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★設問1 以下の表は、ある健康な人の血しょう中と尿中濃度を比較しものである。
(ただしイヌリン・パラアミノ馬尿酸は実験のためあらかじめ、その人に注射したもので通常状態でこの濃度に存在するものではない)
 タンパク質とグルコースは尿濃度0となっているが、その理由は異なる。腎臓での動きを踏まえてその違いを説明せよ。

















(考える)




タンパク質はろ過されないが、グルコースはろ過された上ですべて再吸収される(それぞれ異なる理由で尿中濃度0となる)

★設問2 イヌリンはろ過されるが全く再吸収されない物質である。この人の尿量が1ml/分とすると、原尿量は何ml/分か?


(考える)




120ml/分

解説
再吸収がないため
「原尿中イヌリン量=尿中イヌリン量」である。
原尿量をxml/分とすると
xml/分 ×0,1mg/ml
=1ml/分 ×12mg/ml

★設問3 1分間に原尿に出される尿素量、尿に排出される尿素量、再吸収される尿素量を求めよ。


(考える)




・原尿に出される尿素量36mg/分
 =120ml/分 ×0,3mg/ml

・尿に排出される尿素量20mg/分
=1ml/分 ×20mg/ml

・再吸収される尿素量16mg/分
=36-20

解説
実際の入試では再吸収率を計算させる。
16/36 × 100% =44%
(電車の中で暗算では無理な人もいると考え、この出題形式にした)

★設問4 1分間に原尿に出されるNa+量、尿に排出されるNa+量、再吸収率を求めよ。


(考える)




・原尿に出されるNa+量360mg
 =120ml/分 ×3mg/ml

・尿に排出される尿素量3mg/分
=1ml/分 ×3mg/ml

・再吸収率99%
再吸収量は360-3=357
357/360 ×100 =99%

解説
 3が3,6に近いと考えれば、1%排出、99%再吸収と(電車の中の暗算でも)できるはずである。
 なお、「約99%再吸収・1%排出」は水と同じ比率の動き方。したがって水とNa+の比率である濃度は血しょう中でも尿中でも変化しない。
再吸収が行われないわけでなく、水と同じ比率で再吸収されているため濃度が血しょうと尿で同じと考えてほしい。

★設問5 血しょう中濃度(ほぼ原尿中濃度と同じ)に対して尿中濃度が濃縮された比率を濃縮率という。イヌリンとパラアミノ酸の濃縮率を求めよ。イヌリンとパラアミノ馬尿酸の濃縮率の違いの理由を説明せよ。


(考える)




イヌリン120倍(12/0,1)
パラアミノ馬尿酸600倍(12/0,02)

イヌリンはろ過され再吸収されないが、追加分泌はない。
パラアミノ酸はろ過されほとんど再吸収されないことに加え更に追加分泌もされるため尿への濃縮率は最高となる。