本日より植物ホルモン・植物生理学に入ります。

★設問1 オーキシンの主な働きをあげよ。


(考える)



光屈性(重力屈性)
頂芽優勢
離層の抑制による落果落葉の防止
組織培養での根の分化促進
不定根

★設問2 サイトカイニンの主な働きを4つ述べよ。


(考える)



細胞分裂促進
気孔を開く
葉の老化抑制
組織培養における茎葉分化促進
側芽成長

★設問3 ジベレリンの主な働きを述べよ。


(考える)



伸長成長(丈の低いわい性植物の伸長)
種子発芽促進
種なしブドウの形成(子房の発育促進)

★設問4 エチレンの働きを2つ述べよ。


(考える)



果実成熟
離層形成促進による落下落葉促進
(強風下の伸長抑制)

★設問5 アブシシン酸の働きを3つ述べよ。


(考える)



種子休眠
気孔閉
葉の老化促進

解説
 実際の入試では、このように各ホルモンの働きを列挙させることはなく、各役割をするホルモン名を答えさせる問題が多い。
しかし結局は理解しておかなければ
いけないので列挙する設問を出させていただいた。
 項目が多くで大変と思うかもしれないが、下図のようにアブシシン酸を中心におき、その働きとの対立軸でおさえるとよい。








 

赤字の対立軸が重要である。また青字は対立軸にはないがよく聞かれる点である。

 アブシシン酸はマイナス的な役割、エチレンはアブシシン酸と近い役割
(種子休眠・気孔閉・離層形成促進(つまり落果落葉という冬=休眠に向かう流れ))

であり、その周りに配置されたホルモンはプラス的な役割
(種子発芽・気孔開・離層形成抑制(老化防止))
とイメージすればよい。

 その対立軸表でホルモンの役割の半分はおさえられる。次のその対立軸以外の各ホルモンの働きである。
 図的なイメージをしておくとおさえやすくなるでしょう。

個別の注意をいいます。
・オーキシンについては明日詳述
・オーキシンは光屈性などに関与するので「茎」のイメージがあるかもしれないが、組織培養では根の促進で、サイトカイニンが茎葉の促進である。
・種なしブドウは受精前にジベレリンを農業的に処理することにより子房をふくらませて作る。同じ種なしでも
「種なしスイカ」はホルモン処理でなく三倍体に変化せせることにより減数分裂を正常にできないようにさせることで原理が違うので注意。

・離層とは葉や果実のつく枝のつけ出の細胞壁の結合が(セルラーゼによって)ゆるくなることで葉や果実を支えきれなく、落果落葉させること。


季節的なイメージとしては、アブシシン酸・エチレン
は秋冬に促進され、オーキシン・ジベレリン・サイトカイニンは春夏に促進されるととらえてよい。