舞台の前は、一回一回緊張する。
めっちゃ緊張してるっつーのに、舞台袖まで
師匠ガマは、


ひらたは舞台でけっつまづいて
鼻血を出したらいいのになぁ〜
くぇっ!くぇっ!くぇっ!!!

と大笑いをする。本気で笑う。

とうとう最後の日まで、そんなことを妄想し続けて、
最後の舞台では、

次は絶対転べ!!

と言って、勝手に想像して、勝手に大爆笑している。
これが、私の緊張をときほぐしてやろう、という師匠ガマの愛だとは
とても思えぬ有様なのですよ。
かといって、こんな私も、自分が舞台で鼻血を出す絵を想像すると、
つられて大爆笑してしまう訳なのですよ。
だって、ホントにありそうなんだもん。こんなアタシでいいのだろうか?

おかげで、私の失敗は、
せいぜい、キジムナーの暴走とか、
キジムナーの振りを間違えたりとか、
キジムナーの順番を忘れちゃったりとか、とかとか。

師匠ガマの思惑よりは、カワイイところで留まったはず。
鼻血よりは、大した失敗はしてないはず。



でも、舞台の上で、吉満さんと師匠ガマが
くぇっ!くぇっ!くぇっ!
と笑っておるのを、高田カメラは見逃してはいなかった。
さすが、高田工作員。

ちっ!
この笑い、忘れマジ。

ひらた