。
私ども残念に思いますのはダニエル・イノウエ上院議員がこの場においでにならないことです。日系アメリカ人の栄誉とその達成を一身に象徴された方でした。
私個人とアメリカとの出会いはカリフォルニアで過ごした学生時代にさかのぼります。家に住まわせてくれたのはキャサリン・デルフランシア夫人、寡婦でした。亡くした夫のことをいつもこう言いました。「ゲイリー・クーパーより男前だったのよ」と心から信じていたようです。ギャラリーに私の妻 昭恵がいます。彼女が日頃私のことをどう思っているかは あえて 聞かないことにします。デルフランシア夫人のイタリア料理は世界一、彼女の明るさと親切はたくさんの人をひきつけました。その人たちがなんと多様なこと。「アメリカはすごい国だ」驚いたものです。のち鉄鋼メーカーに就職した私は、ニューヨーク勤務の機会を与えられました。上下関係にとらわれない実力主義、地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方なら躊躇なく採用する。この文化に毒されたのか、やがて政治家になったら先輩大物議員たちにアベは生意気だと随分言われました。私の苗字ですが「エイブ」ではありません。アメリカの方に時たまそう呼ばれると悪い気はしません。
民主政治の基礎を日本人は近代化を始めてこのかたゲテイスバーグ演説の有名な一節に求めてきたからです。農民大工の息子が大統領になれる。そういう国があることは19世紀後半の日本を民主主義に開眼させました。日本にとってアメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。
先刻私は第二次世界大戦メモリアルを訪れました。神殿を思わせる静謐な場所でした。耳朶を打つのは、噴水の水の砕ける音ばかり。一角にフリーダム・ウオールというものがあって、壁面には金色の4000個を超す星が埋め込まれている。。その星のひとつが斃れた兵士100人分の命を表すと聞いた時、私を戦慄が襲いました。金色の星は自由を守った代償として、誇りのシンボルに違いありません。
しかしそこには、さもなければ幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の痛み悲しみが宿っている。家族への愛も。真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の失われた夢 未来を思いました。
歴史とは実に取り返しのつかない苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って黙祷を捧げました。
親愛なる友人の皆さん、日本国と日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に深い一礼を捧げます。とこしえの哀悼を捧げます。
みなさまいまギャラリーにローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです。70年前の2月23歳の海兵隊大尉として中隊を率い硫黄島に上陸した方です。近年中将は硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。こう仰っています。「硫黄島には勝利を祝うため行ったのではない。行っているのでもない。その厳かなる目的は双方の戦死者を追悼し栄誉を称えることだ」。
もうひとかた、中将の隣にいるのは新藤義孝国会議員、かって私の内閣で閣僚を務めた方ですが、このかたのお祖父さんこそ、勇猛が今に伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。これを歴史の奇跡と呼ばずして何をそう呼ぶべきでしょう。熾烈に戦いあった敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました。スノーデン中将、和解の努力を尊く思います。本当にありがとうございました。
戦後の日本は先の大戦に対する痛切な反省を胸に歩みを刻みました。自らの行いがアジア諸国民に苦しみを与えた事実から目を背けてはならない。これらの点についての思いは歴代総理と全く変わるものではありません。
アジアの発展にどこまでも寄与し、地域の平和と繁栄のため力を惜しんではならない。自らに言い聞かせて歩んできました。この歩みを私は誇りに思います。
焦土とかした日本に子供たちの飲むミルク、身につけるセーターが毎月毎月米国の市民から届きました。山羊も2036頭やってきました。米国が自らの市場を開け放ち、世界経済に自由を求めて育てた戦後経済システムによって、最も早くから最大の便益を得たのは日本です。下って1980年代以降韓国が、台湾が、ASEAN諸国がやがて中国が勃興します。今度は日本も資本と技術を献身的に注ぎ彼らの成長を支えました。
一方米国で日本は外国勢として2位、英国に次ぐ数の雇用を作りだしました。
こうして米国が、次いで日本が育てたものは繁栄です。そして繁栄こそは平和の苗床です。日本と米国がリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されないフェアでダイナミックで持続可能な市場をつくりあげなければなりません。
太平洋の市場では知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や環境への負荷も見逃すわけにはいかない。許さずしてこそ自由 民主主義 法の支配 私たちが奉じる共通の価値を世界に広め根付かせていくことができます。
その営為こそがTPPにほかなりません。しかもTPPには単なる経済的利益を超えた長期的な安全保障上の大きな意義があることを忘れてはなりません。経済規模で世界の4割 貿易量で世界の3分の1を占める一円に、私たちの子や孫のために永続的な「平和と繁栄の地域」を作りあげていかなければなりません。
日米間の交渉は出口がすぐそこに見えています。米国と日本のリーダーシップでTPPを一緒に成し遂げましょう。
実は今だから言えることがあります。20年以上前GATT農業分野の交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり農家の代表と一緒に国会前で抗議活動をしました。ところがこの20年、日本の農業は衰えました。農民の平均年齢は10歳上がり、いまや66歳を超えました。
日本の農業は岐路にある。生き残るにはいま変わらなければなりません。私たちは長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずに来た農業協同組合の仕組みを抜本的に改めます。世界標準に則ってコーポレート・ガバナンスを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を私自身が槍の穂先となりこじ開けてきました。人口減少を反転させるには何でもやるつもりです。
女性に力をつけ もっと 活躍してもらうため 古くからの慣習を改めようとしています。
日本は今「クオンタム・リープ(量子的飛躍)」の最中にあります。
親愛なる上院 下院議員の皆様 どうぞ日本へ来て、改革の精神と速度を取り戻した新しい日本をみてください。日本はどんな改革からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか道なし。確信しています。
親愛なる同僚の皆様、戦後世界の平和と安全はアメリカのリーダーシップなくしてあり得ませんでした。省みて私が心から良かったと思うのは、かつての日本が明確な道を選んだことです。この道こそは冒頭 祖父の言葉にあったとおり、米国と組み西側世界の一員となる選択にほかなりませんでした。日本は米国そして志を共にする民主主義諸国とともに、最後には冷戦に勝利しました。この道が日本を成長させ繁栄させました。そして今もこの道しかありません。私たちはアジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」を支持します。徹頭徹尾支持するということをここに名言します。
日本は豪州 インドと戦略的な関係を深めました。ASEANの国々 そして韓国と多面にわたる協力を深めていきます。日米同盟を基軸とし これらの仲間が加わると 私たちの地域は格段に安定します。
日本は将来における戦略的拠点のひとつとして期待されるグアム基地整備事業に28億ドルまで資金協力を実施します。
アジアの海について私がいう3つの原則を、ここで強調させてください。
第一に国家が何かを主張するときは国際法にもとづいてなすこと。
第二に武力や威嚇は自己の主張のため用いないこと。
そして第三に紛争の解決はあくまで平和的手段によること。
太平洋からインド洋にかけての広い海を自由で法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。そのためにこそ日米同盟を強くしなければなりません。
私たちにはその責任があります。
日本は今安全法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき 日本は危機の程度に応じ切れ目ない対応がはるかによくできるようになります。この法整備によって自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟はより一層堅固になります。それは地域の平和のため 確かな抑止力をもたらすでしょう。戦後初めての大改革です。この夏までに成就させます。
ここで皆様に御報告したいことがあります。一昨日ケリー国務長官、カーター国防長官は私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って協議しました。いま申し上げた法整備を前提として日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。それこそが日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。
昨日オバマ大統領と私はその意義について互いに認め合いました。皆様私たちは真に歴史的な文書に合意をしたのです。
1990年代初め 日本の自衛隊はペルシャ湾で機雷の掃海に当たりました。後インド洋ではテロリストや武器の流れを断つ洋上作戦を10年にわたって支援しました。その間5万人にのぼる自衛隊員が人道支援や平和維持活動に従事しました。カンボジア、ゴラン高原、イラク、ハイチや南スーダンといった国や地域においてです。
これらの実績をもとに日本は世界の平和と安全のため、これまで以上に責任を果たしていく そう決意しています。
そのために必要な法案の成立を、この夏までに必ず実現します。国家安全保障に加え人間の安全保障を確かにしなくてはならないというのが、日本の不動の信念です。
人間一人ひとりに教育の機会を保障し医療を提供し自立する機会を与えなければなりません。
紛争下常に傷ついたのは女性でした。私たちの時代にこそ女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません。
自衛隊員が積み重ねてきた実績と援助関係者たちがたゆまず続けた努力とその両方の蓄積は、今や私たちに新しい自己像を与えてくれました。
今や私たちが掲げるバナーは「国際協調主義にもとづく積極的平和主義」という旗です。繰り返しましょう。「国際協調主義にもとづく積極的平和主義」こそは日本の将来像を導く旗印となります。
テロリズム 感染症 自然災害や気候変動 日米同盟はこれら新たな問題に対し ともに立ち向かう時代を迎えました。
日米同盟は米国史全体の4分の1以上に及ぶ期間続いた堅牢さを備え、深い信頼と友情に結ばれた同盟です。
自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟にこの先とも新たな理由づけは全く無用です。
それは常に法の支配 人権 そして自由を尊ぶ価値観を共にする結びつきです。
まだ高校生だったときにラジオから流れてきたキャロル・きんぐの曲に私は心を揺さぶられました。
落ち込んだ時、目を閉じて私を思って、私は行く あなたのもとに たとへそれがあなたにとって一番暗い そんな夜でも 明るくするために
2011年3月11日 日本にいちばん暗い夜が来ました。日本の東北地方を地震と津波 原発の事故が襲ったのです。そしてその時でした。米軍は未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが 東北の子供達に支援の手を差し伸べてくれました。私たちにはトモダチがいました。
被災した人々と一緒に涙を流してくれた。そんなにも、かえられない大切なものを与えてくれた。希望です。米国が世界に与える最良の資産、それは昔も今も 希望であった。希望である。希望でなくてはなりません。
米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本 力を合わせ 世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。希望の同盟。一緒ならきっとできます。有難うございました。

産経フジの世論調査、重大な放送倫理違反 BPO検証委
令和3年2月11日産経新聞

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は10日、フジテレビのニュース番組が架空データを含んだ世論調査報道を1年余りにわたり計18本放送したことは、「市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めない」として、重大な放送倫理違反があったとする意見を公表した。
昨年6月、産経新聞とフジテレビが合同で毎月行っていた世論調査で、実際には電話をしていないのに電話で回答を得たと偽った架空のデータが含まれていたことが判明。委託先の調査会社が契約に反して再委託し、再委託先の調査会社が不正な調査を行なっていた。


