●静止電位のしくみ 
すべての細胞は静止電位をもっています。神経細胞も興奮前は同様です。


1、Na+−K+ATPアーゼの働きでATPが分解されそのエネルギーでナトリウムポンプ(能動輸送)がおこされる。Na+が細胞外、K+が細胞内に輸送され細胞外ではNa+が、細胞内ではK+が高濃度になっている。
2、Na+チャンネル(出入り口)は閉じているが、K+チャンネルは開いており、K+が濃度差に従い細胞内から外に流出する
3、1・2のしくみで、K+の流出がずっと続くため、常に細胞外がK+の流出分だけ+となる。

●神経細胞の電気インパルス(活動電位)が発生するしくみ
神経細胞に興奮を与えた場合、次のような変化が生じて活動電位が両側に伝わっていきます。
@細胞膜のNa+チャネルが開いてNa+透過性が増大し、Na+が大量に細胞内に流入し細胞内が+となる。このときK+チャネルは閉じる
Aこの電位の逆転が両側に伝わり、両側で4と同様なことがおきる。ニューロン内部では細胞体側から軸索末端側に活動電流が流れることになる。軸索末端に到達した活動電流によりシナプス小胞から神経伝達物質がシナプスに排出される。

●髄鞘化による跳躍伝導 
ニューロンに細胞が巻きついたものを髄鞘といいます。髄鞘は絶縁保護され、次の髄鞘とのすきま(ランビエ絞輪)のみで興奮が飛び石のように伝わっていくことが可能となり、活動電流の速度は毎秒100mにもなります(跳躍伝導)。このような神経を有髄神経といい、髄鞘がない神経を無髄神経といいます。無髄神経では、活動電流の速度は毎秒数mです。ニューロンに髄鞘が巻きつくことを髄鞘化といいます。赤ちゃんの脳では生まれたときは無髄神経が多いのですが、同じ経験や知識が強化されていくとそこの神経回路が髄鞘化されます。