DNAの複製方法の基本は、真核生物と原核生物とも共通であるが、若干異なる部分もある。 

 










 





真核生物のDNAは線状の染色体で長いため、その二重らせんを全部ほどいてから合成を始めたのでは時間がかかる。
したがって染色体上にある複数の複製起点から両側に二重らせんがほどかれ、その場所で合成が進んでいく。そしてそれが最終的につなぎ合わされる。その複製単位をrepliconという。一方、原核生物は環状DNAで真核生物と比較すると短く、複製起点は1か所である。

次に真核生物のrepliconを拡大して見てみたのが上記図の中の下側の図である。
 @〜Eの名称を答えよ。(示す番号の色と構造の色は一緒にしてある。CDは鎖の名称であり、Dの断片には発見者の名をとった断片名があるので合わせて答えよ。Eは酵素名である。)





@DNAヘリカーゼ(二重らせんをほどきながら進む)
ARNAプライマー(DNAの一部に相補的な塩基配列を持つ短いRNAで、DNAに張り付く)
BDNAポリメラーゼ
Cリーディング鎖(DNAヘリカーゼ・DNAポリメラーゼの進行方向に従って進めば、そのまま長い鎖が合成できる側の鎖)
Dラギング鎖 断片名ー岡ア断片
 (DNAヘリカーゼに従って進もうとすると逆向きにならないため、少しほどいては逆向きに合成することを繰り返す)
EDNAリガーゼ
 (RNAプライマーの部分は横から来たDNAポリメラーゼによってつくられたその部分のDNAの置き換えられ外れる。したがってDNA鎖のみになり、リーディング鎖と岡ア断片、そして岡ア断片どうしがDNAリガーゼで結合されていく。)

問題に出題された場合、元のDNAの5´→3´方向に→を意図的に多数つけ、新しくできる鎖は、もとの鎖と5´→3´方向が逆向きである(逆平行antiparallel、バックナンバー4参照)という原理を守るように考えれば、どちらがリーディング鎖かラギング鎖(岡ア断片)かは推定できる。