【令和2年9月15日(火)日本経済新聞】
《自民総裁 菅氏が圧勝 7割の377票》
自民党は14日投開票の総裁選で菅義偉官房長官(71)を第26代総裁に選出した。菅氏が岸田文雄政調会長(63)と石破茂元幹事長(63)を破った。16日召集の臨時国会で安倍晋三首相の後継となる首相に指名される。

【令和2年8月28日(金)産経新聞】
《米、中国24社に禁輸措置》
ポンぺオ米国務長官は26日、中国による南シナ海での人工島の造成と軍事拠点化や、東南アジアの周辺諸国への威迫行為に関与した複数の中国人に対し、ビザの発給を制限すると発表した。米商務省もこれに関連し、中国企業24社に対して輸出禁止措置をとると発表した。
ポンぺオ氏によると、ビザ発給制限の対象者は米国への入国が禁止されるほか、対象者の近親者もビザ制限が適用される可能性がある。商務省によると、輸出禁止措置を受けた24社には、国営企業「中国交通建設」の関連会社数社が含まれている。
トランプ政権は7月、中国が主張する南シナ海の領有権を全面的に否定する声明を発表している。ポンぺオ氏は「米国は、中国が南シナ海での威圧行動を打ち切るまで行動し続ける」と強調した。

【令和2年7月30日(木)産経新聞】
《自民の中国支援金 賛同者など非公表》
自民党は29日、新型コロナウイルス禍にあった中国に対し、党所属国会議員から一人当たり5千円を募って支援する方針をめぐり、寄付に応じた議員数や総額を産経新聞の取材に明らかにしなかった。党幹事長室が文書で回答した。
党幹事長室は「寄せられた支援金は、中国大使館に届けた。賛同した議員の氏名や人数、総額については回答は控える」とした。
二階俊博幹事長は2月の記者会見で所属議員の3月の歳費から一律5千円を集め、中国に寄付する考えを表明したが、保守系議員らの反発を招き、任意での寄付に方針転換していた。

【令和2年7月10日(金) 日本経済新聞】
《自民の中止要請に苦言、石破氏 習氏国賓来日巡り》
自民党の石破茂元幹事長は9日の派閥会合で、党外交部会などが中国の習近平国家主席の国賓来日の中止を日本政府に求めたことに苦言を呈した。「中国との関係にどういう影響を与えるかよく考えるべきだ」と述べた。


【令和2年7月3日 産経ニュース】
《習主席国賓来日の中止要請 香港国家安全法で自民が非難決議へ》
中国による香港への統制強化を目的とした「香港国家安全維持法」が可決、施行されたことを受け、自民党がまとめた非難決議の内容が3日分かった。すでに同法違反を適用した逮捕者が出ていることについて「重大で深刻な憂慮」を表明。日本政府には、延期の状態となっている習近平国家主席の国賓来日の中止を求めた。
自民党は昨年11月と今年5月にも、混乱する香港情勢を懸念する決議文をまとめた。こうした経緯を踏まえ、今回の非難決議では「懸念していた事態が現実のものとなった現在、この状況を傍観することはできない」と強調した。
高度な自治を保障した「一国二制度」のもと、経済的に発展してきた香港の今後に関し、「香港における自由、人権、民主主義といった基本的価値が維持されるか疑念を抱かざるを得ない」「国際金融センターとしての香港の地位にも影響が出かねない」と指摘。中国政府に対し「国際社会との約束を守り、大国としての責任を自覚するよう強く求める」と訴えた。
また、日本政府には在留邦人や企業の保護を要請。就労ビザの発給などにより、香港を離れる人々への支援の検討を求めた。

【令和2年6月10日 平井文夫の言わねばならぬ】
《「何もやっていない人が政権を批判するのは卑怯だ」43年間拉致問題を放置した政治家とメデイアに対する横田哲也さんの怒り》

私たちは43年間めぐみさんを放置した。
横田めぐみさんの父、滋さんが43年間娘に会えずに亡くなった。安倍首相は「申し訳ない思いで一杯だ」とコメントしたが、少し泣いているようだった。僕も記者のはしくれとして横田さんに申し訳なく思った。
これは一昨日のフジテレビの番組「バイキング」の中でも言ったことなのだが、1977年にめぐみさんが北朝鮮に拉致された3年後、産経新聞の阿部さんという記者が「日本人が拉致されている」というスクープを発表した。
しかし当時野党第1党だった社会党はもちろん、自民党でさえ北朝鮮と仲が良く、「そんなバカなことがあるわけがない」と相手にしなかった。僕も半信半疑でメディアもほとんどが知らんぷりだった。
結局2002年に当時の小泉首相が訪朝し金正日に謝罪させるまで25年間、我々日本人は拉致問題を放置していたのだ。本当に恥ずかしいことだ。そしてその後18年間我々は再び放置した。

横田哲也さんの怒り。
「バイキング」の中で東国原・元宮崎県知事が「拉致に結果的に進展はなく、政府の責任は極めて重い」と発言した時に、「拉致問題が進展しないことを安倍さんのせいにするのはおかしい」と思ったが、確かに進展はしておらず、いまだ帰ってこない肉親を待ち続ける家族の方々にはそういう気持ちがあるのだろうなと思い黙っていた。
僕もこの拉致問題を30年ほどだが追いかけているので少しモヤモヤしていたら昨日、めぐみさんの弟の横田哲也さんの会見を聞いて驚いた。
哲也さんは問題なのは「安倍政権」ではなく、「40年間何もしてこなかった政治家や、北朝鮮は拉致などしていないと言い続けたメディアである」と指摘した上で、「何もやっていない人が政権批判をするのは卑怯だ」と非常に厳しい言葉で政治家やメディアを批判した。
横田滋さんは本当に立派な人だった。めぐみさんの娘ウンギョンさんが「おじいさんとおばあさんに会いたいから平壌にきて」と言った時も、拉致の交渉が北朝鮮ペースになることを嫌って訪朝しなかった。孫に会いたいという感情より拉致問題全体の解決を優先する人だった。哲也さんたちもそんな両親の背中を見て育ったのだろう。

自分の娘が北朝鮮に拉致されたら・・・
我々がすべきことは気楽な立場で政権を批判するのではなく、自分の娘が、あるいは兄弟が北朝鮮に拉致されたら、とまず想像してみることだろう。そして今は天国にいる横田さんの思いをかなえるためにも、我々はいかなる手段を使ってでも拉致被害者の奪還を最優先にしなければならないと思うのだ。(フジテレビ解説委員平井文夫)

【令和2年6月10日(水) 産経新聞】
《香港「一国二制度」堅持へ 与野党討論会》
中国による香港への統制強化の問題に関する討論会が9日、国会内で開かれ、自民党の中谷元・元防衛相や野党会派の山尾志桜里衆議院議員ら与野党の十数人が出席した。「一国二制度」の堅持に向け、中国に圧力をかけるため国際連携を強めるべきだとの意見が相次ぎ、中国政府の姿勢に反対する国会決議が必要だとの声も上がった。

【令和2年6月10日(水)産経新聞】
《中国公船の日本漁船追尾 映像公開を検討》
衛藤晟一領土問題担当相は9日の記者会見で、5月上旬に中国海警局の船が尖閣諸島周辺の領海に侵入し、日本漁船を追尾した際の関連映像の公開について「関係機関とよく相談したい。今検討中だ」と述べた。


【令和2年5月9日(土) 産経新聞】
泰典氏は1日、動画投稿サイト「ユーチューブ」で「安倍晋三首相だけが悪いのではなく、政権打倒のために動いた人がたくさんいた」と告白。「二枚舌、三枚舌を使う人間が私の近くにたくさんいた。私をアンダーコントロールしようとした人間もいたが、今はアンダーコントロールが崩れ、離れた」とも振り返った。詢子氏は「ふと思い出せば何かおかしい。『安倍犯罪だ』とか安倍がどうのとか主張する人たちに乗っかっていた」と訴えた。さらに、籠池夫妻はツイッターでも野党議員4人が自宅を訪れたことを振り返り「家の前にはマスコミが、溢れかえっていた。そもそもそこから、政権に喧嘩を売る構図をつくったのです。私たちの知らないうちに、仕組まれていました」と後悔の念を示した。
一方泰典氏は1日の動画で、自身が進めた保守的な教育方針を掲げた小学校建設計画の阻止に左派勢力が動いたと指摘。詢子氏も「 小学校を建てさせたくなかった方たちの妨害だった。真っ先に駆けつけたのは、立憲民主党衆議院議員の辻元清美さんだった」と名指しした。

【対中依存のリスク】 ー櫻井よし子(ジャーナリスト)ー
“我が国家の弱きを憂う”より。WILL 2020 6 月号

武漢ウイルスが暴いた我が国の脆弱性は、国内問題だけにとどまらない。中国依存の経済構造が、有事に国民を危険に晒すことも明らかになった。
これまで日本の財界と政府は、主に経済的視点から日中関係を捉えてきたが、視点を変える時が来たのである。以前から、サプライチェーンの見直しとして「中国➕1」は議論されてきたが、あくまで人件費など経済的要素に基づく発想だった。
歴史を捏造されても、知的財産を盗まれても、領土を狙われても、撤退するわけでも、法廷で闘うわけでもない。我が国の企業は中国進出に際し、眼前の利益に目を奪われるあまり、中国との取引がもたらす将来のリスクについて考えてこなかったのだ。
だが新型ウイルス問題は、中国依存のリスクを明確に描き出した。にわかに浮上したのが、中国の強力な武器としての医薬品である。中国共産党機関紙・新華社は、「中国は医薬品の輸出規制をすることも可能だ。その場合、米国はコロナウイルスの大海に沈むだろう」と社説で恫喝した。国民の命を人質にとっているのだ。
中国が世界の医薬品供給をコントロールし、諸国の国民の命を左右する力を手にした事実の恐ろしさを肝に銘じるべきだ。中国の医薬品に圧倒的に依存することは、安全保障で決定的な弱点を抱えるという意味を持つ。サプライチェーン全体を見ると、日本も米国同様、過度に中国に依存しているのは医薬品だけではない。どの分野でどのくらい依存しているのか、各々の分野の重要性がどの程度なのかなどを、詳細に分析し、我が国の弱点を認識することが第一だ。その上で日本も米国も、あらゆる意味で中国依存の構造を脱しなければならない。




