同じ生物個体においても、条件によって酸素解離曲線は変化する。
ある状態の酸素解離曲線が
下図のア(上側・左側)であった場合、イ(下側・右側)の側にシフトさせる要因を、二酸化炭素分圧の増加以外に3つあげよ。











 






 

 



(考える)



温度上昇
pH低下(酸性側に傾く)
DPG(ジホスホグリセリン酸)増加

解説
 昨日述べたように「二酸化炭素」増加は、酸素との競合で曲線を左・下にシフトさせる。
他には、温度上昇は気体の分子運動を活発にすることにより、pH低下やDPG増加はヘモグロビンの立体構造を少し変え、酸素と結合しにくくなる。
 筋肉をウオーミングアップで動かすと、二酸化炭素増・pH低下(二酸化炭素と嫌気呼吸による乳酸増)
・体温上昇によりグラフが右(下)にシフトするため、本格的な運動に移行した時に、組織に酸素を供給しやすくなる。
 なお、DPGは登山した時に増えて、登山の時の組織への酸素供給に貢献する。


★設問2 グラフが右(下)にシフトすると、生体にとってはどのような利点があるか?



(考える)



組織・臓器でのHbの酸素結合率が減るため、効率的に酸素を組織・臓器に供給できる。

解説
肺では少し結合しにくくなるデメリットはあるが、組織で離す量が増えるメリットのほうが大きい。

★設問3 「グラフが右・下にシフトした」ということを数値化して表現するために、P50という数値が使われる。
これは酸素へモグロビンが50%となる酸素分圧を示すもので、図の赤で書いたものである。
 「グラフが右(下)にシフトする」場合、P50は増加するか減少するか?



(考える)



増加する。

解説
「グラフが右・下にシフトする」=「P50増」である。

★設問4 類似の別種で比較すると、同じ条件下でも、もともとヘモグロビンの立体構造の差異などにより、
異なるグラフとなる場合がある。
胎児と母体、類似の別種で高地に
生息するものと、低地に生息するもので、ア(上・左)の
グラフの相当するのはそれぞれどちらか?またどのような利点があるか?



(考える)



胎児や高地性のものがア(上・右)
酸素の少ない胎盤の母体血や気圧の低い大気においても、アのグラフでは多量に酸素を結合できるため
(今度はそもそも酸素を受け取る段階で
低酸素環境なので、まずは低酸素下での酸素と結合できるアのほうが有利である。)

★設問5 ヘモグロビンよりもグラフが右・上であり、筋肉において酸素を貯留できる物質は?



(考える)



ミオグロビン