今日から生態学の分野に入ります。

★設問1 次のグラフを書け。なお電車内などで紙が使えない場合は頭の中で想像するだけでよい。

@一定の体積の容器の中で十分なエサを与え、少数個体から原生動物Aを単独で育てた場合の個体群密度の変化

A
 Aより増殖力の若干弱い原生動物Bを単独で育てた場合の個体群密度の変化

B
AとBを混合飼育した場合の個体群密度の変化

C
 AとBが水面近くと底面近くなどすみわけを行う種であった場合の個体群密度の変化




(考える)















 














解説
 個体群密度とは単位体積あたり(植物や地表面で生きる動物では単位面積あたり)の個体数のこと。人口密度と同じ考え方である。

 Bでは種Bが競争に負け絶滅する一方、Aも増加するが単独培養の場合よりも、Bとの競争があるので
増殖速度が遅い。ただしB絶滅後はA単独となるため、個体群密度の最高値は同じ。
 C(すみ分け)では単独培養よりもお互い低い位置で最高値となる。

設問2 @Aのような曲線を何というか?




(考える)



(個体群の)成長曲線

解説
単なる「成長曲線」は胎児期から成人まで臓器のg数がどのように変化するかのグラフも示すので、「個体群」をつけて「個体群成長曲線」としたほうがよい。
 文脈で「形は?」と言われたら「S字状」と答える。

設問3
 個体群成長曲線で個体群密度の最高値を何というか?
またその最高値でそれ以上増えない原因には主にどのようなものがあるか?




(考える)



最高値ー環境収容力
原因
ー(1個体あたりの)食料不足・生活空間不足・老廃物蓄積
  (水生生物では酸素不足)(植物では光不足)

解説
 自然界では、天敵による捕食や逃走拡散によって個体群密度が増えないことも多いが、
この個体群の成長曲線を描くグラフを作る実験自体が、
「ソウリムシやショウジョウバエを
容器内で飼う」というな閉じた世界での実験結果を前提にしていることが多いため、環境抵抗には
「天敵による捕食」「逃走拡散」のように、実験室では起きず自然界のみで起きることは通例省く。
設問が自然界を前提にしていることが明記されていればこの2つも許される。

★設問4 高密度のもとで、個体の体型や行動に変化があらわれることを何というか?




(考える)



密度効果

解説
環境抵抗・密度効果という言葉は
実際には区別せずに使う場合も多いが、入試的には「数」が増加しないことに注目した時は「環境抵抗」、
個体の「状態」が変化することに注目した時には「密度効果」と答分けたほうがよい。

具体的には
1、体の小型化
2、出生率低下・死亡率上昇
3、逃走・闘争本能発現ー分散したり個体数を減らしたりする
4、相変異
 単独(孤独相)では、無翅型だったアブラムシが、密集する(群生相)では有翅型となる。
 また孤独相では短翅型だったサバクトビバッタ・ウンカが、群生相では長翅型となる。
そして有翅型・長翅型となると、移動分散し、密度を減らし生き延びることができる。翅の形まで変わるので「相変異」という。