英ガーディアン紙が2018年12月7日「Isnide China's audacious global propaganda campaign」(中国の大胆なグローバル宣伝キャンペーンの内側)という記事を掲載し、「中国国営メディアは、海外30以上の大手メディアと提携し、“CHINA WATCH”というプロパガンダまがいの記事を報じている。日本では毎日新聞社が担っている」と報じました。
Beijing is buying up media outlets and training scores of foreign journalists 'tell Caina's story well' - as part of a worldwide propaganda campaign of astonishing scope and ambition. By Louisa Lim and Julia Bergin

【日本経済新聞 令和2年3月26日 】
日本維新の会は25日、新型コロナウイルス対策に関する新たな提言をまとめた。
公共料金や給食費の免除、一人当たり10万円の現金給付、消費税率の8%への引き下げ、ホテルや旅館を借り上げ、軽症者向けに活用することなどを盛り込んだ。


【日本経済新聞 令和2年3月25日 】
新型コロナ収束見通せず。東京五輪21年夏に延期。大会名称「東京2020」は維持。IOC、首相提案を承認。


【産經新聞 令和2年3月7日】
《韓国対抗 ビザ停止 中国は入国制限『理解』》
韓国政府は6日対抗措置として、日本人が韓国に90日以内の短期滞在をする際にビザを免除する制度や、すでに発行されたビザの効力を停止すると発表した。・・・
韓国大統領府は6日の国家安全保障会議で、日本に『強い遺憾』を表明。康京和外相は冨田浩司駐韓大使を呼んで抗議、措置撤回を要求した。康氏は日本側の対応を『非友好的なだけでなく非科学的だ』と批判。また、『韓国政府の感性拡大防止の成果が出ている中、不適切であり、背景を疑わざるを得ない』と述べた。韓国政府は日本の措置を『防疫以外の別の意図があるのではないか』と見ている。歴史問題などが念頭にあるとみられる。
一方、中国外務省の趙立堅報道官は6日の記者会見で、日本の入国制限措置について『各国が自国民と外国人の命と安全、健康を守り、地域と世界の公衆衛生の安全を保つため科学的で適当な措置を取ることは理解できる』と述べた。


【日本経済新聞 令和2年3月6日】
《中韓からの入国2週間待機》
安倍晋三首相は5日夜の新型コロナウイルス感染症対策本部で、感染が拡大する中国や韓国からの入国を3月末まで大幅に制限する方針を表明した。両国からの入国者に対し、感染しているかどうかにかかわらず、宿泊施設や医療施設などに2週間の待機を要請する。短期滞在向けを中心にビザの効力を停止する考えも示した。

《習近平氏来日延期を発表、秋以降に》
政府は5日、四月に予定していた中国の習近平国家主席の国賓としての来日を当面延期すると正式発表した。日中両政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、準備を円滑に進められないと判断した。感染症の収束状況や政治、外交日程を見極めて時期を再調整する。7月〜9月の東京五輪・パラリンピック後の秋以降が有力との見方がある。


【産経新聞 令和2年2月12日】
防衛省が、北朝鮮の弾道ミサイルを電波で妨害できる装備の導入に着手することが11日、分かった。ミサイルと地上との電波の送受信を妨害することで地上からミサイルを捕捉できないようにして、自爆に導いたり発射を抑止したりすることを目指す。・・・
現行装備では不可能な発射直後の上昇段階でミサイルに対処できるようになる。


【産経新聞 令和2年2月8日】
共産党大阪府委員会は7日、次期衆議院選挙の大阪5区の立候補予定者に、元衆議院議院の宮本岳志氏(60)を決定したと発表。


朝日新聞に提訴された「もり・かけ」本の著者、小川栄太郎氏に聞く
「言論に不服なら言論で論破を」
〜産経新聞平成29年12月30日〜

「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(飛鳥新社)の著者で文芸評論家の小川榮太郎氏が産経新聞のインタビューに応じ、同書により名誉を傷つけられたとして小川氏らに対し計5千万円の損害賠償請求訴訟を起こした朝日新聞について「大言論機関が裁判に逃げた」と批判した。(沢田大典)
朝日の都合で茶番に巻き込むのはいい加減にしてほしいと思います。ただ、5千万円の賠償は、飛鳥新社や私個人にとっては茶番では済まない大きな額です。
時系列を言えば、まず私が本を書き、それに対し朝日から申入書がきた。私は丁寧で具体的な回答を朝日に送り、月刊「Hanada」にも全文を載せました。そうしたらいきなり提訴してきた。
朝日の執行役員広報担当の千葉光宏氏は「言論の自由の限度を超えている。建設的な言論空間を維持・発展させていくためにも、こうしたやり方は許されない」とコメントしました。
私は回答しているんですよ。朝日が私の言論に不服なら、言論で論破したらよい。これだけ1年間、社会問題にしてきた「もり・かけ」です。双方の言い分を並べ、有識者を呼んで座談会を組むなりして、自分たちの報道が正しかったと内外に示すべきでしょう。
係争中だと、書籍の広告掲載が報道各社の基準に引っかかる。広告を世の中から隠すことも計算に入れていると考えられても仕方がない。
訴訟の中身ですが、私が「『安倍叩き』は今なお『朝日の社是』なのだ」と書いたことに、朝日は「事実と違う」と主張する。しかし、これは表現です。私が推理だと明言している部分も事実に反するという。こんな裁判が許されたら、表現の自由の歴史に大きなゆがみができる可能性がある。今後、自分が気に入らない表現や論評について、大企業や言論機関が個人相手に訴えられるようになってしまう。まさに言論弾圧社会ですよ。
朝日の「素粒子」はどうなんでしょうね。例えば、「首相を侮辱すれば私人を証人喚問。首相夫人の説明を求めたら採決強行、内閣支持率が53%あるからいいのだと」。因果関係がありません。「安倍晋三記念小学校と書いてあったか。財務省が出した黒塗りの書類。『ずぶずぶ』で品が悪けりゃ癒着と言おう」。「安倍晋三記念小学校」は事実と違います。
こんなむちゃな非対称的な状況を見ると、「安倍政権は安倍首相夫妻への重大な人権侵害に対し、きちんと提訴せよ」と言ってやりたくさえなります。
今回の森友・加計事件は、朝日による『安倍疑惑』という大きな捏造です。これを曖昧にしたまま、私による名誉毀損案件としてごまかすことは絶対に許されません。

必ず、日本は立ち直れる
〜ジャーナリスト櫻井よしこ、産経新聞平成29年12月24日〜

日本外交の弱点は大別して2点。外交を支える軍事力の法的基盤が非常に弱く、歴史認識問題で日本を論難する中韓両国以前に、日本人の歴史認識は事実とかけ離れた次元にある。
前者は憲法改正を軸とした日本国の法的立て直しが必要だ。後者は東京裁判に始まる「戦後版の歴史」の不条理を、日本人が認識することが大事だ。
@「世界一非常識な日本国憲法」(扶桑社新書)、GHQ作製の日本国憲法は戦後の日本深奥部に浸透した。北朝鮮有事の際、現在の日本は対応しかねる。現行憲法に基づく種々の制約で日本国民の命を守ることさえおぼつかない。その理由を中央大学の長尾一紘教授が分析した。
A「自治労の正体」(扶桑社新書)、日本国の病理のひとつに労組、「連合」がある。民進党や希望の党、立憲民主党を支える同組織の主軸。自治労を森口朗氏が書いた。平成30年以降の政治に大きな影響力を及ぼすと思われる同組織は水と油にも似た官公労組と民間労組が一体化したものだ。@と出版社は重なるが、政治に関心があれば一読しておくのがよいだろう。
お正月休みには本当は「パール判決書」(東京裁判研究会編、昭和41年刊)を勧めたいが、同書は古くて入手が難しいかもしれない。ならば「世界が裁く東京裁判」(明成社)だ。
多くの日本人が同書を手に取り、敗戦ゆえに日本が国際法違反の扱いを受け、いまもその不条理さの中で外交敗北を重ねていることを理解すれば、日本国への信頼を確立できる。そこから戦後を見返せば、必ず、日本は立ち直れる。

民進瓦解で、連合に分裂の足音、内部の亀裂根深く
〜日本経済新聞平成29年12月22日〜

日本最大の労働組合のナショナルセンター(全国中央組織)、連合が支持政党を決められないでいる。旧民主党時代を含め約20年間支持してきた民進党が10月の衆院選で分裂し、所属した議員が3つの党に分かれたためだ。憲法や安全保障など幅広い政策で考え方が異なる議員が同居した民進の構造は、連合そのものにも当てはまる。分裂は対岸の火事ではない。
21日、連合の中央執行委員会。10月の衆院選を総括する文章をまとめた神津里李生会長は記者会見で、2019年の参院選を前に支持政党を決めるのかを問われると「基本的には決めていくことが望ましい姿だ。そこは視野においてということになる」とあいまいな表現に終始した。
神津氏が慎重に言葉を選んだのは連合を取り巻く厳しい環境が背景にある。10月下旬、都内の連合本部の会議室。参院選に候補者を擁立する約10の産業別労働組合の幹部がひそかに集められた。神津氏は「1つの塊で出ることが望ましいと考えている」と指摘、結束して選挙戦に臨むようクギを刺した。
先の衆院選は民進分裂による野党候補の乱立が自民党圧勝を許した。連合の推薦候補も所属政党が分かれ、選挙応援での組織力が十分に発揮できなかった。参院は現時点では民進の母体が残ってはいるが、選挙を控える参院の選挙候補などからは支持率の高い立憲民主党への移籍を狙う動きが顕在化している。

《出馬どこから》
連合は長年の労組間の分裂と対立を繰り返し、1989年に今の姿にたどり着いた。旧民社党を支持する民間中心の「同盟」、旧社会党を支持する官公労が軸だった「総評」を中心に4団体が大同団結。野党第一党の旧民主の結成を後押しし、政権交代可能な勢力構築に寄与した。
しかし、旧民主党内と同様に、同盟系が保守系を、総評系がリベラル系を支援する寄り合い所帯は今も昔も変わらない。同盟系が「立憲民主は共産党と一体。応援できない」と漏らせば、総評系は「安全保障関連法を容認する希望の党は推せない」と反発。今回の野党の分裂は連合内の亀裂も浮き彫りにした。
集票マシンとして機能する連合は、個人名の得票が多い候補が当選する非拘束名簿式が導入された2001年以降、旧民主(前回から民進)から組織内候補を擁立し続けた。約680万人を超える全国の組合員をフル活動させるためだが、次回の参院選では総評系の自治労や日教組などを母体とする候補が立憲民主から、他の候補が民進や希望から出馬するシナリオも浮上する。
全国を1つの選挙区とする参院の比例代表で、連合の組織内候補が複数の政党から出馬すれば、連合の内部組織どうしで票を奪い合う構図となるのは必至だ。連合幹部は「産別が異なる党から候補を出せば事実上の連合の分裂に陥る」と話す。

