●免疫系の主役は白血球です。まず主役を整理しましょう。
白血球の分類
 白血球は「赤血球」でも「血小板」でもないものという意味で付けられた総称ですが、3つの細胞群に分類できます。

単球(マクロファージ)―食作用と抗原提示
顆粒球―好中球(中性色素に染まる)―食作用の中心
    好酸球(酸性色素に染まる)−寄生虫に対する免疫
    好塩基球(塩基性色素に染まる)−アレルギー反応に関与
リンパ球―T細胞―ヘルパーT細胞 −B細胞やキラーT細胞を励ます
                  免疫系の親分
            キラーT細胞―細胞性免疫
            サプレッサーT細胞―免疫反応を抑える「抑え役」 B細胞―抗体産生
     NK細胞―主にガン細胞に対する免疫

●病原菌・異物への4つの防波堤
1、第一の防波堤〜「粘膜」
口・鼻・消化管など日々食べ物や呼吸を通じて、病原体が進入する場所は粘膜におおわれています。リゾチームという抗菌物質や腸内共生細菌たちによる病原菌に対する抑制効果で防衛されています。また胃の強い酸性も殺菌のためです。
2、第二の防波堤〜「好中球」などによる食作用
 粘膜防波堤を突破されたり、傷口から血液に進入された病原菌に対しては、「好中球」という白血球がパクパク食べる食作用で対抗します。
3、第三の防波堤 〜B細胞(リンパ球)の抗体産生による防御(体液性免疫)
 食作用で防ぎきれず、血液内で増殖する病原体に対しては、その病原菌の細胞膜表面物質(抗原=異物)などの情報をマクロファージが、取得して抗原提示細胞としてはたらき、それをヘルパーT細胞という親分に伝えます。ヘルパーT細胞がB細胞を励ます物質(サイトカイン)を放出することによってB細胞が増殖し、その病原菌の細胞膜表面物質に突き刺さることができる抗体(免疫グロブリン)を生成し、病原体を抗体で突き刺し、凝集沈殿させて防御します。これを抗原抗体反応といい、体液で行われるので体液性免疫ともいいます。
 異なる病原体に対しては、異なる抗体をつくるB細胞が増殖するようになっており、その反応は特異的(相手に応じた抗体がつくられる)で,億を超える種類の抗体が生成可能です。
4、第四の防波堤 〜T細胞(リンパ球)による細胞攻撃(細胞性免疫)
 もとは自分の細胞であったがすでに危険な存在となった細胞群(がん細胞など)に対しては、抗体では太刀打ちできません。その場合、キラーT細胞が直接それらの細胞を攻撃して破壊します。キラーT細胞もヘルパーT細胞の励ます物質(サイトカイン)の励ましが必要です。この方法を細胞が直接攻撃をするので細胞性免疫といいます。

●胸腺はT細胞教育、脾臓、リンパ節はリンパ球待機場所
胸腺は老化とともに退化しますが、そうすると自分の細胞と病原菌の区別がつかなくなり、自己の細胞を攻撃する「自己免疫疾患」が生じます。そのことは、胸腺がT細胞たちに「自分の細胞と病原菌を見分け、病原菌を攻撃する」ように教育している器官であることを示しています。ひ臓やリンパ節はリンパ球の溜まり場となっており、ここで病原体を捕捉して攻撃することもできます。