設問1 日長の変化に対する生物の反応性を何というか?




(考える)



光周性(photoperiodism)

解説
 オーキシンによる光屈性と言葉の勘違いをしないように。
植物だけでなく、昆虫や鳥の行動にも関与する。
そして明期の長さ・暗期の長さ・
明暗の比率・リズムなど実際は様々なパターンがある。
 季節変化を温度で感受しようと
すると日による変動が激しく不安定だが、日長変化は確実に時期が決まる。(曇りや雨の日の昼も、夜よりは明るく「明期」と感受される)

★設問2 次の植物を、
自然条件では日が長くなる春〜初夏に花芽をつける長日植物、日が短くなる晩夏〜秋に花芽をつける短日植物、
日の長さにかかわらずいつでも花芽をつけうる中性植物に分類せよ。

アサガオ・ダイコン・ナズナ・トウモロコシ・アブラナ・ハクサイ・キャベツ・ダイズ
・トマト・ホウレンソウ・コムギ・コスモス・キク・イネ・キュウリ・オナモミ





(考える)




・長日植物(春〜初夏に花芽)ーアブラナ科(アブラナ・ナズナ・ダイコン・キャベツ・ハクサイ)・ホウレンソウ・コムギ

・短日植物(晩夏〜秋に花芽)
ーキク科(キク・コスモス・オナモミ)・イネ・ダイズ

・中性植物
ートマト・キュウリ・トウモロコシ

解説
春咲き・秋咲きでだいたいイメージし、そのイメージでは把握できないものをおさえる。なおイネ・コムギには
品種によって差はあるが、秋にイネの収穫、イネの裏作としてコムギが栽培されてきたことを考えると、イネは短日、コムギは長日である。

★設問3 植物の花芽形成の様々な研究の結果、植物が花芽形成するか否かの分岐点となる暗期の長さがある
ことがわかってきた。その暗期を何というか?またそのことを確かめる実験の中で、
暗期の途中に短時間光を照射する実験を何というか?




(考える)



限界暗期(critical dark period)
光中断(light breaking)実験

★設問4 下の図で限界暗期10時間の長日植物・短日植物について、
A〜Fの実験を行い、
1〜12の結果を得た。なおA〜Dは24時間周期、EFの実験は12時間周期の明暗サイクルを与える実験で
赤が明期、黒が暗期である。
 1〜12について花芽をつける場合を○、つけない場合を×と書け。







 











 






(考える)



@BCDEF

★設問2 設問1の実験から、短日条件はどこで感受され、どのようにして花芽形成部位に伝えられるか?



(考える)



葉で感受され、師管を通じて移動し伝えられる。

★設問3
 葉で短日条件などの光(暗期)条件を感受する物質は何か?師管を通じて伝えられる物質は何か?
 師管より外を切除する図の←空白の処理を何というか?



(考える)



感受物質ーフィトクローム
師管を通じて伝えられる物質ーフロリゲン(花成ホルモン)
操作ー環状除皮

解説
以上の実験を総説して解説すると
1、葉がなく枝だけであると、短日条件を感受できない
2、(成熟した)葉は1枚、適切な条件となると、他の葉が不適切な条件であってもフロリゲンは合成される。
3、1か所で作られたフロリゲンは接木(つぎき)部分も含め、植物体全体に伝わり花芽形成をおこす
4、環状除皮されると、その先にはフロリゲンは伝わらない。

なおフロリゲンの実態はずっと不明であったが、2007年、解明された。このことを明日取り上げたい。