★設問1 未受精卵の特定の部位に局在し、受精後の発生に影響を与える細胞質を何というか?まだどのように影響を与えるのか?



(考える)




母性因子(特にmRNAの場合、母性効果遺伝子ともいう)
それを取り込んだ割球の核の遺伝子に働き、特定の遺伝子の発現(転写)を促進する。

★設問2 母性因子の代表的な構成物質を2つあげよ



(考える)




mRNAとタンパク質
(タンパク質はそのままで特定の遺伝子発現を促進する転写因子として働くが、
mRNAの場合は受精後、発生の進行とともに翻訳されてタンパク質が合成され、そのタンパク質が転写因子として働く)

★設問3 母性因子が未受精卵細胞質特定の部位にのみ局在させるしくみは何か?



(考える)





細胞骨格(主に微小管)上をモータータンパク質(主にダイニン)が移動する際、その上に母性因子(と結合した小胞体)を輸送する。

解説
多くのレールの上に乗った多くの貨物電車が各地から荷物を乗せてレールの集まる特定の場所(操車場)
に荷物を集めてくるようなものである。

★設問4 イモリ・カエルの場合、母性因子はどの細胞で合成されるか?その細胞で見られる独特の構造を答えよ。



(考える)





・卵母細胞(つまり未受精卵になる細胞そのもの)
・ランプブラシ染色体

解説
 イモリ・カエルの場合、卵母細胞において大量の母性因子mRNAをつくる。したがって核のDNAはほどかれ、
そこに大量のRNAポリメラーゼが同時に結合し、多数のmRNAが合成される。
更にそれに結合するタンパク質もあり、それがランプブラシ(映写機を掃除するブラシだが、わからなければ、
理科の実験で試験管を洗うブラシを想定してください)
のように見える。

★設問5 イモリ・カエルにおいて、卵黄顆粒の成分はどこで合成されるか?



(考える)





肝臓で作られ、卵を取り巻くろ胞細胞を経て卵に運びこまれる。

解説
 母性因子は卵母細胞がつくるが、大量でエネルギー源として使われる卵黄(顆粒)は卵母細胞だけでは合成できないので、
肝臓→ろ胞を経て運ばれる。
(広義に母性因子をとたえた場合、卵黄が主成分となるのでろ胞由来が多くなるという解釈もできるが、上記の把握が正確)

★設問6 ショウジョウバエの場合、母性因子はどの細胞で作られるか?



(考える)





哺育(ほいく)細胞(nurce cell)

解説
 nurce cellを「保育」でなく「哺育」(母乳を与える)と訳したことが、この細胞が卵形成発生に関わる特徴をよく示す。
 卵原細胞は体細胞分裂で16個の細胞になるが、15個が哺育細胞、1個が一次卵母細胞になる。
この16細胞は細胞質分裂が完全に起こらず、細胞間が細胞質で連絡しており、15個の哺育細胞で作られた母性因子は、
一次卵母細胞に運ばれ、更に一次卵母細胞の中で、細胞骨格とモータータンパク質により特定の部位に輸送される。