浸透圧に関する様々な計算分野は新課程になって重視されない分野となりましたが、過程の変更時期においても、旧課程の問題でも基本的な問題は二次試験では出題され続ける可能性があります。出題頻度は少ないかもしれませんが、出た時のために、念のためおさえましょう。

設問1 外液浸透圧12気圧の溶液中で限界原形質分離になっている植物細胞があるとする。
 この細胞を外液浸透圧15気圧の溶液に入れたら細胞体積は限界原形質分離の状態の何%になるか?





(考える。紙に書いて考えたほうがベストですが、電車内などでも頭の中での暗算でできるレベルの計算です。)


解答
80%
(濃度は15/12 =5/4倍なので、体積は4/5倍)

解説
センターでは限界原形質分離(体積100%)の時の外液浸透圧=細胞浸透圧が、データとして与えられた上で、
・高張液中で限界原形質分離した状態への変化
を聞くことがある。
細胞膜は半透膜で水のみ脱水されると考えれば、脱水されて5/4倍の濃度になったジュースは体積が、逆数で4/5倍になったと日常感覚でもわかる。
・体積減少率の逆数が濃度増加率
・濃度増加率の逆数が体積減少率
と考えれば容易にとける。

★設問2、この細胞を外液浸透圧9気圧の溶液に入れた場合、細胞体積が120%になったという。「細胞吸水力」「細胞内浸透圧」「膨圧」を求めよ。





(考える。紙に書いて考えたほうがベストですが、電車内などでも頭の中での暗算でできるレベルの計算です。)


解答
「細胞吸水力」9気圧
「細胞内浸透圧」10気圧
「膨圧」1気圧

解説
 細胞が低張液中で膨らむ場合も、限界原形質分離(体積100%)のデータを基準に比較する。
 まず体積120%(6/5倍)なので細胞濃度は
「ジュースを水で6/5倍に薄めた時」と同じで
細胞濃度は5/6倍になる。
12× 5/6 =10気圧

「外液浸透圧は9気圧」で細胞がストップしているので
「細胞の吸水力」(細胞が実際に水を吸う力)は
9気圧のはずである。

細胞内浸透圧は10にも関わらず、外液浸透圧9とつりあっているのは、膨圧が発生し、壁が1の力で膨らみをおさえつけているからである。


「外液浸透圧=細胞の吸水力=細胞内浸透圧ー膨圧」
 9=9=10−1


以上を図示すると以下のようになる。この図を試験の時に書けることがこの問題のポイントである。図の細胞内・外液の数字は「気圧」を示す。






 






★設問3 この細胞を蒸留水に入れた場合、体積が150%になったという。
 「細胞の吸水力」「細胞内浸透圧」「膨圧」を求めよ。





(考える。紙に書いて考えたほうがベストですが、電車内などでも頭の中での暗算でできるレベルの計算です。)


解答
「細胞の吸水力」0気圧
「細胞内浸透圧」8気圧 
「膨圧」8気圧
 
細胞内浸透圧は体積増に反比例するので 12気圧×100/150 =8気圧
蒸留水である外液浸透圧は0なので
「外液浸透圧=細胞の吸水力=細胞内浸透圧ー膨圧」