問1 ヒトは恒常性(ホメオスタシス)維持の働きにより、血糖濃度(血中グルコース濃度)を何%前後に保っているか?





答 0,1%

問2 激しい運動後や食事前・飢餓時には血糖が減る傾向があり、食後は血糖が上昇する。血糖濃度の低下を感知し、上昇を促すことで元の濃度に戻す働きの起点となる木器官(部位)、逆に血糖濃度の上昇を感知し、低下を促すことで元の濃度に戻す働きの起点となる器官(部位)をそれぞれ2つ答えよ。(答の一部は重なってもよい)






血糖濃度低下感知(上昇を促す起点)
ー間脳視床下部・すい臓ランゲルハンス島A細胞

血糖濃度上昇感知(低下を促す起点)
ー間脳視床下部・すい臓ランゲルハンス島B細胞

解説
 間脳視床下部は血糖低下・上昇ともに感知し、自律神経系・ホルモン系の起点として働くが、同時に、すい臓ランゲルハンス島の細胞自身も感知し、そこから直接ホルモンを出す。すい臓ランゲルハンス島の細胞は、間脳視床下部を起点とする自律神経系の指令も受けながら、同時に自己判断もできる。
(チェーン店の店長が本部の命令を聞きながらも、店長独自の判断でできることもあるようなものである。)

問3 次の図は、血糖調節に関わるホルモンや自律神経の関係を示したものである。赤は運動後などの低血糖を感知し、血糖を上昇させもとの濃度に戻そうとする時の流れ、青は食後などの高血糖を感知し、血糖を低下させもとの濃度に戻そうとするときの流れである。
 また実線はホルモン、点線は自律神経を示す。1〜8の名称を答えよ。







 






1(副腎皮質刺激ホルモン)放出ホルモン
2副腎皮質刺激ホルモン
3糖質コルチコイド
4交感神経
5グルカゴン
6アドレナリン
7副交感神経
8インスリン

解説
 運動時など血糖が減少した時と、食後など増加した時どちらが、体にとって「興奮」すべきピンチの時か?運動時は、血糖の減少を補ってでも運動を継続し「興奮」し続けなければならないので「交感神経」であり、食後はゆったりして消化系を活発化させ、消化系以外は休息させるときなので「副交感神経」が働く。
 低血糖時は、2つの方法で血糖を増やそうとする。
1つ目は肝臓のグリコーゲン(グルコースを重合させた分子、植物におけるデンプンに相当する)を分解しグルコースを血液中に供給する方法で、これにはすい臓ランゲルハンス島A細胞からのグルカゴンと、副腎髄質からのアドレナリンが働く。
2つ目は筋肉などのタンパク質を分解し(Nを含むアミノ部位を除去した上で)グルコースにする方法で、これには副腎皮質からの糖質コルチコイドが働く。この糖質コルチコイドは、間脳視床下部からの放出ホルモン、そして脳下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモンの2段階の指令を受ける。

 高血糖時は、グルコースを血液から細胞に取り込ませるか、肝細胞に取り込んだ場合はグリコーゲンに合成させるかで血糖を減らす。これにはインスリンが働く。

なお同じすい臓ランゲルハンス島でもA細胞から血糖を上昇させるグルカゴンが、B細胞からは血糖を減少させるインスリンがでることは次のようにおさえる。昔A細胞をα細胞、B細胞をβ細胞と呼んでいたことを活用し、
・A(α)細胞が働くと血糖が「あるわ」(α)
           →増やすホルモン、グルカゴン
・B(β)細胞が働くと血糖が「減った」(β)
           →減らすホルモン、インスリン


なお、二次試験になると、この情報に加えて、成長ホルモン・チロキシンが血糖上昇に関与することとと、副交感神経の具体名が迷走神経であることも知っておいてほしい。