2017年東京医大で出題された問題は、DNAと結合し、本体遺伝子の転写を促進する調節タンパク質の構造と性質をよくまとめた良問である。
市谷最終授業で扱った内容を以下確認する。
問題文全体を完全に再現するとメルマガとしては長くなりすぎるし、メルマガでは画像を1つしか添付できないので、以下、入試で出題された内容の要点をまとめる。






 

DNA(図、黒)に結合しその遺伝子の転写を促進する調節タンパク(赤)もそれを指定するDNA(赤)の転写・翻訳で作られる。
 調節タンパク質には様々なタイプの構造があるが、
その中に2つ結合して(二量体を形成して)働くタイプもある。二量体化する調節タンパクのアミノ酸配列にはDNA結合部位(図のA)と二量体化するために相互に結合する部位(B)がある。
調節タンパク自信には@やCの部分もある。
 調節タンパク質を指定するDNA(赤)について実験上、一部を書いた短い構造をものを作る。@のみだと@の部位のみ、
@Aにみだと、@A部位、@ABだと@ABの部位のみができ、全部DNAが存在すると完全な構造の調節タンパク質ができる。
それぞれの産物をDNA(黒)と結合させ、電気泳動させることでDNAとタンパク質が結合したものの分子量を推定する。
 @にみだとDNAと結合できない。@Aのみだと結合できるが二量体を形成しない。その場合結合は緩やかになる。
@ABだと二量体化できDNAにしっかり結びつく。@ABC全部あると二量体化した上でDNAにもしっかり結合し、Cがある分、分子量が最大となる。
 このように実験的にタンパク質の部分のみを作らせる実験をすることにより、タンパク質のどの部位がどのように働いているかを峻別できる。