あなたの体の中で臓器(細胞)と臓器(細胞)を結びつける電車の役割をしているのは血液です。血液は、肺や腸から酸素や栄養を吸収し、60兆個の各細胞に送り届ける一方で、二酸化炭素・老廃物を運び去り、肺や腎臓から排出しています。またホルモンなどを介した臓器間コミュニケーションの手助けをしています。まずは血液について学びましょう。
ヒトは毎日水を取り入れ、尿・汗・呼気・糞便からほぼ同じ量の水をだして、水分率を保ち続けています。体重に占める水分の割合は約65%であり、40%は細胞内に、残りの25%は細胞をとりまく組織液や、リンパ管の中のリンパ液として存在し、さらにその残りが血管の中の血液です。体重の約13分の1が血液ですので、体重60kgの人では約5L(4kg)です。(体重50kgの人は約4Lです)
★表体重60Kgの人での概数
水分 40kgー細胞内液  25kg
         細胞外液(体液)15kg
               −組織液・リンパ液 10kg
               −血液 5kg −血しょう(液体成分) 3kg
                  血球(赤血球・血小板・白血球) 2kg
固形成分20kg
血液・組織液・リンパ液は、細胞をとりまく体液(細胞外液)と総称され、行き来しあっていますので液体成分はよく似ています。血液と組織液・リンパ液と細胞内液では成分に差がありますが、水循環としてはつながっていると考えてください。そしてその中でもっとも早い流れをもった血液が、体外と体の水循環をつなぐ要となっています。 

●血球(血液の45%、約2L)は赤血球・白血球・血小板

血球は酸素運搬に働く赤血球、免疫に働く白血球、血液凝固に働く血小板に分類されます。血球は骨髄でつくられ、ひ臓や肝臓などで破壊されますが、寿命は血球ごとに異なります。
★赤血球・白血球(リンパ球・好中球)・血小板
赤血球 血液中にもっとも多い成分です。1mm3中に500万個も入っており、中央がくぼんだ円盤状です。赤血球は生成過程で核を捨て、赤色のもととなるヘモグロビンという酸素運搬用の色素タンパク質を詰め込んでいます。
血小板 ケガをしたときの血液凝固にはたらいています。小型で核はなく、血液1mm3あたり25万個存在します。また、毛細血管は微細な構造なので、外力や病原微生物などで頻繁に破れています。そこで血液はそのような内出血の場合も含めて、血液凝固と血管修復を行います。ただし過剰に凝固がおきると血栓を生じ、かえって危険なことがあります。
白血球 免疫にかかわる血球群の総称です。血液1mm3あたり6000個含まれます。いろいろな種類がありますが、ヘモグロビンを含まないため白血球white blood cellと総称されています。白血球は血液中では最少ですが、リンパ液・組織液に存在する率が高く、ここでは主役です。赤血球・血小板と異なり、核があります。詳しくは免疫で学びますので、食菌作用中心の好中球(核がくびれた形の多形核白血球)と、免疫に関与するリンパ球(核は丸い)をおぼえておいてください。
血しょう(2L) 血液中の液体成分です。その90%は水(1.8L)、8%(160g)はタンパク質(血しょうタンパク質とよばれる)で、そのほかに脂肪(1%)・血糖(0.1%)を含みます。血しょうタンパク質8%のうち半分はアルブミンで(4%・80g)、血しょう浸透圧を構成したり、物質を結合させて輸送したりします。残り4%のうち、2%(40g)は、免疫抗体などの働きをするグロブリンであり、2%はその他の成分で、フィブリノーゲン(血液凝固因子)、トランスフェリン(鉄運搬)、リポタンパク(脂肪運搬)などさまざまなものがあります。