《変わるあり方》
連合内では「誕生から30年近くを経て、団結してこそ交渉力を発揮できると皆分かっている」(幹部)などと分裂回避を求める声が大勢だ。世論の関心の高い働き方改革や子育て支援などは、労働者の立場から積極的に政策実現を働きかけるテーマだという認識でも一致する。
しかし海外に目を転じれば、強大な単一のナショナルセンターが政府と対峙する構図は崩れつつある。経済のグローバル化が加速し、働き方の多様性が進む米欧では労組の地盤沈下は著しい。労働運動に詳しい早大の篠田徹教授は「先進国のナショナルセンターで最も存在感が大きいのは連合だ。毎年、全国一斉に賃上げ交渉をやる日本のような国はほかにない」と日本の特異性を指摘する。
「ごった煮」政党といわれた民進は衆院選で無所属を含めて3つに分裂した。あいまいさはなお残るものの、安全保障や憲法など立ち位置で一定の「わかりやすさ」を有権者に見せたとの指摘もある。技術革新や国際情勢の変化が進む中、連合も今のままであり続けられるのか。楽観はできない。(坂口幸裕)

在韓邦人退避に陸自ヘリ、政府検討
釜山ー対馬ピストン輸送
〜産経新聞平成29年12月17日〜

政府が北朝鮮有事を想定し、陸上自衛隊のCH47大型ヘリコプターを投入して長崎県・対馬と韓国・釜山の間で在韓邦人の退避を行う計画を作成していたことが16日、分かった。ただ韓国政府は米国以外と各国軍の非戦闘員退避活動(NEO)の協議を拒否しているため、カナダやオーストラリアなど有志連合で韓国政府と協議することも検討している。複数の日本政府関係者が明らかにした。
陸自と海自の航空機と艦船も投入する計画で、陸海空3自衛隊による統合任務として実施する。
対馬と釜山の距離は約50キロ。CH47の航続距離は約千キロで、給油なしで邦人らをピストン輸送することが可能だ。1機あたり約50人を運ぶことができる。防衛省関係者によると、陸自が保有する57機のうち、30機程度を邦人退避に投入する計画という。このほか、UH60中型ヘリの活用も検討している。
政府は自衛隊に邦人退避の任務を付与する際、空自の航空支援集団司令官をトップとする統合任務部隊(JTF)を編成する方針だ。陸海空のヘリや航空機、艦艇を一元的に指揮することを想定している。
計画では韓国国内の港湾施設や空港・空軍基地から輸送する。朝鮮半島の緊張が高まった段階で渡航自粛や民間機での退避を促す。有事が発生すれば韓国国内のシェルターに一時避難した上で、米軍などがあらかじめ指定している場所に集まる。そこから空港・空軍基地や港湾施設に移動し、陸自のCH47のほか空自のC130輸送機、海自の「おおすみ」型輸送艦などで日本へ移送することを想定している。
在韓邦人は、観光客も含めると約5万7千人いる。自衛隊内では「海空自衛隊の輸送能力を超えている」(空自幹部)との声もあり、陸自ヘリの活用も必要だと判断した。
ただ、自衛隊による邦人保護活動は、受け入れ国の同意や、活動現場で安全が確保されていることが条件だ。陸自が韓国国内で活動することは韓国世論の反発も予想される。
政府内には、情勢が緊迫化すれば韓国も認めざるを得ないとの見方や、「認めなくても自演隊を派遣しなければならない事態はあり得る」(高官)との声もある。安倍晋三首相が決断を迫られる場面も出て来かねないとの指摘だ。


和歌山市、共産市議、庁舎にで「赤旗」勧誘、20年超前から
〜産経新聞平成29年12月15日〜

各地の自治体で、共産党の所属する地方議員が職員に政党機関紙「しんぶん赤旗」の購読を勧誘していた問題で、和歌山市役所内でも、共産市議が管理職の職員を中心に購読を呼びかけていたことが14日、関係者への取材で分かった。庁舎内での物品の販売・勧誘などを規制する市の内規に抵触する可能性があり、市は今後、内規の徹底を図る方針。
関係者によると、元職を含む共産市議が少なくとも20年以上前から庁舎内で、職員に私費での赤旗の購読を勧誘。市議が直接、配達や集金を行うケースもあった。詳細な購読者数は不明だが、副課長級以上の管理職を中心に多くの職員が購読に応じていたという。
同市の庁舎管理規則では、物品の販売や宣伝、勧誘などの行為は市長の許可が必要と定めている。共産市議団の姫田高宏幹事長は産経新聞の取材に対し、勧誘を無許可で行なっていたことを認めた上で「勧誘ではなく政治活動という認識だった。党として新聞(赤旗)を広めることは場所や時間、相手などに関わらず常にやっていることだ」などと主張。ただ今後、市側から是正などの申し入れがあれば対応を検討するという。
市管財課の土橋博課長は「庁舎内での無断勧誘は禁止されており、違反行為には中止を求めていく」とコメントした。しんぶん赤旗の議員による購読勧誘は神奈川県鎌倉市や長崎県佐世保市、兵庫県加古川市など各地の自治体で相次いで表面化している。

政府、準備を本格化、退位19年4月末決定、新天皇5月1日即位
〜日本経済新聞平成29年12月8日夕刊〜

政府は8日の閣議で、天皇陛下の退位日を2019年4月30日と定める政令を決定した。安倍晋三首相は閣議後の閣僚懇談会で、皇太子様が翌5月1日に新天皇に即位すると表明した。「平成」は新元号に改元される。政府は年明けに菅義偉官房長官をトップとする準備組織を発足。1817年の光格天皇以来、約200年ぶりの退位に向けて調整を本格化させる。
首相は閣僚懇談会で「皇位継承の準備に必要な事柄は多岐にわたる。国民がこぞってことほぐなかで退位と即位がつつがなく行われるよう万全を期してほしい」と要請した。菅長官が閣議後の記者会見で明らかにした。
天皇陛下の退位は明治以来、終身在位制となり、実施されていなかった。宮内庁が16年8月に高齢による体力の衰えを理由に退位の思いをにじませた陛下のビデオメッセージを公表したことから、政府が退位を実現する特例法を17年の通常国会で制定した。

森友・加計本「朝日は言論で勝負を」、小川氏、賠償要求に反論
〜産経新聞平成29年12月7日〜

朝日新聞が「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(飛鳥新社)の著者で文芸評論家の小川栄太郎氏に謝罪や訂正、賠償を求める申入書を送っていた問題で、小川氏は6日、自身が代表理事を務める団体のホームページで「朝日新聞よ、新聞社として恥を知りなさい」と反論する回答書を5日付で朝日新聞社に送ったことを明らかにした。
小川氏は、朝日を「日本を代表する言論機関」と位置づけ、「法的構成が不可能な言いがかりで一個人を恫喝するのではなく、言論には言論で勝負していただきたい」とした。朝日の執筆者や幹部と公開討論を行うことなども求めた。「言論機関として、この問題の検証から逃げることはもはや許されない」とも強調した。
朝日は6日、ホームページに「回答の内容は承服できません。今後の対応について、弊社で検討いたします」とのコメントを掲載した。朝日は11月21日、「根拠もなく、『虚報』『捏造』などと決めつけるのは、弊社の名誉・信用を著しく傷つける不法行為」と抗議する申入書を小川氏と飛鳥新社に送付していた。

参院選へ共産、野党共闘継続、中央委員会総会で志位氏
〜日本経済新聞平成29年12月3日〜

共産党は2日、敗北した10月の衆院選を総括する第3回中央委員会総会を党本部で開いた。志位和夫委員長は幹部会報告で、衆院選について「大変悔しい残念な結果だ。原因は我が党の力不足にある」と述べた。
2019年の参院選では立憲民主党など野党との選挙協力を継続する方針を表明。ただ選挙区で共産の候補を一方的に降ろすことはしないと明言。

「朝日はこのまま開き直るのだろうか」を首相がシェア
財務省「忖度説」の破綻、阿比留瑠比
〜産経新聞平成29年12月1日〜

阿比留瑠比、極限御免より
安倍晋三首相は30日、自身のフェイスブック上に、自民党の和田政宗参議院議員がFBに投稿した記事をシェアして掲載した。その書き出しはこうである。
「朝日新聞はこのまま開き直るのだろうか」
学校法人「森友学園」の小学校設置趣意書が、朝日が報じていた「安倍晋三記念小学校」ではなく、「開成小学校」だった問題に関する感想である。安倍首相も同感だったのだろう。
和田氏はまた、朝日がすでに信頼性が失われていた籠池泰典前理事長の証言をうのみにし、報道した事についてこう記した。
「提出した設置趣意書のコピーを籠池氏は持っているはず(当たり前の事)で、朝日新聞はそれを確認せずに報道した。まさか『それでも報道してしまえ』と、意図的なものでもあったのだろうか?」
《ストーリーに固執》
朝日報道の「意図」を指摘するのは、別に和田氏に限らない。紙面をちょっと読めば、火を見るより明らかな事だからである。例えば11月28日付朝刊一面トップ(東京版)の主見出しは「録音内容政府認める」、11月29日付朝刊一面トップ(同)のそれは「森友ごみ協議 音声認める」だった。
ともに森友学園への国有地売却問題で、財務省と籠池氏側が地中のごみに関して協議した件である。2日続けて開き直ったように同じ案件を1面トップに据え、同じ「認める」との表現で政府が追い詰められたかのように強調した。
さらに11月29日付の社説はこの問題に関わる衆院予算委員会の質疑を取り上げ、こう書いていた。
「学園の籠池泰典前理事長らと交流があった安倍首相の妻昭恵氏への忖度は、あったのか否か。肝心な点の解明が依然として進まなかった」
相変わらず、財務省が安倍首相側に「忖度」して土地を格安で売却したというストーリーに固執している。だが、朝日が書けば書くほど、国会で野党が追求すればするほど浮かび上がってきたのは、違う構図ではないか。
「0円に近い形で払い下げをしてもらいたい」
「1億3千万がうんぬんよりも、グーンと下げていかないかんよ」
朝日記事によると、籠池氏は財務省側にこう強気で要求している。地中に大量のごみが埋まっていることを、当初はきちっと説明していなかった財務省側がこれをもてあまし、ワケありの場所だったこともあり、ずるずると値引きに応じてしまったのだろう。昭恵氏への忖度で安く払い下げたというより、籠池氏の要求に、一刻も早く問題物件を売り払いたい財務省が屈したというのが本当のところではないか。そこがより明確になってきた。まして安倍首相の関与など、影も形も見えない。
《カケ→モリに重心》
朝日はこのところ、森友学園ではなく加計学園の新獣医学部設置問題に執心していた。それが急に森友問題追求へと重心を移したのはなぜか。
朝日は文部科学省の文書にある「総理のご意向」という文言は、飽く事なく繰り返してきた。一方で、同文書にある「〜という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」という論調に合わない部分は決して報じようとしないことが、広く知られてきたこととの関係が注目される。
読売新聞は11月28日付社説で、自民党の菅原一秀氏が11月27日の衆院予算委員会でこの部分を取り上げたことについてこう主張した。
「『これは、首相からの指示がないということではないか』との菅原氏の指摘はうなずける」
財務省の「忖度説」をはじめ、朝日による一連のモリカケ疑惑報道の破綻がはっきりしてきたように思える。
(論説委員兼政治部編集委員)

