02東京医科歯科大の「免疫・インフルエンザ」を4回に分割し(一部略)紹介します。
長文ですが、トピックが物語になっています。一応各回ごとに難問でない小問を付けますが、まずは「読んで勉強する」つもりで結構です。
(ただし、あきら君、インフルエンザなのに図書館に行って勉強していいのか? 医学部がこんな問題を出していた時代もあったのですね。もちろん安静第一で人に感染させる場所には出てはいけません。)


設問
 入試の前だというのに、インフルエンザにかかってしまった。
インフルエンザといえば、2年で学習した世界史で、スペインかぜが世界各地で猛威をふるい、多数の死者がでたと習ったことがある。
ともかく数学の問題を解くには集中力が足りないので、少しリラックスして図書館でスペインかぜのことでも調べてみようと、あきら君は鼻水を垂らしながら市立図書館に向かった。
 スペインかぜについて百科事典で調べてみるとすぐにでてきた。
スペインかぜは、第一次世界大戦中の1918年から翌年の1919年にかけて、
ヨーロッパから広がって世界各地で猛威をふるい、全世界のかかった患者数6億人、死亡した人は2500万人にのぼったと推定されている、と書かれていた。
スペインかぜの流行は大正8−9(1919−1920)年に日本へも及び、かかった患者は2300万人、死者は38万人に及んだこと、芸術座を興した島村抱月もこのために死亡したこと、が書かれていた。
 死者が2500万人というのはものすごい数だ。
この数は、1914年に始まり1918年に終結した第一次世界大戦の人命損失数である1140万人よりも多いのだ。
スペインかぜの流行は、14世紀にヨーロッパで3500万人、その他を加えると全文明世界で6000万人〜7000万人の死者をだしたと言われる黒死病(ペスト)の恐ろしい記憶を呼び覚ますものであった。
すでに1894年にフランスのイェルサンと北里柴三郎が、それぞれ独立にペスト菌を発見しており、
その他の病気に関しても病原菌が特定され、感染症に関する知識はすでに確立したと考えていた当時の医療従事者に、この流行は大きな衝撃を与えた。
 インフルエンザの大流行は、その後もアジアかぜ、香港かぜなどとして繰り返されている。
      
[病気と感染症]
 国際疾病分類というのがあり、病気を分類していることを知った。
この中で、疾病という一番大きなカテゴリーの中に全身症があり、その一番はじめに「感染症および寄生虫症」が載っている。
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症で、全身に症状が出る病気だと分類できそうである。
 岩波書店の「生物学事典」によると、
病気とは、「個体の秩序が何らかの原因により偏った状態。
その原因を病因という。病気の状態と健康の状態は必ずしも
明確な境界によって区別されるものではないことは、クロード・ベルナールによって強調された。
病気は、病因が遺伝によるものであるかないかを問わず、生まれたときにすでにかかっている(先天性)場合と、
生まれた後にかかる(後天的)場合、また器官などの構造的なものと機能的なもの、経過の長短により急性・慢性などに分けられる。
病因には内因と外因があり、内因は遺伝・内分泌・免疫・代謝・神経・そのほか体内各系機能の欠損や障害によるものをさし、
外因には栄養の欠乏、物理的・化学的作用(火傷・凍傷・放射線障害・中毒など)、
ウイルス類、スピロヘータ・リケッチアなどを含む細菌類、真菌類、(1)原虫類、蠕(ぜん)虫類などの感染をあげることができる。」と書かれていた。

問 原虫類は原生動物を、蠕虫類は環形動物・扁形動物などをさす。原生動物、扁形動物、環形動物に属する動物を語群からすべて選べ。
(ア)ナメクジウオ(イ)プラナリア(ウ)イワナ
(エ)ミミズ(オ)イソギンチャク(カ)ミツバチ
(キ)イモリ(ク)ヒドラ(ケ)サナダムシ (コ)ゾウリムシ
(サ)ワラジムシ(シ)クシクラゲ(ス)ゴカイ (セ)ワムシ (ソ)ウミウシ(タ)ヤムシ(チ)ホヤ(ツ)ナマコ(テ)サザエ(ト)アメーバ



(しばし考える)



解答
原生動物―コ(ゾウリムシ)・ト(アメーバ)
ヘン(扁)形動物―イ(プラナリア)・ケ(サナダムシ)
環形動物―エ(ミミズ)・ス(ゴカイ)

解説
原生動物は単細胞の真核生物
ヘン形動物は旧口動物・冠輪動物
環形動物は旧口動物・冠輪動物
ア(ナメクジウオ)チ(ホヤ)ー原索動物
ウ(イワナ)キ(イモリ)−脊椎動物
オ(イソギンチャク)ク(ヒドラ)−刺胞動物
シ(クシクラゲ)−有櫛(ゆうしつ)動物
カ(ミツバチ)サ(ワラジムシ)−節足動物
セ(ワムシ)−輪形動物(袋型動物)
ソ(ウミウシ)テ(サザエ)−軟体動物
タ(ヤムシ)−毛がく(もうがく)動物
ツ(ナマコ)−棘皮(きょくひ)動物