今日は問題ではなく解説です。

●リボース・デオキシリボース・ジデオキシリボース
 遺伝子に含まれる糖の種類をまとめます。バックナンバー212でも一度やっていますので、よかったら見てみてください。

・リボース(C5H10 O5)RNAの構成糖
   C:H:O=1:2:1の基本形に従い、もっともシンプルな名称

・デオキシリボース(C5H10 O4)DNAの構成糖
  リボースから1つ酸素原子をとった(deー取るの意味、oxyー酸素ー)もの

・ジデオキシリボース(C5H10 O3) 普通生物には存在しない。DNA塩基配列決定のために意図的に加える。
 リボースから2つOをとったもの(di-2つ、de−取る、oxyー酸素)

さて「ジデオキシリボース」は実は、次のヌクレオチドが結合するはずの3´炭素についたOHのOが取れてしまっているため、DNAの伸長反応がおきなくなってしまう。

 


さて、
未知のDNAの塩基配列を決定するために、その塩基配列に相補的な鎖の伸長反応を起こさせるため、実験系は4系列行う。

@DNAの素材である普通のdATP(デオキシアデノシン三リン酸)、dTTP、
dGTP,dCTPの他に、意図的にddATP(ジデオキシアデノシン三リン酸)
を加える実験系

AdATP、dTTP,dGTP,dCTPの他に意図的にddTTPを加える実験系

BdATP,dTTP,dGTP,dCTPの他に意図的にddGTPを加える実験系

CdATP,dTTP,dGTP,dCTPの他に意図的にddCTPを加える実験系

この中で@(意図的にddATPを追加した実験系)を代表例として図に示してある。
伸長反応が起きるが、調べたい鎖のある位置にTがあった場合、それに相補的な位置にAを持ったdATPが入る。その場合は、その後も伸長反応が続く。
 しかしその位置にddATPが入り込んだ場合、伸長反応はそこで停止し、
「その位置で伸長を止めた」短い鎖となる。
 Tの位置に相補的な長さを持った短い断片がいくつかでき、それを調べるともとの不明なDNAでTのあった位置がわかる。
(続きは14日)