脳は多くの酸素を必要とする臓器です。脳はわずか3分間酸素が不足すると細胞死がはじまります。そのため、救命救急では救急隊がくるまでの間に、現場にいあわせた市民が心肺蘇生術(心臓マッサージ・人工呼吸)に取り組む必要性があるわけです。
大脳や小脳は血液からの酸素や栄養を消費する側ですが、脳幹、なかでも間脳は、血液の状態を総合チェックし、ホルモン分泌や自律神経の総合的な指令をだす役割をしています。

●間脳視床下部 〜血液成分をチェックする恒常性の総合中枢
外界の状態が変化しても、無意識に体液状態(「内部環境」)を一定に保つ性質を恒常性といいます。「血糖量0.1%」「体液浸透圧0.9%」「体温37℃」などがその例です。間脳視床下部は恒常性の総合中枢であり、ほかにもさまざまな中枢があります。間脳視床下部に分布する毛細血管では、毛細血管に穴が開いていて、血液成分を直接細胞が感受することができます。それによって血液成分をチェックし、恒常性に関する指令をだします。
恒常性維持のため、視床下部はホルモンか自律神経で臓器などに指令をだします。自律神経は間脳から直接でているのでなく、その自律神経をだす部分(中脳・延髄・脊髄)を刺激します。
  
自律神経は、無意識に体を興奮させている交感神経と、休息させている副交感神経に分類できます。交感・副交感神経は同じ臓器に両者が分布していることが多く、促進と抑制にはたらいています。ただし消化管は、体が興奮状態のときは休息し、体が休息したときは興奮します。ストレスで消化が悪くなり、食後ゆったりすると消化がよいことからもわかりますね。また寒いときと暗いときは、体を体温維持や情報獲得のために興奮させる交感神経が活動します。
「興奮(寒・暗)→交感神経興奮」と考えると表が理解できますね。ただし、皮膚血管や立毛筋には副交感神経が分布していません。両神経系とも2つのニューロンが1回神経節で接続されています(節前・節後ニューロン)。