本日の内容は、DNAの鎖の向き5´→3´の理解を前提にしています。その点が理解不十分な方はサイトのメルマガバックナンバー1と55をご覧ください。

問1 次の@ABCに適語を入れよ。

 真核生物の場合、長いDNAの両端からDNA複製を始めるのではなく、途中に複製場所が複数ある。






 

その複製の基礎単位を@という。@を拡大し、DNA鎖の5´→3´方向を→←で示したのが下図である。
 @でほどかれ始めの場所であった複製開始点(複製起点)が図の中央に位置する。緑▲で表記している酵素Aは、@の両端に存在し、DNAの二重らせんをほどいていく。新たに複製されたDNAの新生鎖は赤で表現されている。
その複製は緑の輪で表現した酵素DNAポリメラーゼによって行われている。右下の赤は、Aの進行に伴ってDNAポリメラーゼが進めば、元のDNA鎖(黒)と
新生鎖のDNAの5´→3´の向きが、法則通り「逆平行」になる。このように長く複製されていく鎖を「B鎖」という。
 一方、左下の場合、左側の酵素A(左側の緑▲)にDNAポリメラーゼが従って進もうとするとDNAの合成方向の鎖の向きが元のDNA鎖と同じとなってしまうので無理である。
したがって、少しほどかれた時点で、DNAポリメラーゼがその都度結合してきて、短い鎖を逆方向に作っていく。この短い鎖として複製される側を「C鎖」といい、
その断片は発見者の岡崎令治さんの名をとって「岡崎断片」ともいう。岡崎断片(C鎖)どうしや岡崎断片とB鎖は最終的にはDNAリガーゼという酵素で連結される。
(なお各DNAの複製の最初の時点ではRNAプライマーという短いDNA鎖が結合するが、やがてその部分ははじかれDNAのみの鎖となっていく)







@レプリコン ADNAヘリカーゼ(ヘリケース)
Bリーディング鎖 Cラギンク鎖

解説
 この下図そのものか、この下図の左か右の半分(複製フォークという)を書かせ、→の向きを描かせる問題が多い。常に「対面する鎖の向きは逆」ということを意識し、
どちらが岡崎断片で、どちらがリーディング鎖かを考えよう。上側の鎖でも同じように考えて描く。
レプリコン単位の場合、上下の鎖で「リーディング鎖」どうしと「ラギング鎖」どうしは「はす向かい」の位置になる。
 なお、岡崎令治さんは有能な研究者であったが、広島原爆での被曝が原因で若くして亡くなった。今年のオバマ大統領の広島訪問を、どのような気持ちでご覧になられただろうか?