●脳幹の区分
脳幹は、下から間脳・中脳・橋・延髄に分類できます。
間脳  視床 嗅覚以外の神経の中継路
視床下部 体温・血糖・体液濃度調整など「恒常性」の総合中枢
中脳  眼球運動・瞳孔反射の中枢
橋   小脳と大脳との連絡通路
延髄 呼吸運動や、唾液分泌・のみこみ・せき・くしゃみなど口鼻に伴う反射の中枢

体全体の無意識の世界の中枢であるとともに、脳の高さが喉・眼に相当する位置であることもあり、その反射中枢が多くなっています。 

●脳幹・小脳・大脳ともに機能停止し、人工呼吸器で生命維持しているのが「脳死」、大脳は停止している脳幹は大丈夫で自発呼吸をしているのが「植物状態」です。

●生理学では「脳幹」に間脳を含めず、間脳は独立のものと考える考え方もあります。「橋(きょう)」は高校生物教科書には出てきませんが生理学では頻出用語です。

●鏡の前でやってみよう 瞳孔反射(脳幹支配)の実験
無意識の世界を実感することは難しいですね。しかし簡単に確かめる実験があります。手鏡をだすか、トイレか風呂に入ったときに確かめてみましょう。
1 両目を開けて鏡を見て、右目の瞳孔の大きさを見る。瞳孔は図に示すように、目網膜への光の入り口です。
2 手で覆い右目瞳孔の大きさを見る。微妙に大きくなりましたね。(入射光量が半減したため、脳幹が入射光量を増やそうとし、窓(瞳孔)を広げる)。
3 また左手をはずし両眼視に戻す。微妙に縮みましたね。(入射光量が増えたため、窓をも
との大きさに戻す)普段意識することのない、瞳孔の大きさの確認は無意識の世界を意識する入口です。脳死ではこの反射も失われます。