家計学園、行政は歪められたのか?獣医師会、学部阻止に奔走
「石破4条件」を盾、民主に献金
〜産経新聞平成29年7月17日〜

日本獣医師会の内部資料には、獣医学部新設4条件をめぐる石破茂地方創生相(当時)とのやりとりが克明に記されていた。
「学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました」
平成27年9月9日。地方創生担当相の石破茂は、衆議院会館の自室で静かにこう語った。向き合っていたのは、元衆議院議員で政治団体「日本獣医師政治連盟」委員長の北村直人と、公益社団法人「日本獣医師会」会長で自民党福岡県連会長の蔵内勇夫の2人。石破の言葉に、北村は安堵の表情を浮かべながらも「まだ油断できないぞ」と自分に言い聞かせた。
石破の言った「文言」とは、会談に先立つ6月30日、安倍晋三内閣が閣議決定した「日本再興戦略」に盛り込まれた獣医学部新設に関わる4条件を指す。具体的には@現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化Aライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかB既存の大学・学部では対応が困難な場合C近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討ーの4つ。要するに、新たな分野のニーズがある。▽既存の大学で対応できない。▽教授陣・施設が充実している。▽獣医師の需給バランスに悪影響を与えないーという内容だ。
このいわゆる「石破4条件」により獣医学部新設は極めて困難となった。獣医師の質の低下などを理由に獣医学部新設に猛反対してきた獣医師会にとっては「満額回答」だといえる。北村は獣医師会の会議で「(4条件という)大きな壁を作ってもらった」と胸を張った。
愛媛県と今治市が学校法人「家計学園」(岡山市)の獣医学部誘致を計画したのは19年に遡る。相次ぐ家畜伝染病に悩まされ、「獣医師が足りない」という畜産農家の切なる声を受けての動きだった。だが、構造改革特区に何度申請しても却下された。ようやく構想が動き出したのは、21年9月に民主党の鳩山由紀夫が首相となった後だった。民主党愛媛県連副代表で衆議院議員の白石洋一は、民主党幹事長室で「今治市に獣医学部の枠を取れないか」と陳情した。幹事長の小沢一郎は自民党から業界団体をいかに引き剥がすかに腐心していた。資金力のある獣医師会を揺さぶるにはちょうど良い案件に映ったのだろう。22年3月に特区申請は「対応不可」から「実現に向けて検討」に格上げされた。
慌てた獣医師会は、民主党衆議院議員城島光力と接触し、城島を会長とする「民主党獣医師問題議員連盟」を発足させた。22年7月の参院選では、民主党の比例代表の候補1人を推薦した。民主党議員に対する政治献金もこの時期に急激に増えている。
ところが、その後の民主党政権の混乱により、またも構想は放置された。それがようやく動き出したのは24年12月、自民党総裁の安倍晋三が首相に返り咲いてからだった。
安倍は25年12月、「岩盤規制をドリルで破る」というスローガンを打ち出し、構造改革特区を国家戦略特区に衣替えした。27年6月、愛媛県と今治市が16回目の申請をすると、国家戦略特区ワーキンググループ(WG)が実現に向け一気に動き出した。
絶体絶命に追い込まれた獣医師会がすがったのはまたもや「政治力」だった。北村と前地方創生担当相の石破は昭和61年の初当選同期。しかも政治改革などで行動をともにした旧知の間柄だ。日本獣医師政治連盟は自民党が政権奪還した直後の平成24年12月27にち、幹事長に就任した石破の「自民党鳥取県第一選挙区支部」に100万円を献金している。蔵内も長く福岡県議を務め、副総理兼財務相で自民党獣医師問題議連会長の麻生太郎や、元自民党幹事長の古賀誠ら政界に太いパイプを有する。
北村らは石破らの説得工作を続けた結果、4条件の盛り込みに成功した。





今話題の共産党、その正体を識者はどのように見ているのか。

日本共産党の憲法草案について、兵本達吉(元共産党員で共産主義研究家)の論文が月刊誌Hanadaに掲載されていました。

「日本共産党は、戦後、GHQの民主化政策の波に乗って公然と姿を現した。そして、ブルジョア憲法のもとにある、ブルジョア議会に進出した。最初は天皇制が残っており、自衛権を認めないような憲法には反対だといって、憲法制定議会では反対票に投じたけれども、のちに自衛隊は憲法違反であるという主張に転じた。これはすでに何回も述べた。
その後、小沢一郎とのテレビ対談(テレビ朝日サンデープロジェクト)で、日本が侵略された時に無防備でどうするんだと、とっちめられて不破哲三が答えられなかったのを転機として、「急迫不正の侵害を受けた時に限って、自衛隊を活用する」という立場に転換する。
しかしこれにも動揺があって、将来は廃止する、ということで落ち着いているようだ。そして現在は、あれには賛成、これには反対と言っていると自民党に乗じられるから、とりあえずは「憲法の全条項を支持する」という立場をとっている。
共産党は、国会の召集日に開会式があって天皇のお言葉があるのだが、これにずーっと欠席してきた。これまた今回の野党共闘にあたって、小沢一郎から矛盾を指摘されて、開会式に出席することになった。
共産党といえば「なんでも反対」で一貫しているように見えて、実は迷走を繰り返しているのである。しかし本心はどうなのか、本音はどこにあるのか?共産党の腹が分かるはずはない、と思うかもしれないが、実はわかるのである。
日本共産党には「日本共産党憲法草案」(1946年6月)というのがあって、これが共産党の憲法の原型であり、ここでは本心が包み隠さず示されている。
しかし、と思う人がいるかもしれない。なんと言っても70年前に書かれたものであって、現在の共産党がこの草案と同じ考えでいるわけはない。そう思う人がいても不思議ではない。私もそう思って、点検してみた。
日本共産党は、2004年4月1日に第二十三回党大会を開き、最新の党綱領を採択しているのである。ソ連共産党が崩壊して、単に政治制度としてのソ連が崩壊したのみならず、その経済制度、社会の土台に毎年数百万の奴隷労働が組み込まれた、社会主義国家とは言えないような社会であったことが明らかにされ、その事実も踏まえたうえでの綱領が作られた。
この綱領を不破哲三が詳しく解説している文章を読んだけれども、この憲法草案と内容的に違ったことはほとんど何も言っていない。「生産手段の社会化」というのが、我が党の最終目標であって、だからこそ、いろんな立場の人が、共産党という評判の悪い党名をかえろと言ってくるけれども、この党名は我が党の、目的・性格を示すものだから変更しないのだ、と言っている。
この憲法草案でも綱領でも、最終目標は生産手段の社会化であること、そのための方法、天皇制は廃止すること、軍隊を廃止することなど、現行憲法の解釈として、現在便宜的に言っていることとは違ったことをキッパリと言っている」。

・「読んでみると、第一章に日本人民共和国とあり、その第四条に寄生的土地所有制(つまり地主制度)と財閥の解体、重要企業並びに金融機関は民主主義的規制に基づき運営される、とある。つまり、大企業や銀行などは、国有化されないまでも公有化されるのである。社会主義の一歩手前である。
第十二条には、人民の住宅の不可侵は法律によって保護される、とあって驚かされる。今回の野党共闘で活躍した小沢一郎さん。週刊誌で読んだだけだから正確ではないが、都内の世田谷に二億だか四億だかする豪邸があって、政治資金をこれにつぎ込んだとかつぎ込まなかったとかで、自分がつくったような民主党から出ていかざるを得なくなった。
しかし、共産党が政権を握ったとしても、小沢さん、この豪邸は大丈夫ですよ。住宅は不可侵だと言ってくれているのだから。
何のためにこんな規定がるのか、不思議に思うだろう。共産主義では、財貨を生産財と消費財に分ける。そして、消費財の私有は許すが、生産財は公有化される。それを具体的に示しているのである。
第二十四条には、勤労に基づく財産は、法律によって保障される、社会的生産手段の所有は公共の福祉に従属する、という規定がある。つまり、労働者の賃金のようなものは取り上げられることはない。しかし、それ以外の工場とか貨物を運ぶトラックとかは取り上げられる。そういう趣旨である。
下世話な話で恐縮だが、民進党の岡田代表はスーパー、イオンの会長の息子だという。共産党と火遊びしていると、親父の財産をみな共産党に持っていかれてしまいますよ、と申し上げたい。
あ、思い出した。有価証券や銀行預金も大きなものは没収する、というのが共産党の考え。そうすると、小沢さんもはたして豪邸を維持できるかな?」。

