おはよう。本日が国公立大学前期試験ですね。がんばってください。

インフルエンザウイルスの増殖です。
図全体で色を以下のようにしました。(色の重なりが多すぎる場合、完全にはそうなっていない部分もあります。)

茶色ー脂質(細胞膜やウイルスの膜(エンベロープ)
オレンジーRNA(ウイルス遺伝子)
緑系ータンパク質

1、吸着 ウイルスの膜エンベロープから突き出ている2種のタンパク質HAとNAのうち、HAでヒト気道上皮細胞の細胞膜にあるシアル酸(糖の一種)に結合する。細胞側でウイルス表面の突起と結合するものをウイルスレセプターという。
2、侵入 細胞膜がくびれこみ、ウイルス全体を包み込む。これをendocytosisという。単細胞生物であるアメーバや白血球が植物や異物をこの形で取り込むも同じ形である。つまり普通の細胞もこのような機能を持っている。
3、脱殻 細胞膜とウイルスのエンベロープが融合し、遺伝子RNAが細胞質に出される。(正確にはRNAを包む構造がありこれも壊れる)
4、複製 核内に移動し、RNAが複製される。
5、翻訳 RNAの情報をもとに小胞体表面のリボソームでウイルスタンパク質(HAやNAなど)が作られ、ゴルジ体で整えられる(糖鎖付加などがされる)(正確にいうと、インフルエンザRNAをRNA依存性RNAポリメラーゼでmRNAにし、それをもとにタンパク質が合成される)
6、移動・配置 小胞体・ゴルジ体を経て、その膜に埋め込まれたHA・NAが分泌小胞で細胞膜に輸送され、細胞膜に配置される。
7、出芽、6の準備がととのい、HA、NAが配置された細胞膜に、ウイルスRNAが移動し、飛び出ようとする。つまり、ウイルスのエンベロープという膜は感染したヒト細胞の細胞膜を奪ったものである。
8最後に細胞から脱出する時、突起NAで細胞との結合を切る。(船の「いかり」を落とし船が出港するイメージ)


ワクチンはHAをブロックし、1を阻害するもの。タミフル・リレンザなどの感染後の治療薬は8を阻害し、ウイルスがそれ以上細胞外に出ないようにし(感染した細胞はそのままでヒトの免疫系にまかせる)、それ以上の感染の拡大を防ぐものである。