下の図は、DNA上のある遺伝子とそのmRNAを適切な溶液中で反応させ、観察したものです。赤と黒どちらがDNAでどちらがmRNAか?









黒ーmRNA、赤ーDNA

問2 赤で表記されたDNAのうち、黒(mRNA)と
離れている部分(bdfh、BDF)
結合している部分(acegiACEG)
をそれぞれ何というか?






離れている部分 イントロン
結合している部分 エキソン

問1・2解説
 よく出題される有名な実験図である。
普段の細胞では核内にあるDNAと、細胞質中に移動するmRNAが出会うことは普通ない。しかし人工的に出会う条件を作ると、エキソンの部分は共通で塩基が相補的なため
(DNAは二重らせんなのでその鋳型鎖・アンチセンス鎖のほうに結合)

結合する。
しかしイントロンの部分はmRNAでは存在しないので、その部分がループのようにたわむ。よって赤がDNA、黒がmRNAでたわんだ(離れた)部分がイントロン、結合している部分がエキソンに相当する。

問3 図の左と右は同じDNA由来のmRNAで反応させたものであるが、ループの形が異なる。この理由を記号を使って説明せよ。
なお左と右での相違点は1点のみと考えてよい。








左のmRNAではエキソンが5つ(acegi)、その間のイントロンが4つ(bdfh)あり、その4つのイントロンのみがスプライシングされて5つのエキソンが結合してできた。
 右のmRNAでは見かけ上エキソンが4つに見えるが、同じDNAなのでエキソンは左の5カ所と同じはずである。赤(DNA)の長さは左右で同じなので、異なるスプライシングがおこなれたと考えられる。
 第2エキソンまでは共通であるが、右では
「第2イントロン・第3エキソン・第3イントロン」
がまとめてスプライシングされたため、ループが長くなっている。
第4エキソン・第4イントロン・第5エキソンは両者同じで後半のロープの形は同じである。

問4 問3のように、イントロンは必ずスプライシングで廃棄されるが、エキソンについては残されることもあればイントロンとともに廃棄されてしまうこともある。
 どのエキソンが残され、どのエキソンが廃棄されるかの組み合わせは多様であり、1つの遺伝子(DNA上のエキソン・イントロンの1セットの並びを1遺伝子と考えている)
から複数のmRNAが作られ、複数のタンパク質が作られる。
このことを何というか?




答 選択的スプライシング(alternative splicing)

解説 ヒト遺伝子が2,2万個しかないが、ヒトが使っているタンパク質は10〜数十万種あるといわれているのはこれが理由である