筆坂秀世(元日本共産党常任幹部会委員、政治評論家)
『党内民主主義などありません』
・「共産党では横の連携は厳禁で、あるのは縦系列の指揮系統のみですから。しかも党内の問題を党外に持ち出してはならず、党内で幹部の悪口を言おうものなら袋叩きにされてしまう」
・「党内からは一切反対意見が出ない。共産党は民主集中制ですから上から作る党で、下からではありません」。
・「共産党にはナンバー1が絶対なので、宮本体制だったら宮本顕治さん、不破体制の時だったら不破哲三さん、という感じです。するとどうなるかと言いますと基本的に共産党員は自分の頭で考えなくなるんです。なぜなら、指導者があらゆる問題に答えを出してくれるからです」。
・「宮本さんも12年、不破さんも計16年と長いよですね。その理由は、共産党特有の【幹部防衛】という考えにあるんです。党の方針として【幹部政策】をかかげているのは共産党ぐらいでしょう。幹部さえ防衛すれば党はどんな弾圧を受けても再生できる、と【幹部防衛】を非常に重視し、鍛え抜かれた幹部は20年、30年と委員長を務めても、鍛え抜かれた指導者だからいいんだという考えです」。
・「昔の規約にあったように下級は上級に従い、個人を組織の上においてはならないという原則は今も変わっていません」。
・「それと、専従職員がどうしても官僚的になってしまうという問題があります。共産党員で出世するのは、普通の会社ならむつかしい。専従職員は共産党から給料をもらっており、党に逆らうことは職を失うことを意味するので、上から言われて、これはおかしいなと思っていても黙っていようとなってしまう」。
・「自分自身を振り返ってみても、専従職員は長くやってはダメだとつくづく思います。各支部の会議でも議論になるのは、“今週は赤旗が何部増えましたか”といったことばかりです。最高決定機関である中央委員会総会が開催され、そこで長い決定が出ると、”皆さん、決定された内容を読みましたか?まだ読んでないようでしたら、みんなでよも合わせをしましょう“となる」。
・「党内で侃々諤々(カンカンガクガク)の議論なんてほとんどありません」。
・「今ではもう、意欲をなくしている党員がすごく多いと聞きます。大企業に務めて、長い間党員だった人が、定年退職して故郷に帰ると、待っているのは赤旗の配達と集金作業です。苦労して会社務めをしてきて、定年退職をしてのこれは、非常にしんどい。なので、定年退職を機に離党する人がけっこういるんです。党自体が高齢化していますから、配達者を確保するのは大変だと思います」。

筆坂秀世(元日本共産党常任幹部会委員、政治評論家)
『基本は暴力革命なんです』
・「不破さんがマルクス、エンゲルスは暴力革命だけを行っていたわけでなく、議会を通じた革命の可能性を追求していたということを両者の片言隻句を集めていうわけですが、19世紀に議会を利用することはあっても、議会を通じた革命などあるわけがありません。基本は暴力革命なんです」。
・「【51年綱領】というのがあって、いま共産党は【51年文章】と言い換えていますが、これは完全に暴力革命なんです。火炎瓶を投げたり、中核自衛隊を作ったり、山村工作隊を作ったり、実際にそこへ身を投じた若者が大勢いた。共産党はいま、“あれは野坂参三や徳田球一がかってにやったことで共産党とは関係ない”と言っていますが、そんな理屈は通用しません。野坂さんや徳田さんは共産党を代表していたわけで、野坂さんはその後も共産党の中央委員会議長にまでなるわけですから。この武装闘争によって破防法が制定されたのであって、“破防法による監視はけしからん”と文句をいうのであれば、まず自らの過去をもっと真摯に反省しないとダメですよ」。

兵本達吉(元日本共産党員、共産主義研究家)
・「1950年、すでに朝鮮戦争の準備をしていたソ連共産党や中国共産党から、それまで「愛される共産党」とか、「平和革命」を唱えていた野坂参三や日本共産党の指導者がモスクワに呼び集められた。スターリンが直々に参加した会議で「武装闘争」に決起する指令を受けて、スケールは小さかったし、人民大衆の反応はサッパリだったし、盛り上がりはなかったが、「人民戦争」=内乱に立ち上がったのが、いわゆる「50年問題」であった。
地下の司令部が設置され、ここに軍事司令部・軍事委員会が設置された。山間部に隠れて、軍事教練が行われた。武器として火炎瓶の作り方が指導された。現在のアラブのISに比べると、吹き出すような幼稚な武器を大真面目に制作した。
全国各地の交番・派出所を襲撃して警官を傷つけ、殺傷し、ピストルを奪ってきたり、中国革命の人民戦争を模して山に立て籠もったり(山村工作隊)、さらには三大騒擾事件と言われるものを引き起こした。
(1)血のメーデー事件(2)吹田・枚方事件(3)大須事件である。それぞれの事件に直接・間接にかかわった人たちが詳細な研究を発表しているので、興味のある方は直接読んでもらいたい。これらの三大騒擾事件は、党の軍事委員会の方針に従って計画的に起こされた事件であった」。
この時代には、党の本当の指導部は北京にあり、徳田機関とか孫機関と言われた。ここから、日本国内にあった臨時中央委員会へ指令が伝えられた。漁船や、かっぱらってきたボロ船を修理して人民艦隊を組織し、九州と中国の間を往来した。日本に対する政治的扇動を目的に、非公然の地下放送「自由日本放送」を流した。ここでも軍事訓練が行われて「日本人民軍」の組織が準備され、日本への上陸作戦を行っているのを目撃した人がいる。
日本共産党は当時、北京に日本革命の戦闘司令部を設置して青年たちに革命訓練と軍事教練を施し、北京から革命放送を行って、日本の労働者に革命を宣伝・扇動し、あわよくば日本への上陸も考えていたのである。
『WILL』5月号でも書いたが、これが刑法の内乱罪、外患罪に問われなかったのは不思議である。これは当時、軍事委員会の組織図とか軍議方針(文章)とか採証上の困難があったとこ、それよりも何よりも、当時、内務省や司法省の高官たちの公職追放が行われて、それが解除されたばかりで、本来、取り締まりに当たる警察官・検察官たちは士気阻喪しており、立件するだけの気力にも欠けていたからだ。
この「50年問題」のおかげで、何百人・何千人もの青年・労働者が逮捕・起訴され、こうした人たちの受けた刑期は、総計すると1万年以上だと言われた。数多くの前途有為な青年たちが一生を棒に振った。
しかも、党の指導者でただの一人も責任をとったものはいない。そして何よりも、日本国民に対して、ただ一言の謝罪もお詫びの言葉もなかったし、その後もない。
「50年問題」は、外国の指導者・スターリンの指揮棒に踊らされて、日本国内に「内乱」を起こす企てであった。だからこそ、政府指導部は警察の強化を考えて、警察予備隊を大慌てでつくり、やがて保安隊・自衛隊と発展していったのである」。


産経新聞出版「日本共産党研究」より(P250〜)
《警察庁広報誌が指摘する共産党史》
安倍内閣の答弁書が異例の対応だったのは、それまで政府は共産党が破防法の調査対象団体であることをめったに明示してこなかったからだ。
国会で、先の不破の質問以外としては1982年と1999年の参院法務委員会で、当時の公安調査庁長官が共産党を破防法の調査対象団体と明言したことがある程度だ。しかもかなり遠慮した形での答弁だった。たとえば、82年4月1日の参院法務委員会で行われた社会党の寺田熊雄と公安調査庁長官の鎌田好夫の質疑は次のようなやりとりだった。
寺田「破壊活動を行う団体というのは、ちょっとあなた方としては言いにくいだろうけれども、大体幾つぐらいを対象にしておられるんです」
鎌田「現在はいわゆる左翼系統としまして7団体、右翼系統としまして8団体程度を調査の対象として推進しております」
寺田「左翼7団体、右翼8団体ですか」
鎌田「はいさようでございます」
寺田「そのここの名称、団体名は言っていただけますか」
鎌田「現在、公的に申し上げることはいかがかとおもいますけれども、2、3申し上げますと、左翼関係としましては日本共産党、在日本朝鮮人総連合会等でございます。右翼団体としましては護国団、大日本愛国党等8団体でございます」警察庁も共産党の過去の歴史に言及した上で、堂々と警鐘を鳴らしている。共産党が現在の綱領を制定した直後の2004年9月に警察庁が発行した広報誌『焦点269号警備警察50年』が、その理由を如実に記している。「暴力革命の方針を堅持する日本共産党」として、共産党の「暴力」の歴史を丁寧に紹介した該当部分を記載する。
【暴力的破壊活動を展開(昭和20年代)】
(1)占領下での勢力拡大
第二次世界大戦終了後、公然活動を開始した日本共産党は、敗戦直後の国民生活の窮乏と社会不安を背景に党勢の拡大に努め、昭和24年(1949)1月の衆院選では35議席を獲得し、10数万人の党員を擁するようになりました。
(2)「51年綱領」に基づく暴力的破壊活動を展開
日本共産党は、同党の革命路線についてコミンフォルムから批判を受け、昭和26(1951)年10月の第五回全国協議会において「日本の解放と民族的変革を、平和の手段によって達成しうると考えるのは間違いである」とする「51年綱領」と、「われわれは武装の準備と行動を開始しなければならない」とする「軍事方針」を決定しました。そして、この方針に基づいて20年代後半に、全国的に騒ゆう事件や警察に対する襲撃事件等の暴力的破壊活動を繰り広げました。(中略)
ところで現在、日本共産党は、当時の暴力的破壊活動は「分裂した一方が行ったことで、党としての活動ではない」と主張しています。しかし、同党が20年代後半に暴力的破壊活動を行ったことは歴史的事実であり、そのことは「白鳥警部射殺事件」「大須騒ゆう事件」の判決でも認定されています。
【「51年綱領」の廃止と現綱領の採択(昭和30年代)】
(1)「51年綱領」の廃止
日本共産党は、昭和30年(1955)7月の第六回全国協議会(6
全協)で、20年代後半に行った武装闘争を「誤りのうちもっとも大きなものは極左冒険主義である」(=革命情勢がないのに武装蜂起した)などど自己批判しました。そして、33年(1958)7月の第7回党大会で、暴力革命唯一論の立場に立った「51年綱領」を「一つの重要な歴史的な役割を果たした」と評価した上で廃止しました。
(2)現綱領の採択
同大会では、「51年綱領」に代わる当の新綱領が「党章草案」(綱領と規約を一つにしたもの)として示されましたが、現状規定や革命の性格等について反対意見が多く、党内の意思統一を計ることができませんでした。(中略)
その後、宮本顕治書記長(当時)の指導のもと、3年間にわたる党を挙げての綱領論争と、いわゆる反党章派の幹部の除名等を経て、昭和36年(1961)7月、第八回党大会が開催されました。そして、同大会で「現在、日本を基本的に支配しているのは、アメリカ帝国主義とそれに従属的に同盟している日本の独占資本である」とする現状規定や、民主主義革命から引き続き社会主義革命に至るという「二段階革命」方式等を規定した現綱領を採択しました。
また、両党大会や綱領論争の過程における党中央を代表して行われた様々な報告の中で、革命が「平和的となるか非平和的となるかは結局敵の出方による」とするいわゆる「敵の出方」論による暴力革命の方針が示されました。











