今日は、問題形式でなく、説明です。
 じっくり読んでください。






 

 上図はDNAの構造の模式図ですが、基礎単位は各鎖の赤で囲んだヌクレオチドとなります。リン酸は糖の上下にありますが、糖のO(酸素原子)がある側のリン酸がヌクレオチドの中のリン酸であり、そうでないリン酸は隣のヌクレオチドのリン酸であることに注意してください。
(図で黒枠でくくった部分をヌクレオチドとは言わないのでご注意ください。)
 リン酸の背骨は共通で繰り返しになっているので、DNAの向きは糖(デオキシリボース)の向きで判断されます。
 下図のデオキシリボースに注目してください。中心は五角形をしており、その4か所は炭素原子(C)ですが、1か所だけが酸素原子(O)になっています。Oを上側に考えて分子構造を書くと、Cの右隣りから時計回りに炭素原子に1´、2´、3´、4´と番号がついており、
4´の上に飛び出る形で5´炭素があります。

1´、3´、5´に水酸基(OH)がありますが、ここは別の分子と共有結合する部分となり、1´はDNAの内側に位置しここには塩基が着きます。3´と5´はDNAの外側(背骨側)に位置し、ここにはリン酸(P)が結合します。

生物学では5´→3´方向を正式な向きと認定します。DNA合成の時にこの向きに新しい鎖が合成されていくからです。RNAは一本鎖構造ですが同じく5´→3´方法を正式な向きとします。

 五角形の上下では、5´側にO(酸素)があるので、Oを「後ろ向きの頭(後頭部)」、五角形を身体(背中側)とたとえると、左手に5´炭素、右手(1´側)に塩基をもって、両手に旗を持って立っている人のように考えることができます。そう見た時、頭から身体の下側に突き出る向きが5´→3´方向になります。
 (ヌクレオチドは、この人が両手に持っている旗(5´側リン酸と1´に結合した塩基)を含む構造となります。)

 二重らせんでは、反対側が頭が反対方向、つまり頭であるOが逆の位置になっており逆向きとわかります。対面する鎖で5´→3´方向が逆になっているDNAの性質を逆平行(antiparallel)といいます。これはDNAの情報をRNAが転写している時にも同様に逆平行になっています。
 
 デオキシリボースの分子の中のOの位置、5´、3´の位置、Oを頭と見立てた時、頭→身体につきぬく方向が5´→3´方向であること、2つの鎖が逆平行であることをしっかり確認してください。

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