★設問1 ニ遺伝子雑種A(a),B(b)について、ある両親を交配したF1どうしを交配したF2の表現型分離比が
[AB]:[Ab][aB]:[ab]=211:32:32:49
であった。両親の遺伝子型と、
F1配偶子分離比、組換え率を求めよ。



(考える)



AABB×aabb
組換え率22,2%
(2+2/(7+2+2+7) ×100%)

F1配偶子分離比
AB:Ab:aB:ab=7:2:2:7

解説
 昨日のメルマガ(191)で、[ab]の49=nの2乗で
n=7で、7:1:1:7と推定できるということを書きました。
入試問題の大部分はそれでいいのですが、
実は、少数の比が
1でなければならないことはなく、
7:2:2:7ですると、211:32:32:49
となります。
つまり49だけに注目すると
7:1:1:7の177:15:15:49と区別つかないわけです。

入試ではn:1:1:nがほとんどですが、たまに「ひっかけ」で
n:2:2:n(あるいはn:3:3:n)が聞かれます。

ひっかからずに見分けるポイントは
比の合計値の計算です。
211+32+32+49=324=18の2乗
です。
nは7とすると
7:1:1:7だと16となって矛盾し
7:2:2:7だと18で一致します。

★設問2 ニ遺伝子雑種A(a),B(b)について、ある両親を交配したF1どうしを交配したF2の表現型分離比が
[AB]:[Ab][aB]:[ab]=166:77:77:4
であった。両親の遺伝子型と、
F1配偶子分離比、組換え率を求めよ。


(考える)



AAbb×aaBB
22,2%

F1配偶子分離比
AB:Ab:aB:ab=2:7:7:2
解説
比が
「多:中程度:中程度:少」なのでAb、aB連鎖型と推定できる。
少が4で2の2乗なので
(2+n+n+2)の2乗
=166+77+77+4=324=18の2乗

2+n+n+2=18なのでn=7と推定できる。

★設問3 ある交配において、
[AB]:[Ab][aB]:[ab]=14:1:1:4
となった。この交配はどのような交配であったか?


(考える)



AB、abが連鎖していて、
片親の配偶子のみ20%組換えが生じ、片親は組換えがない交配
(厳密にはこの設問情報だけからだと
不足で、別の交配パターンもありうるのだが、入試ではほとんどこの答が要求される)

解説

比の合計値を考える
14+1+1+4=20

20となるゴバン目は
1×20
2×10
4×5
しかないが、ゴバンの縦横が奇数となることはないので
2×10

・4114


と考えるとつじつまがあい、実際にゴバン目をつくって確認すると一致する。

3つの設問のゴバン目は以下の通り。












 




このようにF2表現型分離比では比の合計値がゴバン目の縦横の数字、すなわちF1配偶子分離比を推定し、
組換え率を推定する重要な根拠となるし、昨日勉強した様々な標準的パターンを出題者がはずしてきた時も、それを見抜く根拠ともなる。

また自分の計算の検算にも使用できる。
AB、ab連鎖の組換え率10%のF2を
ゴバン目で計算した時、君がゴバン目の数字を足し忘れて
279:19:19:81(正解は281:19:19:81)
と誤答を出してしまっていたとしよう。

最後の見直し時間に
279+19+19+81=398と計算し、
398が何かの2乗にならないことに気づく。
20の2乗は400とわかれば、君が2足し忘れていたことに気づき
281:19:19:81という正解にたどり着ける。