おはよう。台風21号の被害が最小限にとどまるように祈念します。
 本日より後期の内容に入ります。そして後期の授業が始まったことを考えて、また発信を「隔日」(奇数日)にいたします。

問1 次の図はウニの受精に関する図である。図の@〜Fにあたる用語を答え、文章を完成させよ。





 








 


 


ウニでは、未受精卵の段階では、内側から@Aという2つの膜が接近した状態で存在する。内側の@はリン脂質とタンパク質で構成される生体膜の一種であるが、Aはそうではない。@にはBという構造が内側に多数配置されている。
 精子は卵細胞をとりまくゼリー層に到達する前は、核より先端部に
Cという構造がある。
 精子がゼリー層に到達するとCが壊れ、Cの内容物がにじみ出て、ゼリー層などを溶かす反応を起こす。このような反応を「C反応」という。ゼリー層に到達する前、核より後方にはアクチンモノマーが存在するが、C反応の開始(Cの崩壊)とともに、アクチンモノマーは重合しアクチン線維となり、精子の核より前端部分をDと呼ばれるとがった構造にする。
 Dが@に到達すると、精子の核は欄細胞内に送り込まれる。卵細胞内では、精子の後方にあった中心体が前方に位置を変え、精核と卵核を接近させ受精核に融合していくことを促進する。
 このような反応とほぼ同時に、Bの構造が崩壊し、その内容物がEに放出される。その結果Eの部分の浸透圧が上昇し、周り(特に外側)から水を吸水することによりEは広がる。その結果最初近い位置にあった@とAが分離し、AはFと呼ばれるようになる。
 このF形成は、「受精電位」の後に起きる現象で、多精拒否をより確実にする。






@卵細胞膜 A卵黄膜(卵膜) B表層粒(表層顆粒)
C先体 D先体突起 E囲卵腔 F受精膜

解説
・ウニの受精膜は受精の時、急にできるのではなく、もともと卵黄膜として存在していたものが「浮き上がって」できる。
・このしくみはカエル・ヒトでもほぼ共通であるが、アクチンモノマーの重合による「先体突起」の形成はウニ独特の構造である。

問2 表層粒崩壊の流れを説明せよ。(発展・余力があればでよい)




答 精子侵入により、細胞膜内のGタンパク質が活性化され、iP3(イノシトール三リン酸)が活性化される。IP3は小胞体からCa2+を放出させ、Ca2+が上昇すると、細胞の内側の膜である卵細胞膜表層に存在していた表層粒を崩壊させる。(すると卵膜と卵細胞膜の間ににじみ出た物質が浸透圧を高め、まわりから水を吸水することで卵黄膜が受精膜として浮き上がり多精拒否を確実にする。)