酵素の性質に関する次の文章の正誤を答えよ。(08早稲田大/改)

1、酵素は一般にタンパク質のみからなるが、金属や他の有機化合物と結合しているものもある。

2、酵素分子の大きさはおよそ0,1〜1μm程度である。

3、細胞外で機能する酵素は細胞内で合成された後、細胞膜を透過して外に分泌される。

4、細胞外で機能する酵素は細胞内で様々な構造変化を受け、活性を獲得してから分泌される。

5、酵素が触媒する反応は酵素がなければ絶対に起こり得ない。

6、酵素が触媒する反応は、一般的には一方向にしか進まない不可逆的なものである。

7、骨格筋の筋原繊維に含まれるミオシンは構造タンパク質、運動タンパク質でるが、酵素でもある。

8、酵素の中には乳酸脱水素酵素のように
どの細胞にも存在するものやヘモグロビンのように特定の細胞種にのみ存在するものがある。

9、酵素は触媒する反応を反応産物が多くなるような方向に平衡をずらすはたらきを持つ。

10、出血部位に過酸化水素を含んだ消毒薬をつけたとき、泡が立つのは酵素の作用による。


(考える)




解答
1○

2×タンパク質分子(酵素)の大きさは数nm(ナノメートル)程度

3×タンパク質分子は半透膜の細胞膜を透過できない。
リボソーム(合成)→小胞体→ゴルジ体→分泌顆粒→細胞外と「膜輸送」される。

4×細胞内で活性化すると細胞内の基質を分解する危険があるため細胞外に分泌後に活性化される。
たとえば、胃で働くタンパク質分解酵素ペプシンは胃腺細胞からは不活性のペプシノゲン(pepsinogen)として分泌され、
細胞外(胃の中)で胃液中の塩酸や既に存在しているペプシンの作用でペプシンに変化し活性を持つ。

5×酵素なしでも反応速度は遅いがおこる。酵素は反応速度を速める。

6×化学反応は可逆的に両方向におきる。見かけ上は、速度の速い方向に反応が進むように見える。

7○ミオシンはATPをADPとリン酸に分解してエネルギーをとりだすATPアーゼでもある。

8×文章の意味は正しいが、例示して出されているヘモグロビンは
酸素運搬の働きをするだけで化学反応(化学変化)を促進するわけではないので酵素ではない。

9×平衡状態は変化させず、その平衡状態に達するまでの速度を速める。

10○肝臓で作られ血液中に存在する酵素カタラーゼによる。