バカ面白いヒト

それはボクにとって最大のほめ言葉だ

苦い思い出がある
大学時代
ボクにも人並みに恋人がいた

といっても
何をしていいのかよくわからず
毎週ふたりで映画ばっかり見ていた

残りの時間は
ひたすらこのヒトを
笑わせていればいいのだと
面白い話ばかり考えていた

そのヒトのためだけに

でも 自分で考える話には限界がある

いつしかパターン化したことに気づく
自分の話

あ…これって前に話したことと似ている
彼女はつまらないと
思っているんじゃないかな

と段々 何がおもしろいのかわからなくなる

そしてある日
そんな自分の混乱をそのまま伝えてみた
「なんだか
 最近 ボクが言っていることって
 つまらないでしょ」

「世の中にそんなにバカ面白いヒトはいないよ
 そんなことミヤザワくんに求めていないよ」
と彼女

なんていいヒトなんだろう
好きだ
一生一緒にいたいと思った

でも
ほどなく別れを切り出された

ボクは
その時
「ああ…やっぱりバカ面白いことが
 ボクのただひとつの価値なんだ
 永遠永久にバカ面白いことを
 言い続けなければいけないんだ」
と悟った

そんなボクにとって
「キミはバカ面白いな〜」と言われるのが
最大の賛辞

その路線で生きていかないといけないボクは
きょうも
どういう話が
周囲にバカ面白いと思ってもらえるか考える

終わりはない
笑い話の輪廻転生

でもこの道しか残されていないのだ

走れ!走るのだ オズマ!
お前にはその道しかない

あ…それでね
「あなたの話
 そんなにいうほどおもしろくないですよ」って
言わないでくださいね
ボクが一番傷つく言葉ですから

ミヤザワ殺すにゃ刃物はいらぬ
「あんたつまらん」といえばいい♪

おあとがよろしいようで

みやざわまき