今日は東日本大震災から8年目です。2時47分には1分間黙とうしましょう。
 明日12日(火)11時〜13時、市谷のインド料理サイノで交流会です。もう終わった方はぜひきてください。後期に挑戦する方にはまたもう1回機会を作りますので、あと少しがんばってください。

●93京都府立医大(古いですが、いい問題です)

ヒトの一卵性双生児は単一の胚が何らかの様式で分離して生じたものである。哺乳類の受精卵においても、

ア「発生の初期に分類された割球のそれぞれが完全な個体を生じうる」

ことが示されている。

 また、哺乳類では胞胚期の胚は胚盤胞と呼ばれ、
将来胚体となる内部細胞塊と、( a )を作る栄養芽層に2分されるが、内部細胞塊を胚盤胞内へ注入すると、
これが、新たに胚体を形成することが明らかとなった。
これらのことから初期の割球が分離する、あるいは同一の胚盤胞であってもその内部で内部細胞塊が
2つの部分に分離すれば一卵性双生児が生ずるものと考えられる。

 実際、ヒトの一卵性双生児において、その約3分の1では( a )が完全に二分されており、
受精後5日頃の栄養芽層の形成以前に胚が分離したと考えられる。さらに、ヒト胚では受精後9日頃に( b )が完成するが、
この組織の細胞は羊水を分泌し、胚体を乾燥や急激な動きから保護している。もし受精後5日頃から9日頃の間に胚が分離すれば、
生ずる胚は、( ア )つの( a )と ( イ )つの( b )を有することになるが、
これはヒトの一卵性双生児の約3分の2に観察される。

問1 ヒトおよびニワトリについて、卵黄の分布から見た卵の種類、および卵割の様式を述べよ。

問2 (ア)について、このような卵は何と呼ばれているか。

問3 羊水中で胚形成を行う脊椎動物の種類(脊椎動物門の網)をすべて挙げよ。また、この発生様式の進化における意義を記せ。

問4( a )、( b )に最も適当な胚膜の名称を入れよ。
問5( ア )、( イ )に適当な数字を入れよ。
問6 ニワトリと比較して、ヒトで発達がよくない胚膜をすべて挙げよ。また、理由も共に記せ。
問7 シャム双生児(身体の一部が互いに癒合した双生児)が生ずる可能性が最も高いのは、胚の分離が何日頃おこる場合と考えられるか。



(しばし考える)


解答例
問1 ヒト   (卵の種類)等黄卵 (卵割様式)等割
    ニワトリ (卵の種類)強端黄卵 (卵割様式)盤割
問2 調節卵
問3 ハ虫綱・鳥綱・ホ乳綱 乾燥した陸上での発生が可能となった
問4 aしょう膜(絨毛ーじゅうもうー膜) b羊膜 
問5 ア1 イ2     
問6 卵黄のうー母体から胎盤を通じ直接栄養分を受け取ることができるので貯蔵の必要性が減少したので
    
 尿膜―しょう膜の一部,母体の子宮壁と合着し胎盤を形成し,老廃物は胎盤を通じて母体に送ることができるので老廃物蓄積の必要性が減少した。

問7、9日以降 

●解説
 胚盤胞は受精後6日(わかりやすく一週間=7日と表現する場合も多いが実際は6日目、その分化の原型は5日目)に形成され、
内部細胞塊と栄養芽層に分かれ、栄養芽層から「しょう膜」(絨毛膜ともいう)が形成される。しかるのち、9日目に内部細胞塊が胚と羊膜(卵黄のう・尿のうも)に分かれる。

1つの受精卵が発生途上で分離して生まれるのが一卵性双生児で、同じ受精卵由来なので遺伝的に同じである。分離時期によって以下の3つの膜のタイプがある。





 






5日以前に胚が2つに分かれれば、
それからしょう膜・羊膜をそれぞれ作るので、各胚はそれぞれ別の羊膜・しょう膜に包まれる。
全体としては2羊膜・2しょう膜(絨毛膜)となう。

・5〜9日に胚が2つに分かれれば、しょう膜はもう1つで形成されてしまっているが、
羊膜かこれから作るので別の羊膜ができ、2羊膜・1しょう膜となる。

・9日以降に胚が2つに分かれれば、しょう膜・羊膜とも1つずつ形成された後、
胚部分が2つになるので、1羊膜1しょう膜となる。この場合、膜による分離がないので、
遺伝的に同じ2胎児は融合し、シャム双生児となる可能性がある。


なお、2つの精子が別個に2つの卵(排卵数が多かった)に受精して2つの受精卵ができ、
2つ別々に着床した双生児を二卵性双生児といい、
遺伝的には異なり、兄弟姉妹の関係と同じである。
この場合、見かけとしては「一卵性双生児」の5日以前分離の
「二羊膜二しょう膜型」となる。