設問1 T細胞・B細胞とも大元は骨髄の多能性幹細胞より分化する。その後、
T細胞はある器官で自己と非自己を見分ける能力を獲得するが、その器官とは何か?



(考える)



胸腺(thymus)

解説
 T細胞は胸腺(thymus)で自己と非自己を区別できるように分化するのでT細胞と命名された。
 B細胞については、鳥類においては、その分化を促進する器官「ファブリシウスのう」(Bursa of Fabricius)があり、
この頭文字でB細胞と呼ばれるようになった。ヒトにおいてはこのような器官はないが、骨髄(bone marrow)の頭文字とも一致するため、骨髄の意味と解釈される場合もある。

★設問2 キラーT細胞・ヘルパーT細胞以外のT細胞の名称と役割を述べよ。



(考える)



サプレッサーT細胞
他のT細胞の働きの抑制

★発展学習〜ヘルパーT・キラーT細胞と他の細胞の相互認識のしくみの違い〜

これから書くことは入試で知識で聞かれることはないでしょう。
しかし、導入付きの考察問題の素材としては出題されえますので解説します。図をよく見ながら理解してください。

 


共通点
・T細胞はTCRという「手」を突き出し、様々な細胞のMHCやその上に乗った物質を「触診」して認識する。

相違点
・「触診」した後、どのようなことをするかが異なる。

・ヘルパーT細胞は抗原提示細胞のMHCの上に乗せられた抗原(左図の黒丸)を認識し、抗原提示細胞を破壊する
ことなしに離れる。(その情報に合ったB細胞を刺激する)

・キラーT細胞は、細胞のMHCやその上の物質をTCRという「手」で触診する。

1、自己細胞のMHCならば、攻撃せずに離れる

2、非自己細胞(他者の細胞)のMHCは形が異なるので、非自己と認識し、攻撃する。攻撃はパーフォリンという物質を出し、細胞に穴をあけて破壊する。

3、がん細胞・ウイルス感染細胞は自己細胞由来で異常になった細胞である。それらはMHCの上に
「がん特異性抗原」「ウイルス断片」を出し、「私はがん化・ウイルス感染したので破壊してください」
とキラーT細胞に指し示す。キラーT細胞は、パーフォリンで攻撃破壊する。

なお、TCRとMHCの結合の際、補助的結合としてT細胞側からCD(
cluster of differentiation、分化抗原群)がMHCの側面まで達し結合する。

なおヘルパーT細胞はCD4を持ち、抗原提示細胞側のMHCはクラス2である。
(2は図にある通りローマ数字なのだがメルマガでは文字としてはうまく送れないのでアラビア数字で示した)
キラーT細胞はCD8を持ち、触診されるMHCは「クラス1」という。

ヘルパーT細胞ーCD4を持ち、相手の細胞のMHCクラス2の皿の上にある物質を認識する。
MHCクラス2、CD4なので「不死(ふし、死なない)」とおさえる。

キラーT細胞はCD8を持ち、触診されるMHCはクラス1でり、
「(破壊されるのは)いや(18)」ということである。

2×4(ヘルパーT)=1×8(キラーT)とおさえるとよい