★設問1 光合成速度に影響を与える3要因を挙げよ。この3要因のうち、ある条件下で最も不足し光合成速度を決めている要因は何というか?



(考える)



光の強さ(波長)、CO2濃度、温度
不足し光合成速度を決める要因ー限定要因

★設問2 日本の一般的な植物で初夏の日中、限定要因となるものは何か?



(考える)



CO2濃度

解説
 大気中CO2濃度0,03%(実際は化石燃料消費で0,035%になっている)
は実は、一般的な植物が初夏の日中などの光・温度条件では不足し限定要因となっていることが多い。

★設問3
以下の図の1〜7の名称を答えよ








 











 





(考える)



1補償点 2光飽和点
3見かけの光合成速度 4呼吸速度 5光合成速度
6さく状組織 7海綿状組織

解説  
光合成速度>呼吸速度 ならばグルコース収支は「黒字」となり、生存・成長可能である。
  光合成速度=呼吸速度 ならば、短期的にはギリギリ生存可能であり、そうなる光の強さを補償点という
  光合成速度<呼吸速度 ならば「赤字」となり、植物は枯死する。

★設問4 光が多い所のみで生育可能な陽生植物に対して、森林の林床
など光が不足する所でも生育できる陰生植物は、
1、呼吸速度
2、補償点
3、光飽和点
はどうか?「大きい」「小さい」で答えよ。



(考える)



1、呼吸速度「小さい」
2、補償点「小さい」
3、光飽和点「小さい」

解説
陽生植物はひなたで生育し多くの光合成を行うために、葉は全体的に厚くなる。したがって、生命活動を維持する呼吸量も増える。光合成能力も高まるが呼吸量も高まる。
「はでに稼ぎ、はでに使う」タイプ。
陰生植物は「地味に稼ぎ地味に使うタイプ」

生育可能な呼吸量と同じ光合成量を生みだせる補償点は陰生植物のほうが小さい。林内の「木漏れ日(こもれび)」でも生育可能となる。


★設問5 同じ植物体内でも日がよくあたる場所につく「陽葉」と、日陰につく「陰葉」に厚さの違いがある場合もある。
 どちらの葉が厚いか?その厚みの違いは「さく状組織」「海綿状組織」「その両方」のどの厚みの違いか?
 また葉の面積はどうなるか?


(考える)



陽葉が厚い
さく状組織の厚み
葉の面積は狭い

陽葉はひなたで生育するために、葉の柵状(さくじょう)組織(palisade tissue,palisade parenchyma)が厚く、水の蒸散を防ぐクチクラ層も厚く、葉は全体的に厚くなる。

 陰葉は日影で生育することも多く、光合成能力も高くなくてもよいので柵状組織は薄い。
蒸散も少なくクチクラ層も薄い。その生命活動を維持する呼吸量は少なくてもよく、補償点は低く、少ない光でも生育できる。
ただし、葉は薄いが、「こもれび」をひろうことができるように「広く」なっている点に注意。
 
 なお両者で海綿状組織の厚さに差はない。


設問6 CO2吸収量換算で「光合成速度」1時間10、「呼吸速度」1時間4の植物を、
昼間10時間、夜14時間の昼夜条件で、CO2を入れた密閉容器内で育てた。1日当たりの密閉容器でのCO2減少量(吸収量)はどうなるか?



(考える)






解説
昼間も呼吸するがみかけの光合成量分だけCO2を吸収する。
1時間あたり
みかけの光合成速度
=光合成速度ー呼吸速度
=10−4=6

1時間6×10時間=60のCO2吸収。

一方、夜間は呼吸のみするので
1時間4×14時間=56のCO2排出。

昼のCO2吸収ー夜のCO2排出
=60−56=4吸収

植物は昼間光合成でグルコースを生成し、そのグルコースを昼夜、呼吸に消費することで生きている。そして余剰分を使って成長や貯蔵をしている。

人間の収支計算で( )内でたとえて言うと

みかけの光合成速度
(貯金)
=光合成速度(収入)−呼吸速度(生活費)

昼のみかけの光合成量ー夜の呼吸量
=1日あたりの光合成でのグルコース増加量

平日(月〜金)に日雇い払いの仕事があり、土日は仕事がなくなる人の一週間あたりの「貯金」は

・平日の貯金=平日の収入ー平日の生活費
・平日の貯金ー土日の生活費=1週間あたりの貯金