これから夏休みは前期後期の流れで取扱いが相対的に少ない分野であるが、出題頻度はある程度ある分野を特集します。前半は「遺伝の比率計算の問題」、後半は(後期の終わりにやるが夏ごろから進化・系統分類的視点を持っていたほうがよりよいので)「進化と系統分類」です。



★設問1 エンドウを使ったことが、メンデルの実験にとって有利であった主な理由を述べよ。



(考える)



・エンドウなどマメ科植物は自家受精植物であるため、(虫媒花・風媒花・鳥媒花など他家受精する植物と異なり)、
最初に人工交配を行ってF1を得れば、F1→F2は容易に得られて解析がしやすい。
(生育期間が短い)
(見分けやすい対立形質が多い)

★設問2 マメ科の花弁の名称と位置と数を答えよ。



(考える)



旗弁(1枚)外側
翼弁(2枚)中間
竜骨弁(2枚)内側

解説
2枚が閉じた竜骨弁の中にめしべ・おしべがあるため、自然状態で自家受精しやすい。

↓写真はメンデルが実験に使ったエンドウの近縁種であるカラスノエンドウを少し左側から写した写真である。薄紫色で大きいのが1枚の「旗弁」、
下側にとんがってみえるのが翼弁(2枚)の左側、内側(前面)に立ちあがって見えるのが「竜骨弁」でこの中にめしべ・おしべがある。







 
















 












★設問3 しわの系統のエンドウに、丸の系統のエンドウの花粉を交配する手順を述べよ。



(考える)



1、しわの系統の若いつぼみのおしべをはさみで取り除く
2、開花後、丸の系統の花粉を筆でつける
3、昆虫などによる他家受粉を避けるため袋をかけておく

設問4 上記で得たF1個体から自家受精でF2個体を得る方法を述べよ。



(考える)



何もせずにそのまま育てると自家受精してF2になる。

解説
 このようにF1を作るための最初の作業をすれば、F1→F2は自然に得られるのが、メンデルが法則性を考える上で有利であった。