「生物」では代謝について化学反応式の係数や中間産物など正確に聞かれる。一方で「生物基礎」では、化学反応式の係数は抜きで、反応物質名と、各生物(植物と動物)のつながりの全体像が聞かれる。今日は全体像をつかもう。

問1 生物がCO2を取り込みエネルギーを使って炭水化物などの有機物を作る働きを何というか?また、その中でも光エネルギーを使う反応の何というか?後者の反応式を係数抜きで書け。






炭酸同化
光合成
水(H2O)+二酸化炭素(CO2)+光エネルギー
→有機物(C6H12O2、グルコース)+酸素(O2)

問2 細胞内で酸素を利用して有機物を分解し、この時取り出されたエネルギーを用いてATPを合成する働きを何というか?
またこの反応の反応式を係数抜きで書け。





呼吸
有機物(C6H12O6)+酸素(O2)
→二酸化炭素(CO2)+水(H2O)+エネルギー(ATP)
解説
旧課程では「好気呼吸」と呼んだが、新課程では「呼吸」と呼ぶことになった。また化学反応式では本当は左辺(これから反応する物質)側にも水があるが、差し引きすると水は出るほうなので、「生物基礎」では
右辺だけでよい。

以下に、植物と動物における生物基礎での代謝をまとめた図を示す。以下確認してほしい。










1、赤がエレルギーの流れを示す。
  光エネルギーが植物に捕捉され有機物の化学エネルギーとなり、摂食の際、有機物(化学エネルギー)として
動物にも移動する。植物・動物ともに様々な生命活動する際、熱エネルギーとして放出される。

2、「同化」「異化」
 植物でも動物でも行う有機物の分解を「異化」という。図では紫で示し、ミトコンドリアで行われる。
 植物における光合成でのCO2(H2O)からの有機物の合成並びに、植物・動物での「簡単な物質」から「複雑な物質」の合成を
「同化」という。(「生物」では前者を一次同化、後者を二次同化と区別する)

3、ATP→←ADPとP
ATPはエネルギーを貯蔵した状態の物質で、それが分解されエネルギーを放出するとADPとPになる。
ADPとPにエネルギーが与えられると再びATPとなる。使った(放電)した後で充電できる充電式電池のような物質である。
光合成では光エネルギーを使ってATPを作るが、それは有機物合成のエネルギーとして使われる。植物・動物共に呼吸の時放出されるエネルギーをATPに一次貯蔵しそれを、
単純な物質から複雑な物質を組み立てる時のエネルギーや様々な生命活動のエネルギーとして使う。

4、光合成は植物の葉緑体(緑)、呼吸は植物・動物のミトコンドリア(紫)で行われる。