設問1 下図は食後すい臓ランゲルハンス島B細胞がインスリン(図の赤丸)を分泌するしくみを図式化したものである。
(なお全体を薄く×してあることは無視して考えてください。)

 これをもとに、食後血糖が増えた後、インスリンが分泌されるまでの流れを説明せよ。



 





 




(考える)



1.食後、血糖が増えると、
B細胞表面にあるGLUT(グルコーストランスポーター)からグルコースが流入する。
2、すると解糖系やミトコンドリアでのクエン酸回路・電子伝達系でATPが合成さえる。
3、ATPのエネルギーでK+チャネルが閉じ、B細胞膜が脱分極する
(活動電流が発生する)
4、するとCa2+チャネルが開き、細胞外からCa2+が流入し、細胞内のCa2+が増加する。
5、すると分泌顆粒に蓄えられていたインスリン(赤丸)が細胞膜に位の移動し、分泌される。



 よく出題されるので異常のような流れは知っておいたほうがよい。

★設問2 図中@〜DはB細胞で各構造を作る遺伝子の異常などにより、インスリンが分泌されないあるいは分泌量が少ない、
違う構造で働きのない異常インスリン(図の赤四角)
を出すことにより糖尿病になる原因ともなっている。@〜Dを原因にした糖尿病を説明せよ。



(考える)



@B細胞そのものが、自己免疫により破壊される。インスリンの絶対的不足で糖尿病になる。

A解糖系酵素(とくに最初の段階のグルコキナーゼ)を指定する遺伝子が異常のためATPを生産できず、
K+チャネル閉鎖と連動したCa2+チャネル開放ができないため、インスリンが分泌されない。
Bミトコンドリア遺伝子異常により十分なATPが生産できず、K+チャネル閉鎖と連動したCa2+チャネル開放ができないため、インスリンが分泌されない。

Cインスリン合成遺伝子の転写を促進する転写因子の遺伝子異常による発症。

Dもともとは核内のインスリン合成遺伝子の突然変異のため、異なる形の異常インスリンが合成され、作用ができなくなる。