●伝導と伝達
神経細胞は、長さ・本数・つながり方にさまざまありますが、まず神経が3本つながった様子でみてみましょう。球状をしていて核・小胞体・ミトコンドリアがある部分が細胞体cell bodyです。ここから樹木の枝の四方に伸ばした突起を樹状突起dendrite、そして1本長く伸びた部分を軸索axonといいます。軸索と次のニューロンの樹状突起か細胞体とが接する隙間をシナプスsynapseといいます。
。ニューロン内は電気的興奮が伝わり、これを伝導conductionといいます。シナプスの部分では「軸索末端→細胞体・樹状突起方向」に神経伝達物質transmitterが伝えられます。これを伝達transmissionといいます。
仮に実験的に神経細胞の途中部分を刺激したらどうなるでしょうか? すると同じニューロン内では両側に伝導がおきますが、細胞体側にいった伝導はそこで止まり、伝達は「軸索末端→細胞体・樹状突起側」にしかおきません。
神経伝達物質を含んだシナプス小胞は軸索末端にしかなく、細胞表面の受容体も細胞体・樹状突起側にしかないためです。脳では複雑な神経ネットワークがありますが、1つ1つの軸索は伝導の方向が決まっているため混乱が避けられます

●筋肉収縮・神経興奮の「全か無かの法則」
筋細胞1個、神経線細胞1個には反応をおこす最低限必要な刺激量があり、それを閾値といいます。それ以上の強い刺激がきても、興奮の程度は基本的に同じで、これを「全か無かの法則」といいます(図)。しかし、実際はそれぞれ閾値の異なる複数の細胞が束になっていることで、線維全体としての興奮は、刺激量によって段階的な程度差が生じます。また神経細胞には「インパルス頻度(1秒あたりの興奮回数)」を増やすというしくみもあるので、その形でも反応の程度差を示すことができます。