筆坂秀世(元日本共産党常任幹部会委員、政治評論家)
『この戦略は確実に失敗します』
・「共産党の志位委員長は夏の参院選で、32ある全改選1人区を対象に野党勢力を結集して自民党に対抗するため、独自候補を取り下げる方針を明らかにしていますが、この戦略は確実に失敗します」。
・「安保法制は、先の国会で成立したばかりです。これをすぐさま廃止するということがいかに非現実的なことか、国民は分かっていますし、北朝鮮のミサイル発射や南シナ海での中国の横暴をみれば、安保法制が必要だと感じている国民は多い。世論調査でも、廃止にすべきだと思っている国民は少ない。戦争法廃止をスローガンにしている限り、次の選挙でも惨敗は必至です。

鈴木宗男『民主党に明日があるのか』
・「・・その勘違いの最たるものが、やはり共産党との選挙協力です。民主党だけでなく、小沢一郎氏も共産党と組もうとしている。聞くところによれば、志位委員長の指南役は小沢氏だと言われるほどで、これにも驚きました。
私は、政治家は信念がなくなったら、もう政治家をやめた方がいいと考えています。確かに政治家はその時々の判断で、出たり引っ込んだり、組んだり組まなかったりがあるでしょう。しかし信念だけは持ち続け、どこかで「これは駄目だ」という線引きが必要なはずです。
いかに選挙のためとはいえ、国家観の違う共産党と組む民主党に明日があるのか、と思います」。

筆坂秀世(元日本共産党常任幹部会委員、政治評論家)
・「財政問題でも共産党は党内が衰退していると言われていますので、独自の候補を擁立しないことは共産党にとって好都合なんです。共産党の党員は約30万5千人、赤旗の発行部数は約124万1千部(うち日刊紙は約23万部で、残りは日曜版)。最盛期には49万人の党員と355万部の発行部数だったことを考えると、党勢が縮小の一途をたどっていることは明白です」。
・「以前から給料の遅配・欠配が生じていることは、地方に行けばよく知られている話です」。
・「”本来なら候補者を立てたいところだが、野党共闘で戦争法廃止に向けて共産党は身を切るのだ”と言った方が格好がつきますし、反対派にも受けて金もかからず、比例に集中できる。共産党にとっては良いことだらけなんです。だからこそ、共産党は、政権協議への民主党の冷ややかな対応がわかるや否や、簡単に国民連合構想は横において保留することを決めたのです。狙いは、民主党との選挙協力にあったことは明らかです」。

論戦安保法制、沖縄、分かれる賛否ー衆院特別委員会で参考人質疑
石垣市長「抑止力強化は心強い」、名護市長「危険極まりない法案」
〜産経新聞平成27年7月7日〜

【稲嶺進名護市長】
国民に不安をもたらし、国のあり方まで変えてしまいかねない危険極まりない法案だ。憲法9条や立憲主義に違反している。傲慢で独善的な手法は(米軍普天間飛行場の)名護市辺野古移設を強行する政府の姿をあからさまに体現している。自民党勉強会で出た県民侮辱発言や県内マスコミへの偏見に見られる屈折した沖縄観とも通底する。
【大田昌秀元県知事】
現実を踏まえて安全保障問題を議論しないと沖縄戦を繰り返すことになる。辺野古に絶対に基地をつくらせてはならない。大戦では本土防衛のために沖縄が捨て石にされた。沖縄の犠牲を理解して基地問題を議論してほしい。基地を辺野古に移せば日本を守れるという単純な発想が残念でならない。
【古謝景春南城市長】
集団的自衛権の全面的行使を認めるなら賛成できないが、専守防衛、自国防衛の武力行使しか認めていないと分かり、賛成できる。十分な審議を経ての成立を願う。政府は平和と外交と基地負担軽減の努力を強化してもらいたい。南城市に駐屯する自衛隊は、地元の信頼も厚い。PKOなどで生命の危険に遭遇したら、どう対応すべきか隊員も心配しているが、それを回避できる法改正で安堵している。
【高嶺朝一前琉球新報社長】
辺野古移設は負担軽減ではなく長期的使用のための再開発計画だ。法案を先取りするように南シナ海の日米共同のパトロールという話があるが、実行すれば中国を刺激する。中国はじめ周辺国と率直な対話を始めることが先だ。自民党勉強会での発言は占領者の論理を振りかざすようなもので、非常に恥ずかしい。
【中山義隆石垣市長】
中国公船の領海侵入や北朝鮮のミサイル発射など現状に大きな不安を感じる。法案で抑止力が強化されるのは大変心強く、沖縄を含む日本全体の安全保障が担保されると期待する。報道機関も中身を論じ、国民世論を喚起してもらいたい。今国会での慎重な議論の上で成立を求める。自民党勉強会での発言は各政治家が責任を取り、謝罪するなり主張を続けるなりすればよい。

維新が安保対案了承、自国防衛の目的明確化〜産経新聞平成27年7月2日〜

維新の党は1日、国会内で安全保障調査会を開き、安全保障関連法案の対案を了承した。政府案で定義した集団的自衛権を行使すべき「存立危機事態」の代わりに、新たに「武力攻撃危機事態」の概念を設けたことが柱。日本周辺で日本の防衛のために活動する米軍などへの武力攻撃が想定される場合に、「自衛権」の行使を認める内容となった。
維新は2日に憲法学者の意見聴取を経たうえで執行役員会で正式に決定する。3日に自民党などに提示し、来週以降の国会提出に向けて最終調整している。片山虎之助参議院会長は1日の記者会見で「対案を(国会に)出して審議の対象にする方向で党内調整をしている」と明言した。
松野頼久代表は、対案の国会提出が政府案の採決につながり、「すり寄り」との批判が出ることを懸念している。ただ、橋下徹最高顧問や大阪系議員だけでなく、江田憲司前代表らも含め党の大勢は国会提出に傾いている。
対案の武力攻撃危機事態は「条約に基づき我が国が周辺の地域において我が国の防衛のために活動している外国の軍隊に対する武力攻撃」が発生した場合と定義した。その上で「これにより我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険があると認められるに至った事態」で自衛権の行使を可能とした。
党安保調査会が6月19日にいったん了承した対案は、存立危機自体の概念を前提に政府案を微修正していた。だが、橋下氏が「国民に全く理解されない」と反発。自国防衛の目的を明確化したことで「合憲」とする内容に変更した。
対案では明記していないが、実態として政府と同様に集団的自衛権の限定的な行使を容認した。政府が中東・ホルムズ海峡の機雷掃海を念頭におく経済的理由による行使は認めない。
また、政府案にはない国会承認に関する厳格な規定を求めた橋下氏の意見を尊重し、防衛出動の国会承認に関する規定も新設。国会に専門委員会を創設し、防衛出動の適否などを審議する仕組みとした。

安倍首相、橋下徹氏と会談 安保法案で協力要請か
〜朝日新聞デジタル平成27年6月15日〜

安倍晋三首相と維新の党橋下徹最高顧問が14日夜、東京都内で約3時間会談した。首相は橋下氏に対し、今国会の最重要法案の一つである安全保障関連法案への協力を要請したと見られる。菅義偉官房長官と松井一郎顧問も同席した。
維新は安保関連法案への対案を今国会に提出する方針を決めており、与党との修正協議に発展する可能性がある。安倍首相としては、法案への世論の反対が根強いことから、維新を修正協議に引き込んで賛成を得ることで、与党だけで採決に踏みきって批判を浴びるのを避けたい考えだ。
首相と橋下氏の会談は、5月の「大阪都構想」の住民投票で反対多数となった結果を受け、橋下氏が政界引退を表明してから初めて。橋下氏は、首相と菅氏が大阪都構想へのエールを送ったことに対して謝意を伝えたと見られる。
橋下氏と松井氏は首相と菅氏との会談に先立ち、維新の松野頼久代表と柿沢未途幹事長と都内で会った。柿沢氏は会談後、記者団に「自民党でも、民主党でもない、維新の党の立ち位置を大切にしようと確認した」と語った。

集団的自衛権、豪も対象
防衛相、安保特委で表明〜日本経済新聞平成27年6月12日〜

中谷元・防衛相は12日午前の衆院平和安全法制特別委員会で、オーストラリアへの武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされる事態になれば、集団的自衛権を行使できるとの見解を示した。
新たな安全保障法制で集団的自衛権に基づく他国軍の防衛が可能になると指摘。「法律の要件を満たす場合であれば日豪、日米豪の運用協力を進めることが可能となる」と語った。
政府が今国会での成立を目指す安全保障関連法案は、日本と密接な関係にある他国に武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされるなどの「存立危機事態」になれば、集団的自衛権を行使できるとしている。
防衛相は「法律上、対象として豪州軍が明記されているわけではない」としつつ、これまでの日豪間の安保協力の進展を根拠に豪州軍が「密接な関係国」に含まれるとの認識を示した。
日本への直接の攻撃はないが、日本の平和と安全に重大な影響を及ぼしかねない「重要影響事態」では、自衛隊が豪州軍に給油などの後方支援をできるとも主張した。自民党の若宮健嗣氏への答弁。
12日の午前の特別委員会は衆院厚生労働委員会での労働者派遣法改正案の審議を巡る与党側の対応に民主、共産両党が反発して欠席した。維新の党は出席し、野党内の対応が割れた。

総力大特集、本当は恐ろしい日本共産党
日本共産党に流れたソ連の“赤いカネ”スクープ
〜hanada2016年6月号 名越健郎〜

【プーチンの強烈なソ連批判】
今年12月でソ連崩壊25周年になるが、ロシアのプーチン大統領が1月25日に行ったソ連批判が話題になっている。
プーチンは与党系の集会で、ソ連とレーニンに関する質問に「私はかってソ連共産党員であり、共産党の暴力装置だったソ連国家保安委員会(KGB)で20年近く働いた。共産主義思想がいつも好きだった」としながら、「だが、平等、友愛、幸福を謳い、聖書にも似た共産主義思想の実践は失敗した。ソ連はその理想とは無縁だった」と酷評した。
プーチンは特に、レーニン、スターリン時代を糾弾し「大量粛清を行い、皇帝を家族や側近もろとも処刑した」「10年間で1万人以上の聖職者を殺した」「レーニンはブルジョワと聖職者は多く殺すほどいいと言った」「第一次世界大戦ではドイツを和平を結んで戦線を崩壊させ、敗戦国に敗戦をきした」と非難した。「第二次世界大戦で資源を集中させてナチスドイツを打ち破った」ことは評価しながら、「結局のところ、ソ連は変化や技術革新を受容できず、経済を崩壊させた」と総括した。
KGB出身のプーチンはソ連に思い入れがあるとみられがちだが、近年、ソ連批判を強め、ロシアの版図を広めたエカテリーナ女帝など歴代皇帝を評価する発言が目立つ。今回の痛烈な批判は、国民のソ連時代への郷愁を解き放つ狙いもあろう。
もっとも、現在のロシアでソ連時代を懐かしむのは、社会保障を享受した一部の高齢者だけで、ソ連は失敗国家という認識が支配的だ。最大野党・ロシア共産党も弱者を支持基盤とする一種の社民政党であり、ソ連共産党の流れを汲まない。
一時は「労働者の理想郷」と呼ばれたソ連邦のあっけない崩壊は、国際共産主義運動に壊滅的打撃を与えた。1989年の東欧革命で東欧諸国は脱社会主義化し、欧州から社会主義国家が消滅した。70年代にユーロコミュニズムと呼ばれ、一世を風靡した西欧の共産党は分裂や消滅、党名変更を繰り返した。

