★設問1 XY型性決定であるネコの体色には、黒B、オレンジb遺伝子の他、白ぶちを作る遺伝子A、
白ぶちを作らない遺伝子aがある。BbはX染色体常に存在し,Aaは常染色体上に存在する。雌雄全ての遺伝子型と色を書け。




(考える)



雌 
AAXBXB 黒白ぶち(2色)
AaXBXB 黒白ぶち(2色)
aaXBXB 黒
AAXBXb 三毛(黒オレンジ白)
AaXBXb 三毛
aaXBXb 黒オレンジ(2色)
AAXbXb オレンジ白ぶち(2色)
AaXbXb オレンジ白ぶち
aaXbXb オレンジ


AAXBY 黒白ぶち
AaXBY 黒白ぶち
aaXBY 黒
AAXbY オレンジ白ぶち
AaXbY オレンジ白ぶち
aaXbY オレンジ

解説
 雌のX染色体は2本あり多くの遺伝子が存在している。雄のX染色体は1本であるため、
雌のX染色体上の遺伝子について、そのままでは雄の2倍の発現量となってしまい代謝・形質発現などに著しい影響を与える。
(なおY染色体には男性化決定遺伝子の他はほとんど遺伝子がのっていないのでY染色体の有無は発現量には深刻な影響を与えない)

 哺乳類においては雌のX染色体の2本のうち1本を不活性化させることで雄と同じ遺伝子発現量にさせるしくみがある。
父母からうけついた2本のX染色体のうち、どちらが不活性化されるかは、ランダムで体の中にまだら上に存在する。
これをX染色体の選択的不活性化という。

受精卵時点
X1(父由来)X2(母由来)とすると

体内の細胞はまだら上に
X1(活性)X2(不活性)
X1(不活性)X2(活性)
となることになる。

これが最も顕著に出るのが三毛猫であり、入試には三毛猫の出題が多い
XBXbの場合、通常の常染色体の場合、表現型[B]となるが、

XB(活性)Xb(不活性)「黒」
XB(不活性)Xb(活性)「オレンジ」
の細胞がまだらに存在する。

それに常染色体上のAA、Aa(白ぶち)が加わると三毛となる。

★設問2 三毛猫はほとんどが雌である理由を書け。またまれに三毛猫の雄が生まれるしくみを書け。




(考える)




三毛猫となるためには、XBとXbとAが存在しなければならないのでX染色体を2本持つ雌では可能だが、
X染色体が1本の雄では不可能である。

ただし、染色体不分離などでXXYの雄が誕生した場合は
AaXBXbYかAAXBXbYであれば、三毛猫となる。

解説
染色体不分離とは減数分裂の時、性染色体が両側の配偶子に分離されず片側に分配されることである。たとえば次のような例である。

三毛雌
2A+XBXb
→卵A
A+XBXb(染色体不分離)

黒猫雄
2A+XBY
→精子A+XB
A+Y

A+XBXb(卵)

A+Y(精子)
が受精すると
2A+XBXbYで三毛の雄となる。

この「染色体の選択的不活性化」を考えると、これまでの伴性遺伝の説明が崩れそうな気もするかもしえないが、
主に哺乳類のみの現象であるので、
入試問題では「三毛猫」か「設問中のそのことが明記された問題」
以外では考えなくてもよいので、普通にゴバン目で解けばよいので安心してほしい。