今日は問題でなく知識型にします。実験で使われるモデル生物の特徴です、

★アフリカツメガエルを発生の研究で使う理由〜アフリカツメガエル卵・幼生は比較的大きく、脊椎動物でヒトとほぼ同様の器官を持つ。体外発生なので胎生のマウスと異なり、発生過程が容易に観察できる。(また誘導に関する基本的な研究が積み重ねられているので、研究の積み上げがしやすい。)
アフリカツメガエル自身の特徴〜一年中産卵し、動かない餌も食べるので飼育がしやすい。

★マウスを行動の研究に使う理由〜他の生物に比べ大脳が発達しており、行動も機敏で学習・記憶の結果を調べやすい。迷路実験など条件づけによる行動の研究に用いられてきたため、研究の積み上げがしやすい。(マウスほど多彩な研究がされているわけではないが、ショウジョウバエでも睡眠・不眠症の研究,時間の記憶の実験,プラナリアでも学習・記憶の実験が行われている。)

★マウスを遺伝子研究に使う理由 マウスの遺伝子データベースで,その遺伝子と相同遺伝子がないか比較する。マウスに相同遺伝子があれば,そのマウスの相同遺伝子機能を停止させるノックアウトマウス(knockout mouse),なければその遺伝子をマウスに導入するトランスジェニックマウス(transgenic mouse)を作り,そのタンパク質の性質を調べる。

他のモデル生物
●シロイズナズナ 一世代は約2ヶ月と短く種子も多く,小型で実験室内の人工光で育つので実験がしやすい。ゲノム塩基配列解読が終了。ゲノムサイズは1,3億塩基対,遺伝子数は約2,6万で種子植物の中では小さく,種子植物共通の基本的遺伝子を調べやすい。花の形成に関わる遺伝子などが解明されている。

●ヒメツリガネゴケ 植物が単細胞段階から陸上化し多細胞段階になった時の状態を示しており,植物の多細胞化・陸上適応などのゲノム研究に適している。細胞内での微小管の配列方向の進化への影響が確かめられている。

●線虫(C,elegans)959個の体細胞のすべての,受精卵意向の発生由来(細胞系譜)と基本的な働きがわかっているので,発生に関わる遺伝子発現と細胞分化の研究に適している。また発生過程でアポトーシス(プログラム細胞死)する細胞もわかっており,
アポトーシスの研究にも適している。神経系も発達しているので神経や行動の研究も可能である。森郁恵さん(名古屋大学大学院理学研究科教授)は線虫の「温度走性」に関する学習行動分析で第26回猿橋賞(自然科学の女性研究者への賞)を受賞した。
 生殖細胞は体細胞と同様約1000個存在する。

●ユウレイボヤ 透明で脊索の観察ができ,脊椎動物にいたる脊索の役割の研究に適する。また卵は受精時の極体に放出の観察に適する。