4月30日発信のメルマガ11(バックナンバーに収録)が標準問題です。ただ発展編として応用問題に挑戦しましょう。

設問 ある増殖が活発な組織を培養して調べたところ、細胞数が2倍になるのに20時間を要した。
 次にその組織を細胞分裂を中期で完全に止める薬剤と3Hチミジンを含む培地に入れ続けて培養した。なお分裂期において後期・終期は非常に短いため無視してよいものとする。
 実験直後3Hチミジンを取り込んだ細胞は全体の30%であった。
 その後はM期の細胞での3Hチミジンの状態を観察することにした。
4時間後には、M期に初めて3Hチミジンが観察されはじめた。更に培養を続けると、M期の細胞内で3Hチミジンを含む細胞の比率は増え続けたが、最初から18時間を経るとすべての細胞がM期となり、3Hチミジンを含む細胞の比率は増えなくなった。
なお分裂後期・終期にかかえる時間は無視できるほど少ないものとする。
 G1期、S期、G2期、M期はそれぞれ何時間か?







答 
G1期 8時間
S期  6時間
G2期 4時間
M期  2時間

解説
 標準問題とは
・3Hチミジン培地で短時間培養したのち、すぐに普通の培地に戻したが、今度は3Hチミジン培地で育て続けた点
・在某分裂を中期で止める薬剤を入れ続けた
展が異なる。

図のように最初3Hチミジンを取り込んだS期を赤の→、3Hチミジンを取り込んでいない細胞を・・・・・で、実験開始後五月雨式にS期に入り、3Hチミジンを取り込む細胞をオレンジの→で示してみよう。
 また後期・終期は無視してよいので、中期で完全に止める薬剤でM期の終わりに壁ができたと考え壁のような線を引いた。
 



最初は@の状態であり、その細胞数が全体の30%であるので
S期の時間は「20時間の30%」=6時間である。
 その後赤→の先端が4時間後M期にさしかかる。この4時間はG2期に相当する。
この時には最初G1期にあった細胞の中にはS期に入り、オレンジ→になったものとそれより後でまだ・・・・のままのものがあるAの状態となる。
 Bは、最初G1期にあった細胞がすべてS期に入り3Hチミジンを取り込んだ状態を示しており、これ以降は3Hチミジンを取り込む細胞は増えない。
 Cはすべての細胞がM期になった状態を示す。@でG1期の最初にあった細胞が、CではM期に入った(G2期を終えたことになり)
18時間がG1+S+G2を示す。
G1+S+G2=18
G1+6+4=18
G1=8時間

するとMは
20時間ー(G1+S+G2)=20時間ー18時間=2時間

となる。