センター試験お疲れ様でした。センター生物の分析は駿台HPをご覧ください。いろいろな想いがあるでしょうが、私大と国公立二次に向けてがんばりましょう。本日より偶数日のメルマガを復活します。まずは二次・私大で聞かれやすいアミノ酸(化学でも聞かれうる)を特集していきます。



★設問1
人でのアドレナリン・チロキシンのもたらす共通の代表的な作用を2つあげよ。人以外の生物でのチロキシンの代表的な作用を1つあげよ



(しばし考える)




解答
ヒト〜「血糖上昇」「発熱」
チロキシンの他の生物での働き〜両生類の変態・鳥類の換羽


★設問2 アドレナリン・チロキシンの合成の直接の原料アミノ酸と、そのアミノ酸の合成の原料となるアミノ酸を答えよ。



(考える)




チロシン(朝説明した通り)
フェニルアラニン(必須アミノ酸)

解説
人の体内では合成できず、食物からとらなければならないアミノ酸を必須アミノ酸といい、アミノ酸20種中8種が必須アミノ酸である。
 体内で、チロシンはフェニルアラニンに水酸基(OH)を付加することで合成される。
 「チロシン」は原料の「アミノ酸」の名称、「チロキシン」はそれから合成される誘導体の「ホルモン」
の名称なので勘違いしないこと。
またチロキシンは読み方によって「サイロキシン」と表現される。


★設問3 アドレナリン・チロキシンどちらが水溶性が強く、脂溶性が強いか?またチロキシンの分子内にあるチロキシン特有の元素は何か?



(考える)




アドレナリンが水溶性が強く
チロキシンが脂溶性が強い。
チロキシン特有の元素ーI(ヨウ素)

解説
 この水溶性が強い、脂溶性が強いという特徴は、
明日以降解説するホルモンの働き方にとって非常に重要である。

 下図が分子構造である。この分子構造を書かせる問題が生物で出題されるわけではないが、分子式が書いてあって名前を聞く問題は聞かれる可能性はある。
 つまり「書けなくてもよいが読めたほうがよい」ということである。



 




 

 チロシンの青のOHの部分がないのが、必須アミノ酸「フェニルアラニン」である。ベンゼン環より上をとると、
側鎖CH3のアラニンである。それに「フェニル基」(ベンゼン環)がついたので「フェニルアラニン」である。

それがアドレナリンに変化する時は赤・紫の部分が付加される。
水酸基OHが2つ付加され、分子中に3つも0Hがあるので、ベンゼン環の疎水性の性質を上回り親水性となる。

なお紫で書いたメチル基CH3がないと分子がより直鎖状(ノルマル)になり、「ノルアドレナリン」と呼ばれる。
ノルアドレナリンとアドレナリンはメチル基1つの相違である。
 高校生物では「アドレナリン=ホルモン」
「ノルアドレナリン=神経伝達物質」と二律区分するが、実際は混在した状態で働くことも多い。

チロキシンでも赤の部分がチロシンから変化した部分である。
ベンゼン環が1つ多い。詳しい過程は省略するが、ベンゼン環1つのチロシンが2つ結合して合成されるからである。
 分子内にベンゼン環が2つある一方、
水溶性の水酸基0Hが1つしかないので水に溶けにくく脂溶性である。

詳しい分子構造は書けなくても(脂溶性の)ベンゼン環の数と(水溶性を示す)水酸基の数の比で、どちらの性質かはわかるはずである。

なおチロキシンは、ホルモンの中では唯一ヨウ素Iを含むのが特徴で、チロキシン合成臓器である甲状腺にはヨウ素が蓄積されている。