腎臓は主に皮質で血液と尿への振り分けが行われます。腎うに集められた尿は、輸尿管を通じて膀胱に送られ、膀胱を満たすと尿として排出されます。血液は1分間に1Lほど腎動脈から入り、同じく1L腎静脈からでていきます。その間に血液のリフレッシュが行われるのです。基礎単位であるネフロンが左右腎にそれぞれ100万個あり、浄化を担っています。

●腎臓のはたらき
1、窒素性老廃物の除去―主にタンパク質分解産物である窒素を含む窒素性老廃物(尿素・尿酸・クレアチニンなど)を除去します。
2、体液浸透圧(濃度)調整―水・Na+のかねあい調節
 動物の体液では浸透圧を構成するものにはNa+、つまり塩分が多く、Na+と水の量のかねあいで浸透圧が決まる要素が大きくなっています。
私たちの体液はその日の運動状態・食事内容で浸透圧が変化しがちですが、それを間脳師床下部が感知します。浸透圧が低下した(Na+:少・水分:多)場合は、副腎皮質からの無機質コルチコイドの作用で、腎臓ではNa+を尿に逃がす量を減らし再吸収します。逆に上昇した場合(Na+:多・水分:少)の場合は、脳下垂体後葉からのパソプレッシンの働きで水を尿に逃がす量を減らして再吸収します。


3H+排出によるpH調節
 血液はpH7.4〜7.6の弱アルカリ性ですが、体内の代謝によってCO2やH+が放出されるため、酸性に傾きがちです。呼吸をして肺からCO2を排出するとともに、腎臓からH+を排出してpHをもとの状態に保とうとします。この機能が低下すると、血液が酸性化していくアシドーシスとなり、最悪の場合は昏睡状態に陥ることもあります(体内でpHを保とうとする性質を、酸塩基平衡といいます)。
これらの結果、ある物質組成や濃度で排出されるのが尿です。目的が同じなので基本的な尿の成分は同じですが、その日の健康状態によって微妙に成分が異なってきます。尿が排出されることで、その裏返しで血液は浄化(リフレッシュ)されます。
「尿づくり(血液リフレッシュ)」の3ステップ

●腎臓の基本単位「ネフロン」の構造と基本的な物質配置する

1、第1ステップ 〜ろ過(原尿づくり)
糸球体の細胞には小さな穴が開いていて、その穴より小さな分子は老廃物・栄養分の区別なく、尿へいたるボーマン嚢側にいったん排出します。これが原尿とよばれ、その量は1日175ℓ(1分間に120ml)です。エネルギーを使わない受動輸送です。

2、第2ステップ 〜再吸収
次の腎細管・集合管では、原尿から水分の大部分と必要な物質が再び腎細管をとりまく血液側に取り込まれる再吸収が行われます。このときには必要な成分だけを再吸収するため、エネルギー(ATP、後述)が必要な能動輸送といわれます。最終的に尿に排出されるのは1日1.5Lですので、再吸収量は168.5Lとなります。1分間の値にすると、原尿排出120mL、尿1mL(冷蔵庫の氷1穴分)、再吸収119mLとなります。99%以上が再吸収され、糖(グルコ−ス)は逃がさずにすべて再吸収されます(体重60kg・健康人)。

3、第3ステップ 〜追加分泌と微量調整
ある種の物質については、糸球体で排出しきれなかった分を毛細血管から腎細管間側へ追加分泌することがあります。またその日の状況に応じて、水分や塩分の排出量を微妙に変えています。
 腎機能が衰えると、体外で血液を浄化させる透析が必要になります。