今日は理論、明日、実践問題をやります。

●ペプシン・トリプシン・キモトリプシン・ペプチダーゼの切断部位
(これは化学の出題の時には設問に与えられるので絶対に覚えておく必要があるものではありませんが
、事前にイメージしておくと出題された時とっつきやすくなります)

1、ペプシン 疎水性アミノ酸(フェニルアラニン・チロシン・ロイシン・メチオニン)の両側を切断することが多い。
 比較的基質特異性が低く、いろいろなアミノ酸のペプチド結合を分解できる。

2、トリプシン 
リシン・アルギニン(ヒスチジン以外の塩基性アミノ酸)のカルボキシル側を切断

3、キモトリプシン
フェニルアラニン・チロシン(ベンゼン環を持った芳香族アミノ酸)(とトリプトファン)のカルボキシル基側を切断

4、ペプチダーゼ
 非特異的に(つまりどのアミノ酸配列であっても)、切断します。
ポリペプチドの内部を切断できる「エンドペプチダーゼ」(endo-は中を示す接頭辞)、
N末端のアミノ酸1つだけを切り落とす「アミノペプチダーゼ」、C末端側のアミノ酸1つだけを切り落とす「カルボキシペプチダーゼ」などがあります。

特に2と3に注目した問題が多いです。

●日本語の約束とタンパク質アミノ酸配列の約束
 
日本語配列  
「わたしはプラナリアがだいすきです。」
アミノ酸配列
 「グリシン・アルギニン・セリン・チロシン・アラニン」

日本語では左側が文頭、右側が文末という約束があり、アミノ酸配列表記もそれにならいます。それぞれのアミノ酸は普通NH2が先端、COOHが後半に表記するため、アミノ酸の間は、中心の鎖の元素に注目すると

NH2ーC−CONHーC−CONHーC-CONH-C-COOH

となるため先端側をN末端、末尾をC末端といい、それぞれのアミノ酸との位置ではアミノ酸の左側をアミノ基側、右側をカルボキシル基側と表現します。

●日本語文章を切る方法
「わたしはプラナリアがだいすきです。」
という文章を

「助詞の後で切断しなさい」と言われれば
「わたしは」 
「プラナリアが」 
「だいすきです」
と切断されます。

「イ段(母音がイ)の後で切断しなさい」と
いわれれば
「わたし」 
「はプラナリ」
「アがだい」
「すき」
「です」

となります。
切り方の約束によって断片が違ってきます。

さて、元の文章がわかっていなくても、この2つの断片情報があれば文章は再構成できますね。それと同じことがアミノ酸配列についてもいえるのです。

●タンパク質(ポリペプチド)を切る方法

ポリペプチド
「グリシン・アルギニン・セリン・チロシン・アラニン」を

1、トリプシン(リシン・アルギニンのカルボキシル基側で切断)処理すると
「グリシン・アルギニン」  
「セリン・チロシン・アラニン」断片に分かれ、

2、キモトリプシン(芳香族アミノ酸のカルボキシル基側で切断)処理すると
「グリシン・アルギニン・セリン・チロシン」と「アラニン」に分かれます。

3、両者で処理すると
「グリシン・アルギニン」「セリン・チロシン」「アラニン」の3つに分かれます。

これらの断片情報をうまく使うと、アミノ酸配列が推定でき、生物・化学両方で出題されている二次の頻出問題です。