設問1 尿量が1mL/分の人で以下の表の結果が出た。原尿量(糸球体ろ過量)は、何mL/分か?ただし原尿・尿とも密度は1g/mLである。







答 120mL/分

解説
 イヌリンはろ過されるが全く再吸収されずに、ろ過されたものは全て尿に出されるので、原尿中イヌリン量=尿中イヌリン量で計算する。
「濃度×溶液量(密度1なので1mL/分=1mg/分)=溶質量」である。

尿中イヌリン量
12/100 ×1mL/分(1mg/分)=0.12mg/分

原尿量をxmL/分とすると
原尿中イヌリン量
0.1/100 × xmL/分(x mg/分)=0.001x

0,001x=0,12 x=120

つまり1分間に、原尿(ろ過)量は120mL、尿量は1mL、再吸収量は119mLとなる。
これは1分間値であるが、1日値(60分×24時間=1440分)に直すと
1440倍して、尿量1440mL/日(約1.5L/日)で日常感覚に一致する。
また原尿量は約170Lとなり、非常に膨大だとわかる。そのうち168,5Lが再吸収される。
(なお、教科書のデータでは原尿量125mLが採用されていることが多いが、実際は入試問題では様々、微妙に異なる数値で出題される。本問題では計算しやすいように120とした)

問2 尿素の1分間の再吸収量と再吸収率(%、少数以下四捨五入)を求めよ。




答 0.016mg/分

解説 
原尿中尿素量ー尿中尿素量=再吸収尿素量となる。

さきほどイヌリンで求めた原尿量データをそのまま使う。

原尿中尿素量
=原尿中イヌリン濃度×原尿量
=0.03/100 × 120mg/分
=0.036mg/分

尿中尿素量
=尿中尿素濃度×尿量
=2/100 ×1mg/分
=0.02

再吸収量
=0.036−0.02
=0.016mg/分

再吸収率
0.016/0.036 ×100(%)
=44,4%

問3 Na+の再吸収量と再吸収率を求めよ。





答 0.3805mg/分 99%

解説 
原尿中Na+量ー尿中Na+量=再吸収Na+量となる。

イヌリンで求めた原尿量データをそのまま使う。

原尿中Na+量
=原尿中Na+濃度×原尿量
=0.32/100 × 120mg/分
=0.384mg/分

尿中尿素量
=尿中尿素濃度×尿量
=0.35/100 ×1mg/分
=0.0035

再吸収量
=0.384ー0.0035
=0.3805mg/分

再吸収率
0.3805/0.384 ×100(%)
=99%