1 次の図はDNAの二重らせんの一部を拡大し、塩基を描いたものである。デオキシリボースとリン酸の「分子の背骨」は簡略のため棒で示している。@〜Cの塩基の名称、@Bの総称、ACの総称、Dの距離、Eの距離を答えよ。(赤点線は水素結合を示す)

 






 















@T(チミン) 
AA(アデニン)
BC(シトシン)
CG(グアニン)
@B(TC)総称ーピリミジン塩基
AC(AG)総称ープリン塩基
D2nm
E0,34nm

解説

次の論理の流れで抑えるとよい。

1、 分子構造の特徴として環構造が2つあり分子量が大きい(AC)のが「プリン塩基」、
環構造が1つで分子量が小さい(@B)のが、「ピりミジン塩基」。大きいほうが言葉が短く「プリン」、小さいほうが言葉が長く「ピリミジン」となり、言葉の長短と分子の大小が逆転していると抑えよう。

2、プリン塩基はAGであり、ピリミジン塩基はATである。
「プリンの味(AG)」と抑えよう。

3、塩基はAとT、GとCが相補的で必ず結合する。これを塩基の相補性という。「at GC(green Campus)」(来年は大学に合格し、緑のキャンパスで青春を謳歌しよう)と抑えて楽しい気持ちになりましょう。

4、GC間では水素結合が3か所、AT間では2か所。したがって
3次元のコンピューター画像を「3DCG」(3 demention computer graphics)というので「CG」が3(消去法でATが2)と抑えよう。

以上を総合するとパズルのように@〜Cが特定できます。細かい分子構造まで知らなくてもいいです。

さて、DNAの幅は2nm、塩基間の距離は0.34nm
(ただし10塩基対で二重らせんは1回転するので、それを「1ピッチ」と表現し、「1ピッチ3,4nm」と表記することが多いが、1ピッチを10で割れば、1塩基間0,34nm

問2 プリン塩基(AG)を含む食品を食べすぎるとその分解産物で血中に増加するののは何か?それが引き起こし疾病は?





答 尿酸・痛風

解説 尿酸は溶解度が小さいが微量に生理的に血中に溶けている。しかし飽和溶解度に近い。
プリン塩基は食べると代謝・分解され尿酸となり、飽和溶解度を超える尿酸となるため、毛細血管内で結晶化し、体の末端が激しく悩む痛風になる。
「プリンの味(AG)をしめると痛風になる」
と抑えると一石二鳥である。

なお、実際あの甘いプリンは「プリン塩基」は過剰ではない。過剰なのはビール・肉などサラリーマンのお酒交えた外食(夜食)に多く、
サラリーマンにとっては「プリンのとりすぎに注意」というのはよく強調される言葉です。
 (なお、私はプリン体の多いお酒系夜食より、甘い「プリン」や副腎「シュークリーム」のほうが好きです。)

問3
 ヒトゲノムの塩基対は30億塩基対である。1ピッチの長さを3.4nmとすると、ヒトの体細胞に含まれるDNAをひとつなぎに並べるとどのような長さとなるか?







2,04m(約2m)

解説
ヒトゲノムはn(精子・卵にあるn=23のセット)を示すので
体細胞は2nでゲノムの2倍ある。
つまり60億塩基対
(以下メルマガでは累乗が表現できないので累乗の前に「乗」と書く。

0,34nm×60億塩基対
(n(ナノ)は10「乗ー9」で、10億は10「乗9」なので)

=0,34×10「乗ー9」×6×10「乗9」m

(「乗ー9」と「乗9」が打ち消しあって1となるので)
=0,34×6m
=2.04m

1つ1つの細胞にヒトの身長と同じ長さのDNAが入っている。
なお染色体数46で割ると、1つ1つの染色体は平均約4cmとわかる。