師も走ると人の言ふ季節となりぬれど、教室は祝い歌「かぎやで風」より開かるる。
ご指導はわずかに、四、上、四、乙の指練習のみ。

おほかたは「上い口節」に費やす。幾度も、幾度も、音階の階段を登ったり降りたり、
さながら、二見情話の歌詞「辺野古崎坂ぬ上り下い」。

最後は教室発表会の曲とならむ「伊良部とうがに」
歌詞・発音はいと難し。「ゐ」は「う」、「ぬ」は「の」に近からむ。
三線演奏姿を披露する機会はあらねと思ひつつの稽古なり。

稽古の後は朝食。けふの話題は「おふくろの味」。
共に南西に田舎がありければ、心に染むこと多し。たとへば、「いも」と言へば、「さつまいも」
しかれど、わが田舎では田畑で働くのは牛なりぬれど、師匠のところは馬なりぬと、驚くこと多し。