設問1 図は間脳視床下部・脳下垂体前葉・甲状腺から分泌される各ホルモンの量を矢印(↓)の太さで示したものである。ABCのホルモンの名称を答えよ。



 











 















(考える)



A甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
B甲状腺刺激ホルモン
Cチロキシン

解説
ホルモン名を「内分泌腺名+ホルモン」ということもある。「甲状腺ホルモン」といういい方もある。
しかし入試においては、それは具体名を知らないために逃げたと解釈され減点される可能性大なため、必ず具体名で答える。

★設問2 1〜0はある状態を示したものである。1はもっとも体内のバランスが保たれている時で、
各ホルモンが中程度に分泌されている。
2はチロキシンが減りすぎたため、負のフィードバック調整で放出ホルモン・刺激ホルモンを増やしチロキシン量を回復させようとしている状態である。
3は逆にチロキシンが増えすぎたため、
放出ホルモン・刺激ホルモンを減らし調節しようとしている状態である。
 4は外からの注射により、チロキシンが増えすぎている状態であるが、この注射が恒常的に持続した場合、
甲状腺は肥大化するか萎縮するか?



(考える)



萎縮する。刺激ホルモンが少ないままであるため、甲状腺の細胞の成長が阻害される。
つまり外から薬に頼り続けると人体の持っていた機能が衰えるという典型例である。

★設問3 ある変化が注射の成分による効果であるか、注射そのものストレスによるものであるかを
峻別するためにはどのような実験が必要か?臓器摘出手術の場合はどのような実験が必要か?
そのような実験を何というか?



(考える)



その成分を含まない生理的食塩水を注射し、その反応が起こるか調べる(ニセ注射)
その開腹手術はするが、その臓器を摘出せずに縫い合わせる手術(ニセ手術)を行う
対照実験(コントロール)
(対象ではないので注意)

★設問4 5〜0は、ある臓器の機能低下(摘出含む)、あるいはある臓器の腫瘍化により
恒常的に図のようなホルモン量になったものである。それぞれどの臓器の摘出・腫瘍化か?



(考える)



5甲状腺機能低下
6脳下垂体機能低下
7間脳視床下部機能低下
8甲状腺の腫瘍
9脳下垂体前葉の腫瘍
0間脳視床下部の腫瘍

解説
上からの指令があるのに出ないのは機能低下であるし、上からの指令がなくても出るのは腫瘍化である。
これは2006年名古屋大問題の改変であるが、この図が出題されたわけでない。実験条件をこの図のように示すとどの部位が異常かがよくわかるわけである。
 受験生としてはホルモンのフィードバックの実験考察問題をこの矢印の太さ図に示す示し方を知っておくと解きやすくなる。
なお、ホルモンのフィードバックは「出すぎたら減らし、減りすぎたら出す」フィードバックで「負のフィードバック調節」という。「出すぎたら減らす」方向が
「負のフィードバック調節」というのは誰も間違えないが、「減りすぎたら出す」ことをたまに「正のフィードバック調節」と勘違いしている受験生がいる。
末端の動きと逆の動きを中枢がさせることを「負のフィードバック調節」というので、後者も含めて「負のフィードバック調節」である。