【共産党が躍進する先進国】
アジアでは中国、北朝鮮、ベトナム、ラオスが今なお一党独裁だが、中国はソ連を反面教師とし、改革・解放の経済発展に突き進んだ。習近平国家主席は内部講話でゴルバチョフ批判を展開し、ソ連崩壊の教訓を学ぶ学習用動画を作成させた。
北朝鮮は後ろ盾を失って核・ミサイル開発に突っ走り、政権延命を図る。ベトナム共産党では近年、書記長を中央委員の自由選挙で選ぶなど、複数主義への動きがみられる。
日本共産党もソ連崩壊に際して、ソ連と対立してきたことを強調し、「歴史の進歩を妨げてきた巨悪が崩壊した」「もろ手を挙げて歓迎する」などとソ連消滅を歓迎した。「旧ソ連の横暴と30年にわたって対決してきた」とし、「ソ連が最も恐れた自主独立の日本共産党」というスローガンも飛び出した。
今日、日本共産党は「庶民の味方」「原発ゼロ」「安倍政権の暴走ストップ」「増税反対」「米国追随反対」などを掲げて躍進。安倍政権と対峙する姿勢が評価され、選挙のたびに議席を伸ばしている。志位和夫委員長が野党連立政権「国民連合政府」構想を提唱するなど、野党連合のキャステイングボードを握りつつある。
先進国で共産党が躍進しているのは日本だけで、グローバル・スタンダードと異なるガラパゴス現象と言えなくもない。日本共産党は、冷戦後の世界的な共産党忌避の潮流をうまくかわしたかに見える。民主党政権の体たらくも、共産党の支持率向上に貢献した。
だが、19世紀の古色蒼然たるマルクス思想に基づく共産主義が、21世紀に有効とも思えない。共産党政治で成功した例も世界に存在しない。共産党に投票する前に、ソ連の流れをくむ日本共産党の「過去」や「恥部」も知る必要があろう。

【コミンテルンの恩恵】
今日、アジアで社会主義国や共産党が存続するのは、今は亡きソ連の恩恵だ。1917年にロシア革命を成功させたレーニンやトロッキーは「世界革命」に向けて共産主義インターナショナル(コミンテルン)をモスクワに設立した。いわば革命の輸出機関で、各国の共産主義者が結集した。
レーニンらは「欧州の革命なしにロシアで権力を維持するのは困難」とみなして、西欧で革命運動を扇動したが、ドイツやイタリアでの工作は失敗した。逆に成功につながったのが、想定外のアジアだった。
コミンテルンは1921年、上海にコミンテルン中国史部を設置し、毛沢東、陳独秀ら活動家を集めて第一回中国共産党大会を開催。大会に集まった党員は13人だったという。
その後コミンテルンから顧問団が派遣され、数次の国共合作、国共内戦を経て、49年に政権を掌握、新中国が成立した。育ての親のソ連共産党は消滅したのに、十数人の党員でスタートした中国共産党は今日、党員数8400万人の世界最大政党になった。
ベトナム共産党も、コミンテルン活動家だったホー・チ・ミンらがモスクワの指示で30年に設立した。戦後の独立で北ベトナム主席となったホーは南部開放をテーゼに掲げ、75年に武力統一を果たした。
コミンテルンは日本統治下の朝鮮でも共産党結成を指示し、21年に高麗共産党が誕生した。しかし、内部対立や日本当局の抑圧で、数年で活動を終えた。現在の北朝鮮は、朝鮮北部に進駐した極東ソ連軍が、ソ連軍大尉だった金日成を指導部に据えてスターリン型国家として創設したもので、コミンテルン運動とは無関係だ。
コミンテルンがアジアで最も注目したのが、戦前の日本だった。天皇制の存在、貧しい労働者・農民、国民の知的水準の高さから、社会主義革命の機運がそろっていると判断したようだ。22年、野坂参三、徳田球一、荒畑寒村ら活動家が参加し、コミンテルン日本支部として日本共産党が設立された。したがって、日本で最も歴史の長い政党は、創設94年にもなる日本共産党である。

【日本共産党に85万ドル】
日本共産党は今日、一切言及しないが、戦前・戦後を通じ、ソ連が本部であり、兄貴分だった。戦前はコミンテルンから指示が届き、革命のテーゼもコミンテルンの指導で作成した。戦後もソ連の指示で武装闘争に転じたり、陰に陽に支援を受けた。両者の間の関係は、ソ連崩壊後に解禁された旧ソ連機密文書で明らかになる。

YouTubeデイリーWiLLで西岡力氏が語られた内容の要約です。

拉致問題で安倍さんは何をしてくれたのかについて考えます。安倍さんが亡くなってから僕は腹が立ったのは、田中均元外務省局長とか福田元官房長官そのあと総理になりますけで、2002年の頃安倍さんと激しく対立していた人たちが出て来て、自分を正当化して、自分たちも拉致を一生懸命やっていたように言うんですね。安倍さんがいたらそんなこと言えないんじゃないかと。ほんと頭にくるんです。
安倍さんの業績はわたしは3つあると思うんです。
1つ目はですね、2002年9月17日から10月15日、小泉訪朝と5人の帰国ですけれどね。このとき安倍さんが政権の中にいなければ、5人生存8人死亡、それ以外に拉致被害者はいないという北朝鮮の説明が、あたかも信頼性があることかのように日本の世論が広がって、8人は死んだものとされて国交正常化が進んでいたかもしれない。そして5人が帰ってきても一時帰国ということで北朝鮮に返す、という意見が政府の中で主流だったのです。安倍さんが副長官としていなければ、返していたと思うんです。最初の死亡が定着してしまったということを覆したのが、安倍さんだった。9月17日、家族に福田官房長官たちが説明して、おたくの娘さんは亡くなっています、と伝えたわけです。そして伝える前に、いま慎重に検証作業をしていますと言われて伝えたのです。だから断定形なんです。テレビも新聞も死亡と書いたんです。まさか政府は確認もしないで、生き死にの問題を断定するとは思わないから、わたしも殺されたのかもしれないと、殺されたとすると、運動が始まった後殺されたんだと、運動した結果なのかと、良かれと思ってやったのが、逆効果になってしまったのか、本当に一晩眠れなかった。9月18日の朝、安倍さんが出勤前に私たちのホテルに来てくれたんです。そして確認してない、ということを教えてくれたんです。だから私たちは緊急記者会見をして、死亡者と言わないでくださいと。北朝鮮が死亡と伝えた被害者といってください。遺族と言わないでください、家族です。と言えたんですね。公式の説明会は10日後に設定されていたんです。10日間、死亡者、遺族と言われたら、10日後に記者会見しても生きていると言っても世の中相手にしてくれなかったと思うんですね。安部さんは公式な説明会の前に、本当は説明に来たらいけないのかもしれない。だから副長官としてではなく政治家安倍晋三として、来てくれたのかと思うんですね。そして5人が帰国した後も、5人は北に家族がいるんだから帰すべきだというのが、福田官房長官たちの意見だったのです。田中均氏はミスターxとのパイプが切れるから返すべきだ、約束は守るべきだ、と言ったんですね。政府の中で安倍さんと参与に任命されている中山さんが頑張ったので、5人被害者が秘密に安部さんと中山さんだけに日本政府が守ってくれるならば残りたいと伝えて、残ることになったんですが、そしたら本人の意思で日本に残すと発表しようと、外務省系の人が言った。北朝鮮に子供がいるのに、本人の意思で残すといえば、子供に何か起きるかもしれないじゃないですか。だから安倍さんが、いや日本政府の意思で残すと発表したんです。安倍さんがいなければできなかったことです。

2つ目は、2002年小泉訪朝があって、拉致を認めても、拉致が最優先課題になっていなかった。その一番の大きな理由は拉致だけを担当する部署が政府になかったからです。2006年に第一次安倍政権ができてすぐにやったことは、拉致大臣を任命して、拉致対策本部をつくった。対策本部のメンバーは全閣僚で、その対策本部の下に対策本部の事務局を設置した。官邸に置いた。警察でもなく外務省でもなく、外務省や警察から出向者を入れて拉致だけを担当する部署をつくって、独自予算を持つようになった。

3つ目は、2017年に米朝関係が戦争直前にまで緊張が高まったあと、米朝の首脳会談が行われたが、その時、米国に核ミサイル開発問題の解決と拉致問題を一緒にテーブルにのせるように枠組みをつくったということです。トランプ大統領は金正恩に3回拉致問題の解決を迫り、3回目のシンガポールでの少人数の夕食会では、金正恩は意味のある答えを話したと。私たちが2019年ホワイトハウスで聞いたことです。どういう話をしたかというと、トランプ大統領は核を止めよと。核をやめたら北朝鮮は明るい未来があると説得したのですが、しかしアメリカは支援しないよと言ったんです。アメリカは議会が予算を握っていて、核ミサイルをやめても、あのような独裁国家に経済協力することは法的にできないわけです。しかし金正恩は核をやめるならば、今まで開発してきたお金をどうするんだとなりますよね。それについては晋三が出すと言っている。日本は1965年韓国に5億ドル出した。そして過去を清算した。そのことについて核ミサイル開発と拉致問題を解決すれば、晋三はやると言っている 。しかし晋三はあの男は会えば拉致の問題しか言わないんだ。あなたは拉致を解決しなさい。そうすれば核を解決したあと経済支援が来ますよと、トランプ大統領は説得した。
それ以前は、我々は何回もアメリカに行きましたけれど、アメリカはアメリカまで届かない核の開発阻止が優先で、拉致は日朝でやってくれ、ということなんですね。トランプ政権になってそうではなくて、アメリカが拉致を取り上げて核ミサイル問題を解決しようとした。アメリカの北朝鮮戦略に拉致問題を組み込んだ。これが安倍さんの3つ目の功績です。

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